フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

パレルモの快進撃!


ぼくがこの夏に素晴らしい休暇を過ごしたシチリア島は、
大地と太陽、山と海、火山などの甘味な景色があふれ、
その内側に、
大きな情熱とマフィアの悲しい歴史をかかえる地ですが、
今そこに「サッカー」という大きな要素が加わりました。

カターニャ、パレルモ、メッシーナという、
それぞれがホームとするシチリアの街と同名の3チームは、
過去にもセリエAでプレイしたことがあり、
十分にカンピオナートを闘うことはできましたが、
抜きん出て素晴らしかったためしはありません。

彼らがセリエAでプレイした時期もバラバラで、
この3チームが全部同時にセリエAにいたこともありません。

それが、今年は3チームともがセリエAにいます。
しかもその中の1チーム、
パレルモが最上位で闘っています。
このシーズンの終わりにパレルモが
少なくとも4位内に入るであろうことは、
容易に予想できます。
そしてUEFAチャンピオンズ・リーグでプレイする
シチリアで最初のチームになるであろうことも。

パレルモ、稼ぐ!


このパレルモというチームは、
ある種の経済的奇跡と呼ばれています。
毎年、将来性のある若者を購入し、
次のシーズンには彼らを大きなチームに売って
大金を稼いでいるのです。

たとえば3年前にトーニを500万ユーロで購入し、
翌年は彼をフィオレンティーナに
1200万ユーロで売ることに成功しました。

2年前にはグロッソを150万ユーロで買い、
昨年の5月に彼をインテルに600万ユーロで売りました。

このふたりは優れた選手です。
事実、彼らはドイツW杯でアズーリとして
優勝を果たしました。

パレルモの会長はザンパリーニという企業家で、
彼のスーパーマーケットのチェーンを、
北部のミラノから50kmの所にある
ヴァレーゼという街から
最南部のシチリアへ移転させ、
パレルモや他のシチリアの街に展開させています。

チームのパレルモは19日の日曜日に
カンピオナート最上位のインテルと対戦し、
150万ユーロという売り上げ金の最高額を記録しました。

パレルモがカンピオナートで見せている
とんでもない快進撃は、
ティフォーゾたちと会長を舞い上がらせています。

ティフォーゾたちは、
UEFAチャンピオンズ・リーグの試合を
ライブで見られると期待に胸をふくらませ、
会長はお金の計算をしてほくそえんでいるでしょう。
彼は、ディフェンスのザッカルドとバルザーリ
(ふたりともアズーリのメンバーです)、
ミッドフィルダーのディアーナらを、
まちがいなく次のメルカートに出すでしょう。

シチリアの3人の日本人。


そして、やはり健闘しているシチリアの2チームには、
それぞれに日本人がいます。

まずメッシーナには小笠原満男がいますね。
あまり出場しませんが、
出ると素晴らしいプレイをします。
もう一方のカターニャには日本人がふたりいます。
ひとりは将来性の有る若い森本貴幸です。
彼は今でも重要な若い力のひとりですが、
マリーノ監督はその将来をとても重要視しています。

カターニャのもうひとりの日本人は、
柔道整復師の柴田匡一郎さん。
もともとは森本選手の通訳としてシチリアに移りました。
その後、日本で大きな能力を生かして展開していた仕事を
カターニャで再び始めました。

小笠原、森本、柴田の3人は、
こんなにも日本から遠いのに
似ている所もあるシチリアをみつけました。

シチリアにも火山があります。
カターニャの近くにあるエトナ火山は
富士山によく似ています。
本島の近辺にある小さな島々にも
いくつかの火山があります。

サッカーが世界をつないでいますね。
シチリアの「サッカー的挽回」には
甘さと酸っぱさが同居していますが、
そこには「日出づる処」という詩的な名前を持つ国、
イタリア語では「ジャッポーネ」と呼ぶ日本も、
ちょっと味付けに加わっているというわけです。


訳者のひとこと
パレルモ、なんと現在セリエAの
2位につけています。
イタリアでも、
本当に話題をさらっているようです。

柴田匡一郎
(しばた・きょういちろう)さんは
仙台出身の柔道整復師。
日韓共同開催のW杯で
アズーリが仙台に滞在したのが縁で、
現在この仕事に就かれているようです。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2006-11-28-TUE

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