ティフォーゾ、真実の愛
熱狂的サポーターやファンのことを、
イタリア語ではティフォーゾ(tifoso)と呼びますが、
この語源のティーフォ(tifo)は熱病のチフスです。
さて、どこかひとつのチームの
ティフォーゾであるということは、
もう一度また愛するということであり、
新ためてまた愛するということです。
それは真実で、二股などかける事のない、
情熱的で他者をも巻き込んでしまうほどの、
永遠の「愛」なのです。
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イタリア人の半数が
熱病にかかっている。 |
サッカーのティーフォ(チフス)は、
ひとつの「愛」です。
多くのそうではない人たちが信じ込んでいるような、
単なる「熱病」ではありません。
イタリア人たちは子供のころ、
熊さんや、汽車や自動車のおもちゃ、
そしてお人形さんと遊ぶのをやめるころに、
サッカーのどこか1チームを「選び」はじめます。
それも理屈じゃない選び方で・・・
ティフォーゾにしてみれば、理由にならないような理由を
ちゃんと持っているのですがね。
ある重要な通信社が最近実施した統計によると、
3千万人のイタリア人(イタリア人口の半数以上)が、
サッカーに継続的に興味を持っていることが判りました。
4年ごとのW杯の時には、
全員、分け隔てなくイタリア人全員が
サッカーに関心を持ちます。
実際のところ、日韓W杯のあった昨年6月には
全イタリア人がナショナル・チームの試合をフォローし、
アズーリをテレビで見る為に、
仕事の習慣さえ変えてしまったほどでした。
ところで、W杯の大会と大会の間の4年間ですが、
アズーリ色、つまりナショナル・チームの色に対する
イタリア人の愛は、セリエAの、
それぞれのご贔屓のチーム・カラーに振り分けられます。
最終到達点として切望される選手権制覇の印、
あの「スクデット」を決める色です。
スクデット(ワッペン)を勝ち取った者が
イタリアのチャンピオンということなのです。
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どんなに小さなチームにも。 |
3千万人のイタリア人が愛するのは、
贔屓チームの選手たちではなく、
チームのカラーです。
2年前のことですが、
インザーギがユーヴェントスからミランに譲渡されました。
その時、ユーヴェのティフォーゾたちは
彼を愛することをやめました。
なぜって、心の奥深くにしまいこんではありますが、
彼に心情的に裏切られたと感じましたから。
一人の選手を愛さなくなっても、
贔屓チームのカラーに対する愛は終りません。
ユーヴェントスこそは
イタリアで最も愛されているチームです。
ユーヴェはトリノ市のチームで、
イタリア最大の工業グループであるFIATを統制する
アニェッリ・ファミリーに常に所属してきました。
ユーヴェのシャツの色である白と黒の縦縞と、
チーム・シンボルはある動物を表しています。
シマウマですよ。
ユーヴェのティフォーゾたちは約9百万人で、
イタリア全土に、
地理的な片寄りもなく散らばっています。
2番人気はミラノ市のインテルです。
このチームは、最大手の製油所のオーナー、
モラッティ・ファミリーの所属です。
シャツは黒と青の横縞。
ユーヴェと同様にシンボルは生き物で、
ビショーネという水蛇の一種です。
インテルのティフォーゾたちは約7百万人。
こちらは特に北イタリアに集中しています。
3番人気はミラノ市のミラン。
イタリア首相、ベルルスコーニに所属。
シャツは黒と赤の縦縞。
チーム・シンボルはユーモラスに描かれた悪魔です。
ミランのティフォーゾたちは7百万人弱。
イタリア全土に、ちょっとバラけて居ます。
その他、人気のあるチームの中には、
もと貴族のファミリーに属する
ナポリやフィオレンティーナがあります。
(現在では貴族という位は、社交的には生きていますが
社会的には廃位されています)
ナポリは第2リーグ、
フィオレンティーナは第4リーグのC2で戦っています。
いずれにせよ、どんなに有名でなくても小さくても、
どのチームにも、もれなくティフォーゾたちが
付いているのです。
超美形でも超若くも超金持ちでもない女性みたいですね。
男の誰もが彼女に恋をするとは言い難い、
けど誰か言い寄る男はいるでしょう。
だって、本当の愛というものは、
年令や美貌やお金の計算抜きの、
気持ちだけの問題ですからね。
訳者の一言 |
今回はサポーターやファンという言い方ではなく、
イタリア語のティフォーゾで統一してみました。
女性はティフォーザ、女性複数はティフォーゼ、
男性を含む複数はティフォーズィです。
覚えておくと、何か良い事が有るかも知れませんよ。 |
翻訳/イラスト=酒井うらら
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