フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

ミラノとローマの二都市ものがたり。


イタリアサッカーに、
新しいことが起こりつつあります。
目下カンピオナートで1位と2位にいる
インテルとASローマのライバル関係が、
しっかりと伝統的なものになりそうなのです。
この2チームは、コッパ・イタリアにおいても、
今年で3度つづけて決勝戦対決をします。

昨年、一昨年はインテルが勝ちました。
まあ、今年もインテルが勝つであろうと、
全てのことからして、そう思われます。
インテルはカンピオナートで、先週の日曜日前に、
14ゲーム連続勝利の記録を打ち立ていますから、
どこからみてもインテルが有利でしょう。

インテルとASローマは、
皆さんもすでにご承知でしょうが、
それぞれ“イタリアの2つの首都”である
ミラノとローマの街をホームとするチームで、
いずれも最も血の気の多い、
そして多くのティフォーゾを抱えています。

▲ミラノのドゥオモ ▼ローマのコロッセオ



ミラノでは人は走り、
ローマでは歩く。


イタリアの2つの首都といいましたが、
もちろん政治的な首都はローマです。
ローマには各省庁、国会が集結し、
100年以上もその機能をはたしています。

しかしイタリア経済の中心地という意味で
ミラノも首都に値するとぼくは考えています。
この街の、アルファロメオから
ファッションに至るまでの活力が、
イタリアの、他の工業国らに勝るとも劣らない
歩みの原動力となっています。
ミラノでは人は走り、
ローマでは歩く、と言われているほどです。

ミラノで一番重要なのは仕事です。
ローマでは、なにしろ元祖「甘い生活」の街ですから、
「明日を考えないモード」で今日を過ごすことが、
彼らにとって最も大切なことのようです。

サッカーのチームも、
その2都市の性格の違いを表しています。

ミラノのインテルは「仕事人」です。
身体的要素では間違いなくトップです。
マイコン、ヴィエイラ、イブラヒモヴィッチ、
そしてマテラッツィらは全員が長身で体重もあります。
彼らの中で背が低い方でも190cmはあります。
もちろんイヴラヒモヴィッチは全てにおいて
純粋に高いクラスに属しているとしても、
とにかく彼らのパワーは
チームの主な武器になっていると言えるでしょう。

それに比べてASローマは「才覚」のある集団です。
よりラテン的なチームであり、
このチームのチャンピオンたちを見ると、
トッティ、マンチーニ、ピザッロ、ペッロッタらの
パワーのポイントは想像力です。

デル・ピエロとネドヴェドの
ユヴェントスはセリエBにおり、
カカと、そしてロナウドが新たに到着したACミランは、
すでにあまりに水をあけられており、
良く行っても4位止まりでしょう。

コッパ・イタリアの準決勝戦では、
ASローマがACミランを下しました。
アウェイで2対2、ホームで3対1という成績です。
一方インテルは簡単にサンプドーリアを下しました。
こちらは、アウェイ3対0、ホーム0対0です。
そして今シーズンの、この2つのライバルチームは、
UEFAチャンピオンズ・リーグでも
道を切り開くかもしれません。
準準決勝の相手はヴァレンシアとリオーネですから、
イタリア勢の勝利もあり得ます。

ユーヴェ不在、ACミランは混乱中、というわけで
イタリアでトップの2チームは、
まさにインテルとASローマなのです。
ある意味では、特にインテルは、
イタリアサッカー史の重要なページにしるされた
伝統ある2チームではありますが、
今ほどの真っ向からのライバル関係になったことは、
かつて一度もありません。

世界は絶えまなく変化していますね。
そしてサッカー界も例外ではないということです。

訳者のひとこと
世界は絶えまなく動いている‥‥
フランコさんのこの記事が届いた後に、
カンピオナートでは
とんでもない事件が起きましたね。
ティフォーゾの暴動で、
とうとう警察側に犠牲者が出ました。
このことについては、
来週にもフランコさんが書いて下さると思います。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2007-02-06-TUE

BACK
戻る