フランコさんのイタリア通信。 |
フランコの2006春夏 ミラノ・コレクション通信。 若さは美しさに勝る。 これが今回のミラノ・コレクションの テーマのようです。 1週間のミラノ・コレクションに参加した ファッションデザイナーたちは、 まるで全員で申し合わせたかのように、 若いセクシーさを前面に押し出しました。 アルマーニからミッソーニ、 クリツィアからドルチェ&ガッバーナまで、 みんなが客層の若返りを望んでいるようです。 というわけで今回は サッカーの話題をおやすみして ミラノからファッションの話題をお届けしましょう。
カット、デザイン、生地に始まり、 陽気で明るい細工にいたるまで、 そこに見えるのは化粧で作る美しさよりも、 若さそのもののアピールです。 20歳。これがキーワードです。 いえ、実際に20歳ではなくても、 とにかくそんな気分でいることが大切なのです。 プリーツや裾広がりの薄いスカート、 物憂さの漂うなめらかな生地のパンツ、 マリンルックのボーダーシャツ、 ちいさなカーディガン、 軽やかな衿の折り返しやシフォンの差し込み、 シルクの縁取りといった細工をほどこした スエードのジャケットもあります。 そして、ドレスの数々。 シフォンの雲のようなロングドレスあり、 ウエストのくびれを見せる膝丈のドレスあり‥‥ えりぐりは、まるで新しい宇宙のように奔放に広がり、 美しさより先に若さを印象づけます。 ジャケット、ブラウス、シャツ、ニット、 そのカットや一個だけついたボタンや折返しなど、 デザイナーたちが思慮深く細工し、 気を使った部分に目が止まります。
そして、ジョルジオ・アルマーニの、 胸をやっと被うだけの、そこに胸が透けて見える チュールのショールにいたっては!
「これ以上に美しいものが他にありますか?」と ジョルジオ・アルマーニは、ちょっとずるそうに 腕をひろげながら言うのです。 完璧な胸をもっていれば、 それより美しいものなんてありませんよ! 身体を被うものを作る人に向けたこんな皮肉も、 相手がアルマーニなら許されるのです。 そもそも「Made in Almani」に、 通俗な物は存在しないという大前提がありますから。
オッタヴィオ・ミッソーニも、 ただごとではない美しさの、 彼が所有する庭園に囲まれた素晴らしい自宅兼仕事場から、 力強いメッセージをこめたコレクションを送り出しました。 「ミッソーニ・スタイル」と言われる色の魔術師の彼も、 かつてなかったほど若い色使いに取り組みました。
「20歳」は、 ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナの コンビにとってもキーワードです。 彼らのドルチェ&ガッバーナとしての共同活動が 20周年を迎えましたから。
彼らの20周年を祝うコレクションは、 ちょっと昔、私たちのノンナ(おばあちゃん)たちが 若かったころを振り返るようなスタイルでした。 彼女たちはどんなふうだったんでしょうね。
ドルチェ&ガッバーナが、 共にファッションを担った20年を記念して 記者たちにあてたプレゼントは、 「D&G」を完璧な白一色だけに単純化しながら、 彼らが作りました。 未発表のコレクションも色数はおさえながら、 レース、チュール、白い麻布などの素材や、 ふくらみやリボンといったロマンティックなパーツが 細かく、そしてふんだんに盛込まれた 柔らかな作りです。 そう、ノンナ(おばあちゃん)の 真っ白いランジェリーを思わせます。 ノンナがまだ若く、 男たちや親たちを困らせていたころの。 その下に、メゾンの「must」である ブラジャーや丈の長めの下履きが透けて見えますが、 衝撃的というよりは深く計算されています。 ということは、 元青年のドルチェ君とガッバーナ君は おとなしくなってしまったのでしょうか? なんのなんの! 彼らの最新の発表はすべて、 スーパーセクシーでスーパー青春です。
それにプライベートな場でも、 彼らはまだまだ「おとなしく」はありません。 彼らの大きな愛は終ってしまったようで、 ステファノは新しい恋人と一緒になり、 やはり新しい恋人のできたドメニコと別れました。 彼らは今、 ミラノの同じアンティックなマンションで、 それぞれ別の階に別れて住んでいます。 それぞれ新しい恋人とね。 これも若くい続けるための、 ひとつの方法かもしれません。 自分たち自身が若くいることで、 彼らの作る、いつも新しく、いつも楽しいジーンズや ニットやアクセサリーを身につける「若くない人」にも、 若い気持になってもらえるということでしょう。 彼らはもはや愛のためには一緒にいませんが、 仕事ではつながったままです。 たくさん儲けるということも、 もしかすると、若くい続ける秘けつかも‥‥・
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2005-10-04-TUE
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