マンチーニ監督の心配事。
現代の多くの若者たちを襲う病に
「抑うつ状態」というものがあります。
自分が信じられない、先の事を考えたくないなどの
症状で知られていますが、
これは貧富の差をとわず、あらゆる人々をおそいます。
そう、一般的な若者たちだけではなく、
月に50万ユーロも稼ぐことができ、
有名で、ティフォーゾたちのアイドルである若者、
つまりサッカー選手たちのなかにも、
この病とたたかっている人がいるのです。
アドリアーノ・レイテ・リベイロです。
最良の時期にはティフォーゾたちから
「皇帝」とまで呼ばれていた彼が、
テレビカメラの前で、自身の戸惑いや
苦しみの全てを告白しました。
|
アドリアーノが落ち込んでいる理由。 |
インテルはここ3、4試合ほど彼を招集しておらず、
試合の時もチームは当たり前のように彼をスタンドに送り、
彼も当たり前のように帰宅することが続きました。
そして先週のこと、
彼はテレビ局らを集め、カメラに向かって
この夏と同じことをくり返したのでした。
「ぼくは父の死から、まだ立ち直っていません」
彼はふるえる声で、
ほとんど泣きそうになりながら話しました。
しかしながら、みんなが待っていたその告白は、
以前も聞いたことのあるものでした。
「元気をつけるために、
ぼくは夜ごとディスコにでかけ、
深夜に帰宅していました。
酒を飲むと気分が良くなるからですが、
それは一時的なことでしかないと分かりました。
アルコールの中で、苦しみを忘れようとしたのですが、
ぼくを愛してくれるチームや
ティフォーゾたちをがっかりさせていることは、
ぼくは分かっています」
そして、いつもの約束である
「飲むのをやめて、以前のぼくに戻ります」と、
彼はくりかえしました。
もう誰もそれを信じられません。
そしてマンチーニ監督はずばりと、
少なくもある程度の期間は、
このブラジル人アタッカーに望みは無い、
と言いました。
「アドリアーノは個人的に重大な問題を抱えています。
練習には来ますが、1日動くと3日来なくなります。
酒を飲んでいると言っているのですか?
それならケアしなければいけません。
私は彼を末の弟のように思い、愛していますから、
医者に見てもらうように彼に勧めます」とも。
|
いっぽうでアドリアーノを
ほしがる声も? |
アドリアーノ周辺には
新たなリアクションが続いています。
ASローマが彼を、
貸し出しでもよいから欲しいとしており、
ベルルスコーニは
ACミランでは彼は居心地が良いだろうと発言しました。
「彼ほどの偉大なチャンピオンを
欲しがらない者がいるだろうか?」と。
もっともこの発言は翌日には、
当のACミラン会長によって、
あの言葉はアドリアーノを力づけるために
親切で言ったことだと、訂正されましたが。
現実には、山のようなユーロを節約するために
インテルはアドリアーノを売りたがっています。
現在のアドリアーノの契約では、
2011年6月30日までに
総額2300万ユーロが予定されているのです。
つまりアドリアーノは今日から契約が切れるまで、
日に17,250ユーロ稼ぐことになります。
大した金額です。
これほどの金額であれば、
彼を長いこと、いや長すぎるほど苦しめている
抑うつ状態を忘れさせてくれそうなものですが、
どうやら、そういうものでもないのでしょうね。
訳者のひとこと |
この記事が到着した後で、
イタリアではラツィオとフィオレンティーナの
ティフォーゾたちの衝突があり、
ことをしずめようとした警官の威嚇射撃が
ラツィオのティフォーゾのひとりに命中して
死亡させるという
衝撃的な事件が起きました。
警官側にも数人の負傷者がでたようです。
詳細はフランコさんが
報告してくださるかもしれません。
今週のこの記事を翻訳しながら、
イタリアのラジオでこのニュースを聴いています。 |
翻訳/イラスト=酒井うらら |
|
|