Lesson1099
自分の意見なんていらない、のだろうか?
2024-04-24
なんとなく
「普遍的なこと」を書かなきゃいけない、
と思い込んでいる人は多い。
いざ文章を書く、となったら、とたんに、
“広く多くの人に受け入れられなきゃいけない”、
“社会性がないといけない”、
“一般的なことを書かなきゃいけない”、
と、モードが変わってしまう。
おとなからそう指導された人もいるし、
だれも、なんにも、言っていないのに、
本人が「普遍」に忖度していることもある。
それは、
職場で文章が求められたとき、
高校生が小論文を書くとき、
学生が論文を書くとき、
ライターが記事を書くとき、
個人がブログなど社会に向けて書くとき、
いろんな文章書きに言える。
けど、普遍的に書くことはハードルが高く、
知識も思考も鍛錬した大学教授だって難しい。
で、不慣れな人が、
つい無自覚にやってしまいがちなのが、
「自分の意見を押し殺す」ことだ。
ちょっと考えたってわかる、
自分の意見を無きものにしたところで、
文章が普遍的になるわけじゃない。
結果、
広く多くの人にも届かない、
ごく少数にも刺さらない、
何より書いた本人にいちばん刺さらない文章になる。
なかには、書く以前の
「テーマ」や「論点」選びの段階で、
“とにかくSDGsと絡めておけば通りがいい
って先輩に言われて‥‥”
と、自分は関心がないのに、
そこの勝ちパターンみたいなテーマを選んで、
置きに行ったり、
“上司ウケがよさそうな問いにしておけば‥‥”
と、自分が「心から解きたい謎」はあるのに、
それと関係ない「問い=論点」を選んだり。
人は自分を表現せずにはいられない生き物だ。
自分の内面を書けないどころか、
自分を押し殺すような書き方をやっていると、
もう「書くこと」そのものが嫌いになってしまう。
インターネット時代、
書くことは、身近で誰もができる、
社会に通用する表現手段だ。
「想いをカタチにする装置」だ。
AIに文章を書かせるにしろ、
AIに指示を出すのは、自分の文章。
いまの時代、書くことを嫌いになってる場合じゃない。
では、どうすればいいのか?
「自分の意見」
「自分にとって切実なテーマ」
「自分が心から解きたい謎・問い・論点」
から始めるのがいい、と私は思う。
そこから始めるしかない、というか。
「自分の意見」を書くことは、
自己表現であり、
それが自分にとって「切実なテーマ」、
「心から解きたい謎」なら、
「問う」、「調べる」、「考える」、「書く」、
すべての行為が自己表現につながり、
やる気が持つ、書けば書くほど好きになる。
「でも、自分が書く文章には、
個人の意見なんて求められていない」
「いまさら、自分の意見を明らかにしたところで、
会社と食い違って、よけい働きづらくなる」
という人もいるだろう。
それでも私は、
人に伝えるかどうかは別として、
やはり自分の意見を書くことから
文章トレーニングを出発して
いいんじゃないかと思う。
「私の意見はこうだ。」
と書いてみた結果、
それが、組織の出した結論とは違うとする。
その時に、
「自分は自分、組織は組織」
で片づけるのではなく、
組織の考えの中にも、どこか、
自分にあてはまるところはないか?
自分の考えの中にも、どこか、
組織全体に普遍化できる部分はないか?
と考えてみる。
自分の意見と組織の結論を、
行ったり来たり、
これを何度か繰り返すうちに、
自分の意見が当初とはちがった
もっと深いものになったり、
深まったことで、
対立していると思っていた自分と組織の考えに、
思わぬつながりを見つけたり、
すると組織における自分の立ち位置を発見でき、
より組織に伝わる文章が書けるようになったりする。
逆に、最初から
組織に気に入られる文章を書こうとして、
自分の意見のありかを見ようともしないまま、
普遍を探りに行ったって、
いつのまにか無自覚に探っているのは、
「自分の意見」
だったりする。
「個人の意見だ。
他の人にも、社会にも、なんら役立つことはない」
と、ふりきって書かれた文章が、
この時代の多くの人に関心ある問いを
含んでいることがよくある。
いったん自分の意見を打ち出したあと、
それをより普遍的な視野から検討してみる。
そこから自分の意見を練り鍛える。
さらにそれを、より普遍的な視野で
検討してみる、というように、
自分の意見と、普遍的な視座とを、
行ったり来たり、
大切なのは、この、
「行ったり来たりできる筋力」を
鍛えていくことではないだろうか。
自分の意見のありかがわからない、
そこを見ようともしない場合には、
「行ったり来たり」の筋力が鍛えられるはずもなく、
そもそも、自分がどこに立っているかもわからない。
まず、自分の意見を書く。
そこから、
自分の意見と、普遍的なものの見方とを
何度も行ったり来たりすることで、
自分の書くものは、
自分と乖離することなく、
徐々に、より広く、より多くの人に通じる
普遍的な出口に進んで行ける!
「普遍性があり、かつ、書く歓びがある」
と私は思う。
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聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
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ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!
▲『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!
『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
――山田ズーニー。
▲『人とつながる表現教室。』河出書房新社
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文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。
『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
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まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。
「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
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相手に通じる文章になる!
『考えるシート』文庫版、出ました。
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三笠書房
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いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
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『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
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自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
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『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書
内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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