フランコさんのイタリア通信。 |
インテルの「待ち伏せ、尾行、盗聴」事件。 イタリアサッカー界で、まるでスパイ映画のような、 でも現実のスキャンダルが明かされつつあります。 それはもう、待ち伏せ、尾行、電話盗聴などが、 ふんだんに盛込まれている、 イタリアサッカー界の最新スキャンダルなのです。 主役は、昨年の八百長ゲームのスキャンダルでは 無罪だったインテルです。 大チームの中で唯一、 潔癖だったインテルだからこそ、 昨年のスクデットが彼らに渡されました。 この最新のスキャンダルでも、 インテルは“スポーツ的には”何も違反していません。 しかし、そのイメージ、正しさ、誠実さという面では、 インテルはリスクを背負いました。 特に、あらゆる疑惑からかけ離れているとして、 会長の手本と常に言われる マッシモ・モラッティ会長の背負ったリスクは 大きなものです。
イタリアの司法府は、 テレコム・イタリアが行った政治家らへの 電話盗聴の調査をしていました。 その過程で浮上したのが、 ヴィエリ、ロナウド、ユーゴヴィッチ、ムトゥなど、 インテルが1990年に尾行しスパイしていた 4人のサッカー選手の名前です。 当時インテルでプレイしていた彼らのほかに、 デ・サンティスという審判の名前も出ています。 彼のミスで、まさにインテルが 何度も被害をこうむっていたことから、 インテルの大敵であるユヴェントスとのつながりが あるのではないかと、 モラッティが彼を尾行させていたのです。 ヴィエリ、ユーゴヴィッチ、ムトゥ、ロナウド、 そしてデ・サンティス審判は、 トロンケッティ・プロヴェーラが 社長を勤めるテレコム・イタリアによって 追跡盗聴されただけでなく、 金銭の動きを掴むために銀行の調査もされていました。 プロヴェーラはインテルのナンバーツーでもあります。 このスパイ行為にたいする 選手たちの反発は猛烈でした。 1週間前まではヴィエリとデ・サンティス監督の 名前はが出ていただけですが、 今はムトゥ、ロナウド、ユーゴヴィッチも これに加わったのです。 選手たちの私生活もスパイされていました。 1990年の彼らの働きが劣悪だったので、 その理由を調べるためです。 事実、ヴィエリはちっともゴールを入れず、 ロナウドは少ししか練習せず、 ピッチ上のユーゴヴィッチは走るよりも 歩いていました。 ムトゥについてはコカイン使用の疑惑がありました。 彼がイギリスのチェルシーに移籍した後に、 まさにコカインの使用で出場停止になったところをみると、 この疑惑には十二分の根拠があったのでしょう。
モラッティがテレコムを通して行ったことが 合法的かどうかを知ることよりも、 イタリアサッカーのあらゆる汚れの 外にいるように思われるインテルというチームが、 この話から潔癖なまま抜け出すことができないのは 確かだということが、問題なのです。 昨年はユヴェントスが、 審判によってコントロールされた試合の数々で カンピオナートの結果を変える違法行為を犯し、 セリエBに降格されました。 同じ違法行為で、ACミラン、ラツィオ、 フィオレンティーナ、レッジーナが罰せられました。 この前例のない大スキャンダルの渦中で、 インテルだけが罪を犯していないとされたのです。 たしかにインテルは 審判らを腐敗させる行為はしませんでした。 ところが、審判の1人や自チームの選手たちを スパイさせていたことが、 今回、明らかになりました。 ゲームを八百長するのとは話がちがいますが、 醜く汚れた行為であることに変わりはありません。 もはやイタリアサッカーには救われる所が無く、 すべてが汚れ悪臭をはなっているように見えます。 W杯を制覇してから1年も経っていないと言うのに、 果てしなく悲しいことです。
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2007-04-10-TUE
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