フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

イタリアといえばファッション。
さて選手達は……?


こんにちは、フランコです。
イタリアの著名ブランド、ドルチェ&ガッバーナは
日本の皆さんもご存じの方が多いことでしょう。
ドルチェ&ガッバーナは、その名のとおり
ドメニコ・ドルチェさんとステファノ・ガッバーナさんが
二人でデザインをしています。
以前僕の番組にもゲスト出演してくださいましたが、
今でも僕はどちらがドルチェで、どちらがガッバーナなのか
分かりません(ゴメンね)……。
わかりやすく言うとイタリア版おすぎとピーコ、
みたいなんです。
でも、双子ではなく兄弟でもない、
なのに似ているんですね雰囲気が。
糸井さんのサイトに
二丁目の人々? とかいうのがあるでしょ。
この方々もモンテナポレオーネ2丁目の住人なのかな。
(たぶんね)

さて、ミッソーニもイタリアを代表するデザイナーで
ミラノコレクションの常連です。
今回は門外不出のアトリエ写真を大公開しましょう。



この部屋は関係者以外立入厳禁で、
マスコミ特にカメラは絶対ダメ!
なのですが、ほぼ日読者にちょっとだけネ!
(ミッソーニさんの隣は僕の日本のエージェントのタカハシ君)

ミッソーニさんと僕は古くからの友達で、
ジャーナリストの神様と言われた
故ジャンニ・ブレラとミッソーニ、
そして僕フランコは、昔ミラノのバールで
何時間もポーカーをしてましたっけ。
(ううう! みんな若かったなあ・・・・・)
このミッソーニさん、1948年のオリンピック、
ロンドン大会で、
400mハードルの銅メダル保持者でもあるんですよ。
第2次世界大戦に参戦した経験もあって、
機関砲を握った手から今では世界中の女性を魅了する
素晴らしいデザインが生まれています。

そんなわけで、今回は
「ファッションと選手達」のお話です。

ミラノは2003春夏コレクション。

なんという混雑!
高級ホテルも高級レストランも満員で予約がとれません。
タクシーもつかまりません。
そうです、ミラノではファッションの一週間が
幕を開けたのです。

この7日間においては、
ミラノは世界のエレガンスの中心地なのです。

2003年春・夏のレディース・コレクションは、
ケタ外れの成功を納めたとの評判です。
「made in Italy」は美しい物の魅力にあふれています。
そして美しい物は絶対にすたれません。

ミラノのラン・ウエイには世界中の最高に美しい
トップ・モデルたちが列をなし、
観客も超一流の方々です。

アメリカからオーストラリア、
スウェーデンから日本におよぶ
地球上のそれぞれの地域から、人々がミラノに到着します。
ほれぼれと見とれて、魔法にかけられて、
そして買うために。

「made in Italy」で装おうことを愛する人々が、
ニューヨークで、シドニーで、
東京で、またはストックホルムで、なにか特別な物、
ユニークな物を着たくて待っているのです。

ショーが終わったあとには、
ミラノの中心部に点在する美しいことこの上ない館での、
晩餐会が開かれます。
スピーガ通り、モンテナポレオーネ通り、
それにサンタンドレア通りによって形つくられる、
モードのトライアングルと呼ばれるあたりで。

ジョルジョ・アルマーニ、ジャン・フランコ・フェレ、
ドメニコ・ドルチェ&ステファノ・ガッバーナ、
クリツィア、ドナテッラ・ヴェルサーチェ、
オッタヴィオ・ミッソーニなど、
偉大なデザイナーたちの顔も見えます。

ファッションリーダーは、いまや、
俳優じゃなくて、サッカー選手に。

ここ数年来、トップ・モデルたちの着る
ドレスばかりでなく、特にサッカーの選手たちが、
モードの夕べに女性たちの感嘆の声を誘い起こしています。

世界中の女性の夢や空想の中のフットボール・
チャンピオンたちは、今や、有名歌手や俳優から
スターの座を奪ってしまいました。

サッカー選手たちは若く、健康で、
美しいうえにお金持ちです。
ひとりの男性に、これ以上のなにを望めましょうか?

まさにこの数日のあいだ、ミラノのこの世界的な夕べに、
これまた世界的に有名な男優のひとりが居ました。
クリストファー・ランバートです。
ところが、イタリア・ナショナル・チームの
チャンピオンでもある、
インテルのクリスチャン・ヴィエリと
ミランのパオロ・マルディーニが居合わせたおかげで、
彼はほとんど無視されてしまったのです。

ヴィエリは婚約者と、マルディーニは奥さんと、
それぞれ一緒だったのに、それでも
美女たちの視線はぜんぶ彼らに注がれたのでした。

去年のミラノのショーにはイタリア各地から
サッカー選手たちが来ました。例えば、
「made in Italy」のファンの中田選手。

サッカー選手の暮らしはスポーティブなものですが、
それは私生活でも同じことです。
スポーティブという意味は
「カジュアル」な着こなしをするということですが、
これが最高級のモードの話となれば、
彼らとて計算されつくしたエレガンスの側に付きます。

ジョルジョ・アルマーニとオッタヴィオ・ミッソーニが、
スポーツ界で最も愛されているデザイナーです。

ジョルジョ・アルマーニはピアチェンツァの出身
(レスピーギ高校で学びました)ですが、
「ピアチェンツァ」が1993年にセリエA
(日本のJ1にあたります)に昇格した時には、
選手と役員のチーム制服をデザインしました。
アルマーニ一流のクラシック・ジャケット、水色のシャツ、
ブルー地に細い空色のストライプのネクタイ、
それに鉄色グレーのスラックスです。

かつて陸上競技のチャンピオンでもあった
オッタヴィオ・ミッソーニは数年前、
ミラノで最も伝統のあるアマチュア・スポーツ愛好家団体
「プロ・パトリア・ディ・ミラノ」のスポーツマンたちのために、
Tシャツと短パンをデザインしました。



今やクリスチャン・ヴィエリは
アルマーニのジーンズに
ドルチェ&ガッバーナのTシャツを着ています。
パオロ・マルディーニは
マルチカラーのミッソーニのシャツ、
フィリッポ・インザーギはヴェルサーチェのスーツに
身を包み、アレッサンドロ・ネスタはといえば
グッチのスラックスとフェラガモの靴がお気に入りです。

イタリアのサッカー選手たちは
日韓共催ワールド・カップでは負けてしまいましたが、
目下、彼らはエレガンスの世界でも、
チャンピオンを目指しているようですね。


翻訳/イラスト=酒井うらら

フランコさんのくわしいプロフィールはこちら、

フランコさんのホームページはこちらです。(日本語もあるよ!)

2002-09-30-MON

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