アズーリにべったり密着50日!
フランコさんは特別なスポーツ記者なんだぜ。

イタリア人スポーツ・ジャーナリストの
フランコ・ロッシおじさんが
日本に滞在中、ほぼ日にサッカーコラムを
書いてくれることになりました!
アズーリと行動をともにしているフランコさん、
ほかのメディアでは書けない話題を
いっぱい提供してくれるんだって!!

こんにちは、フランコです。

Ciao! ほぼ日刊イトイ新聞を読んでいるみなさま、
はじめまして。
僕の名前はフランコ・ロッシFranco Rossiです。
イタリア人スポーツ・ジャーナリストです。
イタリアのスポーツ新聞に記事を書いたり、
テレビでスポーツ番組の司会をしたりしています。
日本の読売新聞にもコラムを書いているので
ひょっとして、僕の名前を御存知のかたもいるかもしれませんね。

※編集部註:フランコさんのくわしいプロフィールはこちらです。

いつもはミラノに住んでいる僕ですが、
今回のワールドカップ開催に合わせて、
約50日間、日本に滞在することになりました。
アズーリ(サッカーのイタリア代表の愛称です)の
キャンプ地である仙台を本拠地にして、
彼らと行動をともにして、
イタリアへサッカーの映像や記事を送る仕事をするんです。

今回、“ほぼ日”でも、記事を書かせてもらうことになりました。
あまりほかのメディアには書かれることがないだろう、
アズーリに関するエピソードを中心に、
紹介していこうと思っています。
どうぞよろしく!

すでに日本入りしているアズーリのメンバーですが
いったいこの50日間を、どんなふうに過ごすのか、
みなさんも、興味があるのではないでしょうか?
彼らは、世界中の美女たちを惹きつけるほどの
人気者ばかりです。
さて、そんな彼らにたいして、アズーリの監督である
トラパットーニ氏は、どんな命令をしてるんでしょう?

トラッパットーニ命ずる
“セックスなし!”の50日間


イタリアの古い諺に、こんなものがあります。
"Il sesso logora chi non lo fa."
「セックスをしないと、人は、ダメになる」

僕もそう思いますが、トラパットーニ監督は
どうも、まったくそれを信じていないようです。

なにしろ、彼は、仙台でのワールドカップ直前合宿に
選手達にこんなお達しを出しました。
「妻・婚約者・恋人、いかなる立場であろうと、
 女性の同伴を禁ずる」
と。
「そうすることが、良いことなのか、悪い効果を及ぼすのか、
 正直なところ、わからないんだがね。
 でも、そういう疑問を抱いたまま
 リスクをおかすことはしたくないのだ」と、
すでに63歳を越えているトラッパットーニ監督は言います。

選手達が女性関係で「のぼせちゃう」ことなく、
サッカーだけに打ち込みながら、
仙台や札幌や釜山を行き来する50日間を
過ごさせたい、と思っているのでしょう。

ううむ、それって、どうなんでしょう。
もちろん彼の勇敢な戦士達は、
50日間もセックスできないなんて、
そんな生活がベストだなんて、思ってやいません。

ほかの国のチームはどうでしょう?

たとえばイングランド代表チームは、
ワールドカップに、選手の奥さんや恋人を連れてきます。
イングランド代表のエリクソン監督は、
(もっとも彼はスウェーデン人ですが)
選手達のよいお手本になっています。
なにせ、彼にはイタリア人の恋人以外にも
素敵なスウェーデン人の恋人もいて……つまり、
「チャンスはすべてつかむのだ」という
姿勢を、体言している人物なのですから。

でもまあ、
イタリア人はイギリス人ではありません。
ラテンの人間というのは、たしかにほかとは違いますからね。

アズーリの選手というのは、その多くが、
イタリア国内ではセックスシンボルです。
FWのヴィエリがよい例で、
彼の出ているクレジットカードの広告を御存知ですか?
そこで彼は、クレジットカードで、大事な部分を隠しただけの
ヌード姿を披露しているのです!
(ちなみに、そのクレジットカードは、もちろん、
 ふつうのカードより大きくつくられてるんですが。)

ブラジル人選手のヴァンペータにいたっては、
母親が南米の有名な雑誌にヌードを披露、
ヴァンペータ自身もそれをまったく否定せず、
自らもヌードになりました。
イタリア人というのは、
「性の開放ってのはすばらしいことだぜ!」
と、誰もが言っています。
というか、言っているだけじゃ、ないのですけれども。

でも……カトリックの教えでは、
セックスというのは重大な罪であると見なされています。
にもかかわらず、誰もがひそかにそれをしようとしています。
要は、誰にも知られなければいい、ということなのでしょうね。

風になびく髪と、
ハンフリー・ボガート風の、ちょっと鼻にかかった声の
背番号10・トッティは、最初の
トラパットーニの発言に対してこう反論しました。

「たくさんの恋人を持つことは、
 精神状態を高めるんだよ。
 適度のセックスは、勝利の助けにだってなるんだ」

アズーリのなかには、
日本での「おもてなし」を、ずいぶん勘違いしているとしか
思えない選手もいました。
大勢のゲイシャ・ガールズが、
罪と色欲につつまれた空間・茶室で
小さな手で繊細で官能的な指圧マッサージをしてくれる、
なんて……。

それはまったくの思い違いなんですけれども、
そういうことも全部ひっくるめて、
トラパットーニ監督は、選手達に、
長い禁欲生活を強いるでしょう。
選手達は、昼も夜もコントロールされるに違いありません。
仙台のロイヤルパークホテルに
奇麗な日本人女性が近づこうとしても
優しく、しかし、強い態度で
彼女達を追い返してしまうことでしょう。

イタリア人の僕としては、
ワールドカップで優勝してくれれば、
そいいう過酷な犠牲も、報われるだろうになあ、
と思います。


……それでは、また次回!
週に2回くらい、時間を見つけて書くつもりです。
どうぞ、お楽しみに!

フランコ・ロッシ

翻訳協力=加藤正之

2002-05-29-WED

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