フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

明暗ふたつの出来事。

franco

日本のゴールデンウィークに合わせて、
先週は更新をお休みいたしましたが、
さらにその前の週に、
明暗ふたつの出来事が
イタリアサッカー界を騒がせました。

まず“暗”の話から済ませましょう。

日本でもニュースになったと聞いていますので
ご存じのかたも多いと思いますが、
ACミランのロナウド選手が、
なんとも残念なことをしでかしました。
ACミランの会長ベルルスコーニは、
通算3度目のイタリア政府首相の座に返り咲きましたが、
そのこともあって倫理道徳面をただすという見本として、
今回のロナウド事件は見過ごさないでしょう。
ロナウドの契約を更新しないことは、
彼の最近の大けがの時にすでに決まっていましたが、
これでもう見直しの余地はなくなりました。

ロナウドは世界中の少年たちのアイドルであり、
サッカーに関わるすべての人々の手本ですが、
天使のように汚れのない顔をしている彼が陥ったのは、
彼の人生の中でも最悪の、
イタリアでは許されない種類の火遊びでした。

ロナウドは契約上6月30日まではACミランの選手です。
でもその後は無いでしょう。
それもサッカー的な理由からではなく、
サッカー界では歓迎されない性的スキャンダルによって、
彼の選手生命が断たれようとしています。
ACミラン会長でもあるベルルスコーニは、
このことについて直接のコメントはしたがりません。
もっとも何人かの友人たちには、
ロナウドのイメージはもはや永久に汚されたと
打ち明けたようですが。

franco

ロナウドの火遊び、大やけどに。

サッカーは「男性的」なスポーツとされています。
そのため、イタリアのサッカー選手は、
自分が男性に性的な興味があるとはあり得ないとし、
たとえそうであっても
カミングアウトはしないできました。

ティフォーゾたちは、彼らが若く美しく
見事な体格の持ち主であることを望んでいます。
そして、彼らにあこがれる女性たちや、
実際に恋人になる美女たちが
彼らを取り巻いていることについても、
当然なことと解釈しているでしょう。

そして実際にロナウドも、
世界の中でも最高に美しい恋人を、
つぎつぎと10人ほど替えて来ましたが、
このことについて「道徳上のモラル」は
問われませんでした。
相手が女性であるかぎり。

ところが、膝の治療のためにACミランが彼を帰らせていた
リオ・ディ・ジャネイロで彼が起こした騒動は、
人々を狼狽させました。

ことの次第は、こうです。
ある夜、ロナウドは、恋人を家に残したまま、
リオでもっともエレガントなディスコに行きました。
そして帰りがけに、
ひとりの女装した男娼を車に乗せたのです。

そのままふたりは、とあるモーテルに行きます。
そしてロナウドは、彼らより10分遅れで到着した
もう2人の女装の男娼も同室に誘いいれました。

さてその3人の男娼たちは、
彼らの「客」が有名なロナウドであると知るや、
さっそく彼を脅迫し始めました。
「3万ドル支払わないと、
 スキャンダルにして暴くわよ」と。

ronaldo

ロナウドも言いなりにはならず、
言い争いが始まります。
強烈な言葉が飛び交い、
モーテルの主人が警察を呼ぶまで
彼らは怒鳴り合っていたようです。

ブラジルでもイタリアでも
男性が女装の男性と割り切ったつきあいをすることは
違法ではありませんから、
そのことでロナウドが
裁判にかけられることはありませんが、
この事件で彼はぼろぼろになりました。

彼の恋人のマリア・ベアトリズは家から出てゆき、
彼とはもう会おうとしないようです。
彼のスポンサーであるNikeは、
ACミランのチャンピオンとしてのロナウドとの
コマーシャル契約を、キャンセルしようとしています。

ロナウドのキャリアが、
こんな最悪な終わりを迎えて良いものでしょうか。
なんと悲しい話でしょう。

franco

トラパットーニ、アイルランドの監督に!

さて、良い知らせの方ですが、
イタリアサッカーの不滅の星のひとり、
2002年日韓共催W杯でアズーリを率いた
ジョヴァンニ・トラパットーニがその主役です。

トラパットーニは、2010年のW杯南アフリカ大会の
予選突破を目指しているアイルランド代表の、
新監督になりました。
これは本当に嬉しい知らせです。

trapattoni

トラパットーニは良いワインのようなものだなぁと、
ぼくはつくづく思うのです。
その心は?
「良いワインもトラパットーニも、
 年を重ねるごとに、さらに素晴らしくなる」です。

torapattoni

訳者のひとこと

ロナウドの話は日本でも報道されましたね。
彼は「男性だとは知らなかった」
「自分は同性愛者だったことは一度もない」
と言ったようですが、
では相手が女性3人だったら
良いのかというモラルの話になるので、
どのみち、事がややこしくなるだけな気がしますが‥‥。

翻訳/イラスト=酒井うらら

2008-05-13-TUE

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