フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

ジャンニ・アニェッリを悼む。

この世を去った人々は、
単に思い出になってしまうのではありません。

残された人々は、生前の彼らが幸せとしていた事を
何かの形にして、彼らに敬意や愛情を表そうとします。

今から50日ほど前に、
ジャンニ・アニェッリが亡くなりました。
彼は、イタリア最大の自動車メーカーであるFIATの
会長であっただけでなく、サッカー・チームの中でも
最大の人気を誇るユベントスや、
近年のF1レースを制している
伝説のフェラーリの後援者でもありました。

そして、そのフェラーリが先日、
世界チャンピオンの座を守るための
ニュー・モデルを発表しました。
その名もフェラーリGA!
GAはジャンニ・アニェッリ(Gianni Agnelli)の
イニシャルですよ。

世界中のカー・レーサーの頂点に立つ
ミハエル・シューマッハが、
次の選手権のタイトルを勝ち取って
ジャンニ・アニェッリにささげたいと、
宣言しました。



サッカーを愛したジャンニ。


ジャンニ・アニェッリはハンサムで
金持ちで情熱的でした。
でも、彼が愛されたのは、
そのせいばかりではありません。

彼が愛されたのは、権威を情熱に、
エレガンスをポーズではないスタイルに、
融合させる術を知っていたからです。

そんな彼はイタリア人にとっては王様のようであり、
スポーツ・ファンにとっては
皇帝のような存在でした。

ティフォーゾたちや単なるファンたちが、
偉大な彼に自分達と同じ
アイデンティティーを感じていたのは、
彼の優しさとシンプルさに魅了されていたからです。

F1は彼の2番目の情熱といって良いでしょう。
1番に情熱をそそいだのは、サッカーです。

ユベントスの名誉会長であった彼が
競技場に現れると、
人々はスタンディング・オベイションで
彼を迎えたものです。

ジャンニ・アニェッリはスポーツという言葉の
本当の意味での敬意を敵方にもはらっていましたから、
相手チームのティフォーゾたちさえも
彼を愛していました。

相手チームが強ければ強いほど、
ユベントスの勝利は価値が高いわけですね。

ユベントスの最も名高いティフーゾ。

でも彼は、相手チームに対しての挑発的な発言を、
決してしませんでした。
自分のチーム選手たちへの楽しい皮肉なんかは、
先頭に立ってに言っていましたけど。

アレッサンドロ・デル・ピエロや、
レアル・マドリッドに移る前のジダンも、
よくサカナにされていました。

そのデル・ピエロは、イタリア選手権を勝ち取って
ジャンニ・アニェッリにささげるぞと、
チームの仲間たちにも誓わせたのです。

ユベントスの最も名高いティフーゾであった
ジャンニ・アニェッリ亡き後、
ユベントスは勝つ事しか考えていません。
そして本当に勝ちまくって
ミランやインテルに追い付き、
トップに躍り出ています。

ミハエル・シューマッハも
アレッサンドロ・デル・ピエロも、
片やF1チャンピオン、
片やサッカーのチャンピオンですが、
ふたりともジャンニ・アニェッリの名のもとに
勝利を誓いました。
彼が幸せそうに微笑んでくれることをして、
愛情を表したいのです。
彼は、もう、いませんけどね・・・

訳者の一言
・・・本当に素敵なおじさまでした。
ハンサムで背も高くて、おしゃれで可愛くて。
もちろん映像でしか存じ上げませんでしたが、
日本には、こういう風に年を取れる男性がね〜
いないかな〜と、うらやましく思ったものです。
日本のおじさまたち、今回はこれくらい言っても
スポーツ精神の名のもとに、お許しあれ。
翻訳/イラスト=酒井うらら


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2003-03-10-MON

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