フランコさんのイタリア通信。 |
7月27日、インテル分裂? 今週は前代未聞の大珍事の顛末です。 といっても、たった一夜だけのことなのですけれど、 インテルがまっぷたつになり、 日本とイタリアで、同時に試合をするというのです。
会長の座こそ退きましたが インテルのオーナーであり続ける マッシモ・モラッティは、 インテルを買った時から、 彼らが日本でプレイするのを見たいものだと、 願いつづけてきました。 理由はふたつ。 ひとつは彼が「日出づる処の国」日本の 大ファンであるから。 ふたつめは、 そこでは世界一のクラブ・チームを決める トヨタ・カップが開かれるからです。 インテルは欧州選手権 (UEFAチャンピオンズ・リーグ)に 勝てなかったので、 南アメリカのチャンピオン・チームと 日本で対戦する夢は叶いませんでした。 でも、来る7月27日に、 インテルのオーナーであるマッシモ・モラッティと ジアチント・ファケッティ会長の、 燦然と輝くこの夢の「半分」が 叶おうとしています。 そう、「半分」がね。 インテルが日本でプレイするのは、 もうみなさんご存知のことですよね。 埼玉カップの豪華な親善試合を 浦和レッズとプレイするのです。 話がこれで終れば 珍事でもなんでもなかったのですが、 日本へ行くということが インテルに苦しい選択を迫っていたのです。 ファケッティ会長とマンチーニ新監督は、 インテルがUEFAチャンピオンズ・リーグを よもや予選から闘うはめにおちいるとは 誰も考えていなかった、 今から数カ月前に下されていた、 ある決定がもたらした問題を前に困惑しました。 モラッティ、マンチーニ、ファケッティ 二重契約が判明したから、なのです。 浦和レッズとの親善試合の契約をした責任者は、 すでに、インテルを辞職させられています。 そして新しい経営陣たちの頭の中では、 この浦和レッズとの試合の契約が、 なんと、すっぽ抜けていたのです。 その一方で、 新しい経営陣は新しい別の契約を ちゃくちゃくと進めました。 トロフェオ(トロフィー)TIMという名前で、 イタリアの3大宿敵の三角形、つまり ACミランとユベントスとインテルが サン・シーロ競技場で闘う契約です。 問題は、その試合がいつか、ということです。 もう、おわかりでしょう? そう、7月27日の夜。 インテルが埼玉でプレイしているはずの日です。
これが発覚した時には、 会社全体がこれ以上ないほどに混乱しました。 さあ、大変!! なんとか解決の手段はないものか? 解決といっても、無理だろう。 莫大な違約金を支払って、許しを乞うのか? いやいや、金で解決できる問題ではあるまい。 かたや、インテルのティフォーゾも多く、 ヴィエリ、アドリアーノ、レコバ、カンナヴァーロなどの 黒青シャツのチャンピオンたちも人気のある日本での、 価値ある国際的な親善試合。 もう一方は、イタリアで行われる 各45分の親善試合がふたつ。 会場のサン・シーロ競技場は、 新監督ロベルト・マンチーニのインテルを見る為の ティフォーゾたちで満席になるでしょう。 これらの試合は、 すでに重要なテレビ局に売ってしまっています。 すったもんだの挙げ句に、 7月14日水曜日、 やっと決断がくだされました。 両契約とも決行!! およそ35人の所属選手が いつでもプレイできる状態を保っているこのチームを、 7月27日は、ふたつに分けようという決断です。 インテルは大チームです。 もちろん正選手がきっちり11名しかいないのではなく、 11名がピッチに入り、すぐにも出場できる状態で ベンチ入りしている選手もふくめた18名が正選手です。 これに予備選手を加えれば、 ふたつに分けても8、9名の正選手を各チームに使えます。 7月27日、ひとつのチームが 日本の埼玉で親善試合にのぞみ、 もうひとつがその9時間後に イタリアのミラノで トロフェオTIMに出場するわけです。
インテルのオーナーであるマッシモ・モラッティは こう表明しています。 「この不祥事を遺憾に思います。 しかし、私の愛する日本においては、 将来にむけてポジティブな見通しを立てておりますので、 日本へはぜひとも強いチームを送る必要があります。 このゲームは私に誇りを持たせ、 日伊両国のサッカーにおける友好を 固めることでしょう」 ジアチント・ファケッティ会長は埼玉知事と主催者に、 この勘違いを説明すべく、 そして、7月27日にインテル全員が来日できない理由の 説明もしたためた手紙を送ったようです。 新監督のロベルト・マンチーニは、 とても残念そうです。 彼はまだ、7月27日に埼玉で インテルのベンチにいるのかどうかすら、 知らないままです。 「ぼくの友人で、 日本で仕事がうまくいっているチェレオと、 抱き合えたら嬉しいのですが・・・」 インテルの経営陣が新しくなったのは事実で、 人事の大きな動きに混乱はつきものです。 でも、 「なぜいつもインテルにだけ、 こういった問題がおきるのか?」と、 彼らは自問してみたほうが 良いのではないでしょうか? 次回には、 もっと明確であって欲しいと ぼくは思います。 同じイタリア人の、ぼくといたしましては、 本当に、切に、そう願います。
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2004-07-19-MON
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