フランコさんのイタリア通信。 |
ぼくはウニが大好物。 こんにちは、フランコです。 皆さんおなじみのウニ(雲丹=Riccio di mare)ですが、 実はイタリアでもウニを食べるんですよ。 それも生ウニです。信じられます?? たぶん世界中で生ウニを食べるのは、 イタリアの一部と日本だけじゃないでしょうか。 イタリアでは、シチーリアとカラーブリアだけが ウニを食べます。 最近では、我国イタリアにも日本文化が普及していて、 大都市には必ず回転寿司がありますから、 最近ではウニも少しはおなじみの食材になってきました。 今から10年ほど前のことですが、 東京のたぶん赤坂だったような、 とにかく静寂な高級感のある料亭で ぼくは接待を受けていました。 そこには、カウンターの奥に水槽があって、 これから私たちのお腹に入ることが予定された 美味しそうな海の幸が、その宣告を待ち受けていたのでした。 魚やエビとカウンター越しに目が合ってしまうと なんとなく食べにくいような気がして 底の方にじーっとしていたウニを注文しました。 たぶん7〜8個だったような、 Tutto Tutto ! (それ全部食べる!)と 板前さんに言ったとたん、 同行した出版社(テレビ局だったかな?)の方と 板前さんの目線が妙な具合で絡み合っていましたが なんのことか分からず、 とにかく Molto buono !! (なんて美味いんだ!) なんて言いながら全部美味しくいただきました。 後で分かったことですが、 ウニ1個なんと5,000円もするんだそうですね。 本当にゴメンナサイ。 値段が分かった瞬間に あのときの妙な目線の意味が理解できました。 イタリアのウニは日本のものより小さく、 味が濃いのが特徴です。 今でも、南イタリアに行ったときには、 お腹いっぱいにウニを食べますが、 会計はいつも350円です。 値段が安いのもイタリアのウニの特徴でしょうか? ぼくの好きな食べものの話はこれくらいにして、 さあ、本題本題。アズーリのみんなは、 いまどうしているんでしょう?
夢というものは、それだけでは、 食べることの足しにもならなければ 勝たせてもくれませんが、 でも生きていくことを手伝ってくれます。 プロのサッカー選手にとって「夢」とは何でしょう? それは、プレーに力を添えてくれるものです。 インテル、ミラン、ユヴェントゥス、 ローマのチャンピオンたちにとっては 夢に名前がついています。 「東京」です。 その理由は富士山にあるのでしょうか? いいえ、ぜんぜん違います。 皇居や浅草のお寺のため? それも違う。 国立博物館と上野公園? うーん、全く違います。 それでは、イタリア・サッカーのチャンピオンたちに 力を与えている夢とは、一体なんでしょうか? デル・ピエロ、トッティ、インザーギ、ネスタ、 ヴィエリたちの夢とは? その夢とは来年の秋も終わるころに開催予定の 「トヨタ・カップ」です。 イタリア人たちは、伝統的にずっと、 このカップ(催し)に参加してきました。 このカップはクラブ・チームにとって、 まさに本当の世界選手権なのです。 が、しかし、1996年のユヴェントゥス以来、 イタリアは勝てないでいます。 トヨタ・カップでの勝者の名声は、 彼らを、特にその後の金銭面で、大きく変貌させます。 友好関係のあるチームや世界的トーナメントへの スカウト料金が跳ね上がるのを、 その勝者は目の当たりにするでしょう。 それは、150万ドルにものぼるほどです。 イタリアは2003年のこのカップに、 なにがなんでも参加したいと願っています。 あのW杯でのひどい出来事のことを、 日本のみなさんに忘れて頂きたいからでもあります。 仙台での滞在中は、本当に良くしてくださいました。 (彼らを愛してくれました。)
(ヨーロッパ)チャンピオン・リーグで イタリア・チームを導くのは、W杯では期待をはずした、 まさにあのチャンピオンたちでしょう。 この正真正銘のヨーロッパ・クラブ選手権に勝ってこそ 東京のトヨタ・カップで 南アメリカの1チームと闘うことが許されるのです。 トッティとトンマージはローマ、 ヴィエリとディ・ビアジオとココはインテル、 デル・ピエロとブッフォンはユーヴェ、 インザーギとガットゥーゾはミラン。 これが、それぞれのチームの名にかけて闘う、 イタリア4チームの要の選手たちです。 トッティ、ヴィエリ、デル・ピエロ、インザーギたちは、 仙台ではサッカー・ファンや沢山のお嬢さんたちの 愛情や好意を呼び起こしました。 お嬢さんたちのお陰で、 サッカーは愛というものを学びましたね。 彼らは、もちろん、 センセーショナルな雪辱を果たしたいと 望んでいることでしょう。 チャンピオン・リーグはやっと始まったところで、 もちろんまだ、決勝戦を目指したレースの最中です。 レアル・マドリード、モナコ、バイエルン、 そしてマンチェスター・ユナイテッドとの競り合いは 熾烈を極めるでしょう。 ただ、イタリアのチームは、 余りに長い間、浮かび上がれずにいます。 1996年、ユヴェントゥスが (ヨーロッパ・チャンピオン・リーグで)勝利し、 その後、東京でも1990年のミランに次いで 勝利をおさめました。 これが最後でした。 あれからもう6年が過ぎます。 長い夢は美しく魅惑的だというのは、本当ですが、 長すぎる夢は悪夢に変わる恐れがあるというのも、 同じくらい本当です。 ユーヴェもローマもインテルもミランも、 もう走りたくないと思い始めると、危険です。 夢が夢のままで、あまりに長く勝てないでいると もう嫌だと思い始めてしまうかもしれませんから……。 翻訳=ほぼ日 翻訳協力/イラスト=酒井うらら フランコさんのくわしいプロフィールはこちら、 フランコさんのホームページはこちらです。(日本語もあるよ!) |
2002-09-24-TUE
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