フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

モラッティ、かつての意欲を取り戻す。


イタリアではインテルが、
清潔なサッカーの主役になりました。
もう買収された審判たちもいませんし、
プレイされる前から結果が決っているゲームもありません。

前にインテルがスクデットを獲得したのは1989年が最後。
すでに多くの年月をへだてています。
強敵だったユヴェントスはセリエBに降格されました。
インテルと同じくミラノをホームとする宿敵ACミランは、
セリエA残留ながらペナルティーの8点減点でスタートし、
成績は下位におりますが
スクデットを勝ち取るための闘争力に欠けます。
そんな中で、インテルの15個めのスクデットへの勢いは、
もはや抑えることが出来ないように見えます。
イタリア国内のみならずヨーロッパ内で、
まだまだ最良の札を使ってプレイできるはずです。
改めてインテル会長に納まりなおした
マッシモ・モラッティは、
かつての意欲を取り戻したようです。

ベッカムとブッフォンがほしい!


選手たちはと言えば、
イブラヒモヴィッチはスペクタクルを展開して
黒と青(インテルの色)の
ティフォーゾのアイドルになりました。
クレスポは若返ったように見えます。
チーム全体が、ピッチに下り立つたびに
大喝采をうけています。

インテルは今、イタリアの偉大な主役です。
でもマッシモ・モラッティ会長はチームを
もっと重要な舞台に返り咲かせたいと望んでいます。
彼の父親が60年代に、
ヨーロッパと世界のあらゆるゲームの勝利に
チームを導いたように。
そのために彼は、
1月に完結するであろうサッカーマーケットの戦略を、
はるかに手前の今から準備しています。

ルイス・フィーゴは、彼のキャリアを
スポルティング・リスボーナで終えるために、
ポルトガルへ戻るにちがいありません。
そして彼のポストを埋めるためには
デイヴィッド・ベッカムのような
一級の「スター」が欲しいと、
モラッティは望んでいます。

このイギリス人チャンピオンは、
もはやレアル・マドリードに満足していませんから、
インテルに来ても良いと思っているかもしれません。
実際に、インテルと関係のある
いくつかの企業(例えばピレッリ)が、
彼との最高級の広告の契約を考えています。

ベッカムは、たぶんサッカー選手として
優秀であるにも増して、
そのキャラクターの方が有名ではないでしょうか。
ともかく彼が世界で最も有名な
選手の一人であることを思えば、
インテルをあらゆる面で人気のあるチームに戻すためには、
ふさわしいチャンピオンでしょう。

モラッティがインテルに入れたいもうひとりの選手は、
アズーリの一員として7月9日に世界チャンピオンになった
ゴールキーパーのジャンルイジ・ブッフォンです。

ブッフォンは現在、セリエBに降格された
ユヴェントスに残ってプレイしています。
次期のUEFAチャンピオンズ・リーグに
参加できなないだけでなく、
セリエBへの降格で経済的にも大打撃を受けた
ユヴェントスは、「お金」が必要です。

ベッカムについてのインテルとレアル・マドリードの
交渉はすでに始まっており、
あとは金銭面の折り合いをつけるだけです。
一説には2000万ユーロと言われていますが、
この高額金もスポンサーのお陰で穴埋めされるでしょう。
その一方で、ブッフォンに関するユヴェントスとの交渉は、
1500万ユーロと言われる契約金の交渉の他に、
インテルが譲渡を拒まないであろう
キーパーのフランチェスコ・トルドと
ディフェンスのワルテル・アドリアン・サムエルに
関しても取り決められるようです。

世界一有名なデイヴィッド・ベッカムと
キーパーとして最優秀なジャンルイジ・ブッフォン、
この2人が組めば、インテルを高く、
高く高く引き上げることが出来ると、
マッシモ・モラッティならずとも思えます。


訳者のひとこと
インテルがばく進していると聞くと
なぜか微笑ましく思えるのは、
マッシモ・モラッティさんの
純情青年のようなキャラクターの
お陰かと思われます。
去年までの「苦悩」の連続さえ、
まるでこの日のためにあったかのような
大どんでん返しですね。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2006-11-14-TUE

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