フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

インテル、敗退。


UEFAチャンピオンズ・リーグで、
ヨーロッパ8強の中に
イタリアの2チームが勝ち進みました。
これを上回ったのは、
3チームを進めたイギリスだけであり、
イタリアサッカーは期待ほどには
UEFAチャンピオンズ・リーグで
再評価されるに至りませんでした。
なにしろ一番期待されていたインテルが
ヴァレンシアに敗れてしまいましたから。

8強に残ったACミランとASローマも、
通った道は大きく異なりました。

ACミランはサン・シーロ競技場で、
あまり強豪ではないはずのセルティックと対戦し、
延長時間にカカが入れたゴールのお陰で勝ちました。
いっぽうASローマは、
キャプテンのトッティとマンシーニがチームをリードし、
素晴らしいゲームでリヨンを下しました。
ブラジル人ファンタジスタであるマンシーニは、
今年度のヨーロッパで見られた
最も美しいゴールのひとつを決めたのでした。

そうそう、サン・シーロ競技場でACミランが対戦した
セルティックの中で、
ACミランにとって危険だったのは中村俊輔だけだった、
ということも加筆しておきましょう。
彼の想像力はACミランのディフェンスを苦しめました。

インテルとヴァレンシアの殴り合い。


さて、話をインテルの試合にもどしましょう。
その試合は神経質なものでしたが、
審判が試合終了のホイッスルを鳴らした後に、
もっと酷いことになりました。
大変な殴り合いが繰広げられたのです。
この殴り合いについて、UEFAは、ここ数週間のうちに、
敗退したインテルと対戦相手のヴァレンシアをともに、
秩序を守るための厳しい措置をとり、
両チームを起訴をすることになるはずです。

試合の直後、
ヴァレンシアの予備のDFであるナヴァーロが
ピッチを走って横切り、
インテルのブルディッソを殴りました。

ブルディッソの鼻の骨は折れ、
気絶してしまったほどの乱暴でした。
これを見たインテルのコルドバとマイコンが
ナヴァーロをつかまえようとしましたが、無駄でした。
その場が大乱闘になってしまったのです。
その情景は、まったくもって不作法で、
世界中のテレビがこれを映しました。

インテルはカンピオナートを制しつつありますが、
こうしてUEFAチャンピオンズ・リーグから敗退した事で、
たいへんに不機嫌だろうと思います。
ヴァレンシアより完全に優位なチームなはずでしたし、
だれからも期待されていましたからね。

がんばれASローマ、
そしてACミラン!


ACミランは苦しんで勝利したのですが、
その結果には、ベルルスコーニ会長を筆頭に
誰もが感動していました。
ベルルスコーニは、すぐにこう公表しました。
「メルカート上の、すべての優れた選手たちを
 私は購入するだろう。
 なぜなら、我々は来期には勝たねばならないし、
 苦しみのないスペクタクルを
 見せねばならないのだから」と。

でも、今回の本当に大きな再発見は
ASローマの方でした。
リヨンに勝てると思っていた人は少なかったのですが、
その少数の人たちの期待は、
決勝トーナメント1回戦の中で最も素晴らしいと
断言できるほどの好ゲームで報われました。

ヨーロッパ大会のレベルでは、
自身の高いレベルを表しきっていなかった
フランチェスコ・トッティですが、
このフランスでの試合でスペクタクルを展開し、
チーム全体を変身させたほどでした。

こうしてACミランとASローマはヨーロッパの8強に残り、
このことにインテルも満足すべきでしょう。
インテルはカンピオナートでは
まさにASローマをひき離しており、
ACミランに至っては完璧に離れていますから──。
‥‥と言ってみても、
インテルにとっては慰めにならないかもしれません。
モラッティを始めとするティフォーゾたちは、
1989年の再来を恐れているのです。
あの年、インテルが勝ち取ったスクデットは、
ACミランのUEFAチャンピオンズ・リーグ優勝という
偉功のせいで、影が薄くなってしまいました。

今回も、そうなるのでしょうか?

インテル側はそうでないことを願い、
ACミランは確実にそうであることを願っているでしょう。


訳者のひとこと
笑ってはいけないのですが、
インテルのこの敗退を、
心のどこかで「インテルらしい」と
思ってしまうのは、私だけでしょうか。

俳優の生瀬勝久さんを見ると、
モラッティ会長の顔を思い出してしまいます。
これも、私だけ?
翻訳/イラスト=酒井うらら

2007-03-13-TUE

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