フランコさんのイタリア通信。 |
ペルージャの会長一族、逮捕拘留! またもや、イタリアサッカー界に スキャンダラスな出来事が起きました。 犯罪性の強い話題がますます増えつつある イタリアサッカー界ですが、 今回の事件は「今年度一番のスキャンダル」 かもしれないと、ぼくは思います。 サッカーチーム、ペルージャの会長と、 執行力を持つ副会長が、逮捕拘留されました。 アレッサンドロとリッカルドの「ガウッチ兄弟」です。 これに加えて5人の関係者も拘留されました。 ペルージャの刑務所では、もうひとり、 全員の中でもっとも有名な人物を待ち受けています。 「ガウッチ兄弟」の父親で、 チームを息子たちに渡す前は 長いことペルージャの会長だった、 ルチアーノ・ガウッチです。
ルチアーノ・ガウッチは、 長年にわたってイタリアサッカーの重要人物でした。 彼は、政治の大物たちや、 資産のゆたかな大銀行に守られていたのですが、 ついに彼の夢の城が、イタリア司法に大きく触れる 違法行為とともに崩れさりました。 1998年の夏、 ペルージャが中田英寿を買うことを発表した時に 会長だったのが、このルチアーノ・ガウッチです。 この時、イタリアのサッカー界は、 これは際限なく夢見るルチアーノ・ガウッチが 宣伝を目的に取り引きしたのだろうと思いました。 話題を集めることで宣伝効果をねらったのだろう、と。 それから8年ほどがすぎ、 数チームで活躍した中田は、もうイタリアにいません。 そして、息子たちにチームを任せ、 その代わりでもないでしょうが 若い恋人と一緒にカリブのドミニカ共和国の首都である サント・ドミンゴで悠然と暮らしている ルチアーノ・ガウッチに届いたのは、 国際的な拘留令状でした。 ペルージャの刑務所は、 ルチアーノ用の独房を用意して待ち受けています。 先ごろ拘留された二人の息子と、 「日出る処」の国からきた中田のローマへの譲渡を 皮切りに起こった一連の不正事件に関与した5人が、 それぞれ入っている独房の近くだそうです。 彼のおかした違法行為は、脱税です。 中田をローマに譲渡したさいに 1500万ユーロを受け取ったはずですが、 これだけではなく、ほかの何人かの選手たちの 移動に伴う1000万ユーロほどの収入も、 イタリア国税庁に申告されていなかったのです。 ここ数年のルチアーノ・ガウッチは、 ペルージャだけでなく、 ほかのチームもいくつか持っていました。 じつは、これはイタリアの法律で認められていません。 彼は架空人物をでっちあげて、 法の目をかいくぐっていたのでした。
そんなルチアーノ・ガウッチですが、 感じが良すぎるくらいな好人物だと、 だれからも思われていました。 ‥‥誰からも好感をもたれるように 気を配っていたのでしょうね。 中田購入のあと、彼はほかにも 外国の選手を何人も購入しました。 しかも前例のない国から。たとえば最初の韓国人である アン・ジョンファですが、彼は日韓共催W杯で イタリアを敗退させることになりましたね。 それから最初の中国人、最初のイラン人、 そして世界中の大きな話題となった 「リビアのガダフイ大佐の息子」を呼んだのも、 ルチアーノ・ガウッチです。 ルチアーノは可能な限りのテレビ放送に出演し、 自分自身についてしゃべりまくり、そして、 彼のチームのひとつであるヴィテルベーゼのためには、 女性の監督、カロリーナ・モラーチェを採用しました。 アンコーナ、カターニャ、サンベネデッテーゼと、 つぎつぎにサッカーチームを手に入れ、 つねに美女たちをはべらせ‥‥、 そして最新の恋人はなんと彼の息子の元恋人です。 サッカーの世界に入る前は熱心な競馬の愛好家で、 彼のもっていた純血種の馬(サラブレッド)は、 世界でもっとも有名なレースのひとつである l'Arc de Triomphe (凱旋門賞)に、 パリで勝利しています。 その馬はトニービンという名前で、 凱旋門賞で勝ってからしばらく後に、 種馬として日本の牧場が買いとりました。 名馬、サッカー、お金、美女たち‥‥ 夢のようだと思う男性が、 世界各地にたくさんいることでしょう。 でも、その夢は仕掛けがバレて突然にこわれ、 いまや悪夢という本性をさらしています。
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2006-02-07-TUE
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