イタリアでは最強で押しが強く、
でもヨーロッパに出れば弱くて臆病‥‥
インテルの毎度おなじみのパターンが続いています。
UEFAチャンピオンズ・リーグでのインテルは、
マッシモ・モラッティ会長が監督を変えるために
山ほどのユーロを使い続けているにもかかわらず、
今までと変りません。
まるで呪われているようですらあります。
マッシモの父アンジェロ・モラッティのことを思えば、
ヨーロッパサッカーの最高の競争の場での
彼と彼のチームの勝利の名声は
ヨーロッパレベル、
世界レベルでなくてはならないのですが。
父アンジェロは熟慮の人でした。
エレニオ・エレラ監督を満足させるために
彼が買い与えたのは、
ルイス・スアレスだったのです。
スアレスはバロン・ドール選手であり、
ヨーロッパ‥‥いや、たぶん世界でも、
当時最高のミッドフィルダーです。
そうして父アンジェロ・モラッティが築いたインテルは、
チャンピオンズ・カップ2回、
インテルコンチネンタル・カップ
(現トヨタ・カップ)2回に勝利し、
スクデットも数個取り、
数年に渡って世界サッカー界を支配していました。
息子マッシモは父のようになることを夢見て、
ここ3年のカンピオナートを連覇した後、
マンチーニ前監督の替わりに、
最も有名な監督であるホセ・モウリーニョを入れました。
そして、記録的なシーズンを戦うつもりだったのです。
ところが事はそうは運ばず、少なくも今のところ、
父アンジェロのイメージが高い所から
インテルの歴史を支配し続けている格好です。
高い所といっても天国からという意味ではなくて、
他の追随を許さない一連の勝利の高みからです。
スアレス、マッツォーラ、コルソ他の、
60年代を支配したカンピオーネたちは、
いまだに、今日のカンピオーネである
イブラヒモヴィッチ、マイコン、アドリアーノらの
神話であり続けています。
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さて、モウリーニョ監督のインテルは、
マンチーニ前監督のインテルと全く同じように
カンピオナートを支配してはおりますが、
マッシモ・モラッティ会長は
7000万ユーロという大金を、
ただイタリア国内で勝利するためだけに
費やしたわけではありません。
インテルの実情はと言えば、
UEFAチャンピオンズ・リーグのリーグ戦を
2勝2敗2分けの成績で、
ギリシャのパナシナイコスにつぐ
グループ2位で決勝リーグに進みました。
そして、こんどの金曜日の抽選で
バルセロナ、マンチェスターU、リヴァプールなどの
大チームが準々決勝の対戦相手として
当たるのではないかと、
戦々恐々としている有様です。
マッシモ・モラッティにとって金銭に問題は無いとして、
モウリーニョが強く望んだクアレスマ選手一人に
3千万ユーロも使ったのは
「おバカな金持ち」の印象を
自らに与えてしまいました。
この手のおバカは、イタリアにおいてここ数十年来、
様々な監督たちが演じて来たのではありますが、
マッシモの父アンジェロは
決しておバカではありませんでした。
偉大な父の思い出が、
息子マッシモを苦しめています。
アンジェロ・モラッティは
身寄りのない貧しい少年時代を送りましたが、
1950年代の終わりには、
ヨーロッパ屈指の富と権力を築いていました。
その裕福な家庭に生まれた息子マッシモは、
近年他に類を見ないほど高価な石油を商うことで、
大した苦労も強いられずに富を保ってきました。
生まれた時から彼を苦しめているのは、
「偉大な父の影」なのです。
マッシモは、その影を追い払おうと必死ですが、
うまく行くのでしょうか?
春が来るころには結果が出るでしょう‥‥。
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