フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

メルカート2007終盤戦


▲インテルのマンチーニ監督から
 「ほぼ日」宛てにサインをいただきました!
 なにが書いてあるかは「訳者のひとこと」をどうぞ。



2007年夏のカルチョ・メルカートは、
やはりインテルとACミランが火を吐いています。

インテルがASローマからデ・ロッシを得るために
提示した額が4000万ユーロ、
ACミランがバルセロナから
アタッカーのエトーを得るために
支払う用意のある額が5000万ユーロです。
インテルのモラッティ会長と
ACミランのベルルスコーニ会長、
このふたりが財布の紐を弛めるだけ弛め、
メルカートを最高額であおっています。

メルカートを盛り上げるのはやっぱり
インテルとACミラン!


インテルは2006-2007セリエAで
15個めのスクデットを勝ち取りました。
マンチーニ監督は、
ミラノのみならずヨーロッパの覇者である
ACミランを締め付けるために、来期は、
UEFAチャンピオンズ・リーグの優勝をも望んでいます。

ACミランはUEFAチャンピオンズ・リーグに優勝し、
12月にトヨタ・カップも勝ち取って
世界の頂点に返り咲きたいところです。
1990年に東京でアスンシオン(パラグアイ)の
オリンピアを打ち負かした時のように。
そして、その世界タイトルを獲得するためには、
なにがなんでもエトーのような偉大なアタッカーを得て
ロナウドの横につけ、
カカとともに世界でも例のない最強トリオを作りたいのです。


▲ACミランがほしがるエトー

ACミランには、
シェフチェンコを呼び戻すという考えもあったのですが、
チェルシーがインテルに
アルゼンチン人のクレスポを譲渡すると決定した後、
この考えはなんだかうやむやのまま消えてしまいました。

ACミランに対して、スペインからは、
レアル・マドリードがカカを得たいという
提示をしてきましたが、
ベルルスコーニ会長の返事は、
「論外だ」という、きっぱりと明確なものでした。

その一方でACミランはレアルから、
エマーソンを入手することが事実上決定しています。
彼はそんなに若いとは言えませんが、
そのぶん豊かな経験を持っています。

インテルはカリアリからスアゾ、
ローマからディフェンダーのキヴを
得ることがきまったようですが、
本命選手はダニエレ・デ・ロッシです。


▲デ・ロッシ

彼はイタリア代表アズーリの一員として
ドイツW杯で世界チャンピオンとなり、
イタリア人ミッド・フィルダーとして確実に最強であり、
世界でも最優秀な選手のひとりです。

インテルは来年100歳を迎えます。
そのバースデーのために、
モラッティ会長はティフォーゾたちに、
チームを国際的なレベルの大チームにしてくれる選手を
何人かプレゼントしたいのです。

おやおや、とんだまちがいが!


ところでインテルの100周年にまつわる
人騒がせな珍事がありました。
インテルは100周年記念の特製シャツを作りました。
そしてそれらがすでに数百枚プレゼントされた後で、
ふたつの「大まちがい」に気付いたのでした。


▲このタグにまちがいが!

まず、書いてある日付けが間違っていました。
「1908年3月9日」とすべきところが
「1908年3月8日」になっていました。
そして次に、
印刷されていた「nerazzuro」という言葉で、
これも大まちがい。
インテルのチームカラーである
黒=neroと、青=azzurroを重ねた単語なのですが、
正しくは「nerazzurri」と、
後の方のrは二つで、
この場合はiで終る複数形が正解です。

そのミスが発覚したので、
インテルはシャツを市場から引き上げ、
他の物で埋め合わせないといけないのですが、
ダブルのミスのあるシャツを
すでに入手した人はラッキーです。
ミスプリントは時が経てばレア物として高値が付き、
コレクターたちが探し求める物になるでしょうから。

大間違いも、イタリアサッカー界では
お金に替えられるということですね。

訳者のひとこと
まず「大まちがい」の証拠物件。

FOOTBALL CLUB
INTERNAZIONALE MILANO

ここは分かりますね?
STADIO GIUSEPPE MEAZZA
ジュゼッペ・メアッツァ競技場
ミラノの競技場の現在の正式名です。
改名前はサン・シーロという名前で、
ジュゼッペ・メアッツァが
インテルの選手名に基づいていることから、
ACミラン側はサン・シーロと呼んでいるそうです。
両チーム共有でホームとする競技場です。
さて問題は次、
8 MARZO 1908
イタリア語では日付けは
日、月、年の順序で書きます。
たしかに3月8日になっています、
9日が正しいのですね。
最後の行
100 ANNI NERAZZURO
ネーラズーロ 100年。
はい、まちがってます。

次にマンチーニ監督から
「ほぼ日刊イトイ新聞」へ。
イタリア人の手書き文字は解読不能が多いのです。
フランコさん、印字して送って下さいました。

Per 1101.com 1101.comのために
con simpatia 親しみをこめて
ROBERTO MANCINI ロベルト・マンチーニ

なのですが....ん? 
手書きではPerがPeになっています。
フランコさんによると、
立ったままで手許が落ち着かない状態で
書いてもらったので、書きまちがえたのかも、
とのことです。
マンチーニというサインに至っては
R.ManciniなのかManciniだけなのか解読不能、
ともかくマンチーニの
自筆サインであることは確かです。

イタリア人がイタリア語をまちがえると、
なぜか嬉しいワタクシでした。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2007-06-05-TUE

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