【読み方】

= こく
仕官 = しかん
浪人 = ろうにん



【浪人】

ご主人様がいない武士は、
すべからく浪人である。
徳川幕府の初期に、
豊臣系の大名の
取りつぶしなどで、
大量に発生する。

名字帯刀は許されて、
武士としては
認知されていたが、
その実、身分(士籍)は失われ、
町人と同じく、
町奉行の支配下にある。

仕官の口がない
浪人の行く末は、
内職、寺子屋の師匠、
剣術指南など。


【浪人と素浪人】

浪人と素浪人は同一の者を指す。
「素浪人」とは、
浪人のことを卑しめていう言葉。

越後屋などから、
「この素浪人めが!」
などと、罵られて、
危うく刀を抜きそうになる、
貧乏浪人を、時代劇などで
よく見かける。


【禄】

主君から支払われる
給料のことを「禄」という。
つまり、米で支払われる場合は、
「禄米」である。
くわしく解説すると、
武士の禄米明細は
次の通り。

[家禄]

先祖の功によって、
「家」に対してもらえたもの。
基本給と考えよう。

[職禄]
お役目につくと加算される。
例えば、藩士の場合は、
家老職につけば、
「家老」という職務に見合う
禄が支給される。

[扶持米]
家禄に分類されれるのだが、
小説などに頻出するので、
解説しておこう。
扶持米とは、
家族手当(家来含む)の
ことである。
「○○俵○人扶持」と表される。
1人扶持は、一日あたり
男5合、女3合で換算。

【石】

尺貫法の、体積の単位のこと。

1石は10斗、
100升、1000合である。

メートル条約批准後は、
180.39リットルとなる。
つまり、加賀百万石は、
加賀180,390,000
リットルである。


【現金支給】

下級武士の給料は、
米ではなく、
銀で支給されることがあった。

ちなみに、江戸時代において、
1年に3両1人扶持の
俸禄しかもらえない
軽い身分の武士を、
「さんぴん侍」といって、
蔑んだ。

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イラスト:小松紘子
問題文中のイラスト:トレース・ローズ
協力:大沢和宏
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