【読み方】

仇討ち = あだうち
敵討ち = かたきうち
返り討ち = かえりうち


【仇討ち/敵討ち】

江戸時代の「私刑」の形式である。
尊属(父母や兄)が
殺害された場合に、
その犯人を討ち取ることを言う。

武士の場合は、主君の免状が必要。
他国へ渡る場合は、
奉行所への届け出も必要である。
仇討ち(敵討ち)ではない場合は、
殺人罪に問われる。

仇討ちは一回限り。
つまり、
仇討ちを成し遂げた人物は、
仇の子供などによって、
仇討ちの対象にはならない。

明治6年、禁止令。


【敵持ちの行く末】

武家の当主が殺害された場合は、
仇討ちを果たさない限り、
家名の継承が
許されないことが多いため、
不幸にも父兄を殺害された場合、
血眼になってその仇を捜し出し、
討ち取りの旅に出る。
首尾良く討ち取れた場合はいいが、
仇を捜して、
諸国を放浪するハメになったりする。

また、その仇となった場合、
腕に覚えがある場合は、
刀の手入れをおさおさ怠らず、
「返り討ちにしてくれるわ。」などと
つぶやきながら、
逆に仇討ちの方をつけねらう、
などということもあったかもしれない。
が、腕に覚えがあっても無くても、
心は安まらないのであろう。

このあたりの、
仇討ちの心理については、
『仇討群像』などをどうぞ。
また、歌舞伎の
『研辰の討たれ』
仇討ちの物語でもある。


【3大仇討ち事件】

・曾我兄弟の仇討ち
・鍵屋の辻の決闘
・元禄赤穂事件
である。
[閉じる]
イラスト:小松紘子
問題文中のイラスト:トレース・ローズ
協力:大沢和宏
(C)Hobo Nikkan Itoi Shinbun