フランコさんのイタリア通信。 |
イタリア代表アズーリ、4強入り。 もうみなさんもご存じのように、 イタリア代表のアズーリがW杯ドイツ大会の 決勝トーナメントで、4強に勝ち進みました。 2002年大会の対韓国戦で敗れたことの雪辱は、 これでひとまず果たしたことになります。 イタリアのティフォーゾたちが夢見ているのは、 清潔なサッカーであり、 買収されていない審判たちであり、 子どものころにボールを脚の間に捕らえた時から 彼らが愛し続ける「真のサッカー」です。 イタリア本国を今おおっている数々のスキャンダル、 ユヴェントスやACミランやラツィオ、 フィオレンティーナといった サッカーの歴史を作ってきた栄光に満ちたチームの 罪を暴いて行く裁判、 これらすべてを忘れさせてくれるのは、 アズーリが今、W杯で見せてくれる活躍です。 そしてイタリア人たちが望んでいた 「真のサッカーの勝利」こそは、 対ウクライナ戦でアズーリが見せた勝利です。 実は、対ウクライナ戦の数日前のこと、 スキャンダルの中心にいるユヴェントスの選手であり、 イタリア代表アズーリの選手で、 しかし数カ月前にプレイを止めていた ジャンルーカ・ペッソットが、 ユヴェントスの本拠のある建物から 飛び下り自殺を計りました。 彼は一命はとりとめましたが、 一時は命の危険さえある状態でした。 これを知ったアズーリたちは試合の後で、 「ペッソット、君にはぼくらが付いている」と 団結の気持ちを印した横断幕を掲げました。 アズーリのこの行動は、 イタリア人たちを更に魅了しました。
さて、対ウクライナ戦ですが、 シェフチェンコの脅威は、ありませんでした。 イタリアは完璧にウクライナに勝利したのです。 24年前、1982年にスペインの地でアズーリが 世界チャンピオンになった時の夢を、 イタリア人たちは再びふくらませ始めました。 まるであの時のように、 イタリアのティフォーゾたちは この勝利を祝うために広場にくり出しました。 トレビの泉を始めとする有名な噴水に 飛び込む者たちがいたり、 ミラノのドゥオーモ広場など 街が大画面を設置した所では、 現地ハンブルグの競技場に負けず劣らずの 熱狂振りが繰り広げられました。 ‥‥まだ準々決勝戦に勝っただけなのにね。 マルチェッロ・リッピ監督は アズーリを世界4強に進めることができました。 この2月の負傷でW杯出場さえ 危ぶまれていたトッティは、 その復調した姿をアピールしました。 そしてトーニは、 やっとその存在を強烈に示しましたね。 フィオレンティーナのフォワードセンターである彼は、 (インテルが彼を購入しようとしていますが) カンピオナートでは最多ゴール選手の座を すでに勝ち取っています。 彼のゴールの数々がフィオレンティーナを セリエAで4位に押し上げたのです。 そして対ウクライナ戦で2ゴールを印した彼は、 W杯の場においても桁外れのアタッカーであることを 自ら確信したことでしょう。 イタリア人たちはサッカーを通して、 自分たちが抱えている問題の数々を忘れ‥‥、 または、「忘れようとして」います。 今の時点ではアズーリが大活躍していますから、 これは心を落ち着かせる要素になり得ます。 アズーリがボールを追って走る姿を テレビで見ながら熱狂する時、 経済問題、進むインフレ、ストライキの増加など、 彼らを悩ませる問題の数々のことは しばし忘れていられるのです。 これがW杯の素晴らしい点です。 世の中には夢見る人びとがいるものです。 詩人とか、神に希望を託す聖人のような人とか、 まるでいつも大海原を 航海しているような生き方の人とかね。 イタリア人とは、そういう夢見る民なのです。 でも、この夢はいつまで続くでしょうか?
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2006-07-04-TUE
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