日本を代表する絵本作家のおひとり、
荒井良二さん。
「ほぼ日」乗組員にも、ファンは多数です。
荒井良二さんのお名前をはじめて耳にする方のために、
すこしご紹介をさせていただきますね。
荒井良二(あらい・りょうじ)さんは、
1956年、山形県生まれの絵本作家さんです。
1990年に処女作を発表してからずっと、
独自の世界観で絵本を作り続けていらっしゃいます。
出版された作品の数は
どうやら110~120くらいはある様子。
(ご本人もよく把握されていませんでした)
受賞歴は実に多数の荒井さんですが、2005年の
「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」受賞は、
とりわけ大きなニュースでした。
「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」は、
『長くつ下のピッピ』や『ロッタちゃん』などで有名な
女性作家・リンドグレーンを記念して、
2002年にスウェーデン政府が創設した
児童少年文学賞です。
荒井良二さんは、その権威ある世界的な賞の
日本人初受賞者になった方です。
そんな荒井良二さんから、
ふたつのおしらせをいただきました。
(最後に直筆サイン本のプレゼントもありますよ!)
まずは荒井さんが、
「あるお仕事」を引き受けるきっかけになった、
この映画のご案内から。
ただいま、シネカノン有楽町2丁目ほかにて
全国順次ロードショー中!
上映スケジュールや劇場情報など、
詳しくはこちらのオフィシャルサイトでどうぞ。
荒井さんご自身は
この映画の制作に関わっていないそうですが‥‥
どういう経緯で、「あるお仕事」に
つながっていったのでしょう?
そもそも「あるお仕事」とは?
いや、まずは面白かったんですよ、
とにかく映画を観て。
『ナビィの恋』や『ホテル・ハイビスカス』を撮った、
中江裕司監督の最新作ですね。
シェイクスピアの『真夏の夜の夢』をアレンジした作品で、
舞台が沖縄のちいさな島になってるんです。
でもぼくはシェイクスピアが下敷きになってるとか、
そういうことは関係なく、意識しないで観ました。
ひとつの物語として、純粋に面白かったんです。
この夏休みの公開ですよね?
ぜひおすすめしたいです。
(C)2009「真夏の夜の夢」パートナーズ
映画を観て、
「ああ、面白かったなあ」と、いい気持ちでいたところに、
「この映画のルーツになるお話が小説になるので
挿画を描きませんか?」
というお話をいただいたわけです。
なるほど、そういう経緯だったのですね。
こうして、
荒井さんが挿画を担当することになった文庫本が、
こちらになります。
中江裕司(著)
ポプラ社/672円(税込)
表紙から、もう、
荒井さんらしい絵が元気に描かれています。
本をぱらぱらとめくってみれば、
中にもたっぷりと荒井さんの絵がカラーで!
「映画のルーツ」とおっしゃるこの小説について、
引き続きお話をうかがいました。
映画の『真夏の夜の夢』には、
「沖縄題名」があるんですよ。
それが『さんかく山のマジルー』っていうんです。
マジルーというのは、キジムンのことです。
‥‥キジムンが何かわかりませんよね(笑)。
キジムンは「精霊」のことです。
この小説は映画に登場するマジルーのお話で、
「ずいぶん昔にこんなことがあった」
「こんな人間に出会ってこんなこともあった」
というようなことが書かれています。
だからルーツですよね、映画の。
この小説を読んで、
ものすごい映画の世界が広がったというか、
「ああ、なるほど」って細部が身近になったんです。
非常に重要な「プロローグ」‥‥と言うと失礼なのかな?
とにかく両方あわせると、世界観がグンと広がる。
映画を観てから読んでも、
これを読んでから映画を観ても、
どっちでもいいです、順番は関係ない。
でも、両方っていうのが重要だと思います、すごく。
最初は「1枚の大きな絵を」っていう依頼だったんです。
「そういうやりかたもありですね」
なんて言いながら実際にこの小説を読んでみたら‥‥
「これはいい! 10枚は描きたい」となりまして。
さらに割り振っていったらそれでも足りないとわかって、
「無理です、やっぱり15枚で!」(笑)。
表紙の絵を入れて16枚。
16枚っていうのは普通の32ページの
絵本ができる点数なんです。
けっきょく絵本1冊分を描いちゃったと(笑)。
中途半端にするんだったら
要所要所というか、
ちゃんと描いたほうが読む人に優しいかなと思って。
この絵とか、面白いでしょ?
シェイクスピアに会ってるんです(笑)。
ぼくも会ったことないのでね、シェイクスピアには(笑)。
絵でわからないといけないから、
「ウィリアム・シェイクスピア」って字で書きました。
ほら、それってモノマネでは基本じゃないですか、
「こんにちは、森進一です」とか(笑)。
似顔絵でも名前を書けば「ああ」ってなるでしょ?
親切ですよね、そのほうが。
似顔絵の話はともかく、
なぜかぼく、これを読み終わったときに、
「中学生は読んだほうがいい」と思ったんですよ。
なんでだろう? うまく言えないですけどね。
夏休みだし、いいと思います、ほんとに。
映画『真夏の夜の夢』の公開を記念して、
荒井良二さんの直筆サインを
『さんかく山のマジルー』に入れて、
5名さまにプレゼントいたします!
postman@1101.com宛に、どしどしご応募ください。
メールの件名に、
「さんかく山のマジルー希望」と書いてくださいね。
厳選なる抽選の上、当選者の方には、
送付先をお尋ねする当選通知メールを差し上げますので、
必ずご自分のメールアドレスでご応募くださいませ。
当選者の発表は、
当選通知メールの送信をもってかえさせていただきます。
締め切りは、2009年8月17日(月)の午前11時。
たくさんのご応募、お待ちしています!
荒井さん、ありがとうございました!
荒井良二さんの公式サイトはこちらになります。
『Ryouji Arai Official Web Site』
今回の取材は、原宿にある絵本の読める喫茶店、
「シーモアグラス」さんで行いました。
荒井良二さんの原画が、
壁にさりげなく展示されているんですよ。
お店のHPはこちら。ぜひ足をお運びください! |