フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

前の恋を忘れるには、
すぐ次の恋を始めろ!?

ひとりのイタリア男が恋人に去られたとします。
彼は次のような諺をたよりに、自分をなぐさめます。
「釘は釘を追い出す」

この意味するところは難しくはないのですが、
あまりロマンティックでもありません。つまり、
去った彼女が戻って来るのを待って煮詰まるよりは、
すぐ他の女性に恋をするほうが良い、ということ。

「釘は釘を追い出す」は
「終わった恋を忘れるには、すぐ次の恋を始めろ」
と言ってるも同然なのですよ。

これはサッカー界にも通じる法則です。

ロナウドを忘れる唯一の手段とは

インテルのマッシモ・モラッティ会長は、
イタリアではトップクラスの大金持ちの石油業者ですが、
レアル・マドリードに譲渡したロナウドのことを、
いまだに忘れられません。

ロナウドは並の選手ではない、なにかもっとある、
刺激がある・・・

という訳で、モラッティにもインテルのティフォーズィにも、
ロナウドを忘れる唯一の手段として残ったのは、
次の選手、それも思いっきり高レヴェルの選手に恋をし、
スカウトする、ということでした。

賽は投げられました。
選ばれたのはイタリアで最もブラヴォーな選手、
ローマのフランチェスコ・トッティです。

ローマのフランコ・センシ会長とモラッティは
仲良しの友達です。

センシも大金持ちで、
最近、ミランの政治的スーパー権力をぶちのめすべく、
モラッティと同盟を結びました。

ミランの会長こそはイタリア共和国首相の
シルヴィオ・ベルルスコーニであり、
サッカー・フェデレーションのフランコ・カッラーロ会長は
60年代にはミランの会長でした。
そして、サッカー協会の
アドリアーノ・ガッリアーティ会長は
同時にミランの副会長で代表取締役です。

このベルルスコーニ、カッラーロ、ガッリアーニ三者の
政治とスポーツ両面での権力の影響から、
彼ら全員がミランがらみであるために、
どうも審判関係がミランに好意的で、
インテルやローマに不親切であると、
インテルのモラッティ会長とローマのセンシ会長は
確信するに至ったのであります。

この事への訴えは日常茶飯事のことで、
インテルとローマは連日のように
ミランの全権力に対する申し立てを出しています。

トッティの移籍は6月か。

ところでローマは今シーズンの成績が悪く、
来シーズンには若手に焦点を当てた採用に
転換する予定です。

ここでの稼ぎ頭は、まさにフランチェスコ・トッティで、
毎日、日本円にして300万円ほどを稼ぎ出します。

しかし野心家であるトッティは、
来シーズンはもっと高レヴェルのチームへ行きたいと、
すでに彼の会長に言ってあります。

先日、バティステュータを
ローマがインテルに譲渡した時、
モラッティとセンシ両会長は、
トッティの移籍の可能性についても
話し合っています。

この移籍については今シーズンの終り、つまり6月に
公式に決定するでしょう。

目下のインテルはスクデット勝ち取り街道まっしぐらですが、
来シーズンにトッティが来るとなれば、鬼に金棒です。

(選手権勝利者のワッペン「スクデット」は
 イタリアン.カラーである赤白緑の三角形で、
 シャツの心臓の高さの所に縫い付けられます)

フランチェスコ・トッティはモラッティとインテルの夢です。

フランチェスコ・トッティは
モラッティとインテルのティフォーズィにとって、
ロナウドを忘れさせてくれる新しい恋人なのです。

夢って実現することもあるし・・・

訳者の一言
釘は釘を追い出す。
日本語では「毒をもって毒を制す」
というところでしょうか。恋は毒か?
「別れたら次の人〜」という替え歌もありましたね。
私の好きなイタリアの諺は
Aprile, dolce dormire. (4月、眠りは甘味だ)
春眠暁を覚えずはイタリアも同じ。
春、早く来い!
翻訳/イラスト=酒井うらら


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2003-02-03-MON

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