フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

ACミラン、いざ、決戦のアテネへ!!



この5月23日の夜、アテネにおいて、
2006-2007UEFAチャンピオンズ・リーグの
決勝戦が行われます。
対決するのはイタリアのACミランと、
イギリスのリバプールです。

ACミランにとっては、
727日を経てついに迎える
大いなる雪辱戦です。

この2チームは、
2005年5月25日にも、
UEFAチャンピオンズ・リーグ決勝戦を
イスタンブールで闘いました。
それは、世界的サッカー史の中でも
最も美しく感動的な試合のひとつでした。
前半戦でACミランは、
クレスポの素晴らしい2ゴールと、
キャプテン・マルディーニの1ゴールで、
3対0と優位に立っていました。
しかし後半戦に起きてはならない事の全てが起き、
延長戦後にはACミランにとって最も残酷な
運命のいたずらが起きました。

後半開始後、
リバプールは6分間に3度もネットを揺らして
ACミランと同点に追いつきます。
その後、大会史上13回めの延長戦でも決着がつかず、
最終的にはPK戦で、
このイギリスのチームが優勝しました。

そして今、
この時の雪辱を果たす大きなチャンスを、
ACミランはつかんだのです。
イタリアのティフォーゾたちは、
もちろんアテネに行く準備をしています。
車で、列車で、飛行機で、
それにヴェネツィアとアンコーナからは
このために特別に船が出ます。
いざ、決戦のアテネへ!!

ACミラン勝利の立役者、
カカとシードルフ。


ACミランは、
この5年のうちで3度めの決勝戦を
アテネで闘おうとしています。
6度の優勝を納めているACミランの成績は、
レアル・マドリードに次いで2位です。

準決勝戦では
リバプールはPKでチェルシーを破り、
もう一方のACミランは、
イギリスチャンピオンのマンチェスターUを
見事に3対0で破っての決勝進出です。

ACミランの勝利は、
とりわけ優れた2人のチャンピオンの
桁外れな働きによるものでした。
ひとりは並外れたカカです。


▲カカ。

もうひとりは、UEFAチャンピオンズ・リーグで、
アヤックス、レアル・マドリード、ミランという
異なる3チームのメンバーとして、
3度の優勝を経験しているオランダ人のシードルフです。


▲シードルフと、テレビの収録で。

準決勝戦の4チームのうち
実に3チームを残したイギリスですが、
その支配力は縮小された格好です。
UEFAチャンピオンズ・リーグ優勝5回のリバプールが、
ACミランの対戦相手として決勝に残っているとはいえ。

ACミランのスターたちは、
リバプールの組織化されたゲームに
立ち向かおうとしています。
そして、それはベンチの2人の巨匠たちの
チェス対決といった趣きでもあります。
アンチェロッティ監督とベニテズ監督、
非凡な優秀さにおいては似ているものの、
まったく異なる性格を持つこの2人は、
どう駒を進めるのでしょうか。

ACミランvs.リバプール戦は
きっと感動的なものになるでしょう。


アンチェロッティ監督のACミランは、
選手たちや、その想像力を優先させます。
これはカカ、シードルフ、ピルロら、
試合の行われる夜でさえあればどの瞬間をも、
決定的なものにできるチャンピオンたちのお陰です。

ベニテズ監督のリバプールは、
ゲームの組織化を通して勝利を納めようとします。
そして来るアテネの夜には、
サッカーを構想するふたつの方法、
まったく異なるふたつの哲学の、
数知れない激突が見られることでしょう。

試合に立ち向かう選手たち、
想像力と機能性との対決、
(もしサッカーにおける機能性というものを
 論じることができるならですが)
どれをとっても、90分に渡り、
いや120分も、さらにPK戦もありえますが、
ともかく現在のヨーロッパサッカーが贈ることのできる
もっとも素晴らしいものを、
彼らは全て見せてくれるでしょう。

ACミランとリバプールのどちらが勝つか、
ぼくにもまだ分かりませんが、
何物にも勝るスペクタクルと感動がもたらされるのは、
もう絶対に確かです。
そうなのです、スペクタクルと感動、
これこそがこの決勝戦そのものの真の勝利なのです。
結果だけの問題ではないのです。


▲アンチェロッティ監督と立ち話。

訳者のひとこと
楽しみですねぇ。
フランコさんのワクワクが伝わってきます。

たぶんフランコさんは、
本当に冷静に、
「どちらが勝っても良い試合を見せてくれ」と
祈っていらっしゃると思います。

彼は、もちろんイタリアの味方でしょうが、
それより先に「サッカーというもの」を
深く深く愛していらっしゃいますから。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2007-05-15-TUE

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