映画監督、エッセイスト、CMプランナー、
ミュージックビデオ制作、TVドラマの演出などなど‥‥。
ほんとうに多岐にわたってご活躍の、大宮エリーさん。
そんな大宮エリーさんは、この春、
どうやらさらに活動の幅を広げてらっしゃるご様子。
ふたつの「はじめて」に挑まれているのです。
そのふたつについて、
たっぷりご紹介させていただきますね。
演劇大宮エリー第一回公演
『GOD DOCTOR』
作・演出/大宮エリー
出演/片桐仁 石田ひかり
松村雄基 遠山景織子
山下真司 板尾創路
【東京公演】2008年5月4日(日)〜5月18日(日)
新国立劇場(小劇場)
【兵庫公演】2008年5月22日(木)・5月23日(金)
兵庫県立芸術文化センター(中ホール)
舞台作品の作・演出に、初挑戦です。
ご覧のように、豪華な出演陣なのですが、
「ほぼ日」的に気になるのは、
やはり板尾創路さんの動向ではないでしょうか。
板尾さん、演劇も!
しかも今回は、まさかの「長ぜりふ」もあるとか?!
喋り続ける板尾創路‥‥見逃せません。
ちなみに上のポスターは、
「ほぼ日」でもすっかりおなじみ
アッキィことアートディレクターの
秋山具義さんが手がけたもの。
すくなからず、ご縁を感じる舞台です。
それでは、大宮エリーさんご自身に、
舞台のみどころなどをお話していただきましょう。
「5人の研修医の話なんです。
なぜかわたし薬学部を出てたりするんで、
いつかメディカルな作品をやりたいと思ってたんですよ。
“お医者さんの権威”に興味があって、
それをコメディにしたらおもしろいだろうなあ、と。
『先生、わたし風邪なんですけど』
『それを決めるのは私だ、勝手に診断しない』
みたいに言われることありますよね(笑)。
そういうのを、童話っぽく描きたかったんです。
神でもなく人間でもないっていう中途半端な存在の
5人の研修医がいて、神様を目指してるんですよ。
だからタイトルは『GOD DOCTOR』。
みんなでよってたかって、患者さんである人間を
「しあわせにする」治療を行うんです。
みごと幸せにできれば、神様になれるんです。
まあ、幸せって何なのか、逆に不幸って何なのよ、
ということを問いかける舞台なんですけどね。
えー、まあ、板尾創路さんが患者役をやります(笑)。
一方わたしは、初めての作・演出ですからね‥‥
まず稽古の流れとかからわかんないんですよ。
これはヤバイと思って、
現場を見ることで自信もてるかなと、
ほかの演出家さんの稽古を見学しにいったんです。
岩松了さんやG2さんの稽古場に。
役者さんとかに驚かれましたけどね。
他の演出家を見学にきた演出家なんていないって(笑)。
いやもう、ほんと、ヤバイっすね。怖いっすよ。
ぜひこの、怖い感じをみにきてもらいたい(笑)。
はじめての演劇で、新国立劇場って!
ちいさな劇場からやればいいのに! とかもね。
出演者もそうそうたる顔ぶれじゃないですか。
板尾さんとラーメンズ片桐仁さんの初共演とか、
スクールウォーズコンビ再結成(笑)とか。
石田ひかりさんは、もう『あすなろ白書』を
思い出せないくらいの悪い女をやります。
あと、遠山景織子さんもコメディエンヌとして
振り切れるところまで振り切ってもらうとか。
そして音楽は近田春夫さん!
なんと11曲書き下ろしですぜ。働いてもらいますっ。
色々チャンレジしてます。サービス業なんで、わたし。
でもチャレンジしておきながら
初めてなんで、本当は内心、びくびく。
逃げたいです、正直。
だからこの勇気だけはホメてもらいたいですよ(笑)。
でもですね、タイトルの前に大きく
“大宮エリー第一回公演”って書いてあるでしょ?
演劇はずっとやっていこうという、
ここに真面目な姿勢を表してるわけです。
1回目は、やっちまったーってことになるかもしれない、
っていうそんなスリルも含めてみにきてほしい!
怖がりながらもやっちゃってるわたしの姿をみて、
“おれだって何かできるかも!”とか、
“家買っちゃうか!”とか“離婚しちゃおうか!”とか、
そういう勇気を持って帰ってもらえると、
うれしいなあと思っているんです」
‥‥これはいろんな意味で、
スリリングな舞台になりそうですね!
公演時間や料金は、東京公演と兵庫公演で異なりますので
詳しくはオフィシャルサイトでご確認ください。
チケット購入のご案内も、そちらで!
そしてそして、ついさきごろ、
3月14日には、初のエッセー集が出版されました。
『生きるコント』
大宮エリー
文藝春秋/1260円(税込)
2008年3月14日発売
こちらはもう、前置き抜きで、
大宮エリーさんにお話をうかがいましょう!
「よく人に“お前の人生自体がコントだ”
といわれるもんで、
そのまま『生きるコント』というタイトルで、
週刊文春で連載をはじめたんです。
それがめでたく書籍になったんですが、
なんででしょうかねえ‥‥
真面目に生きているつもりなんですけど、
なんでか、身の回りで変なことが起きるんです。
たとえば‥‥うちの事務所の下に、
ピンクのポルシェが停まってたでしょ?
あれわたしのなんですけど、わたし免許ないんですよ。
もらったんですよ。
ある日、撮影に行ったとき
現場にピンクのポルシェが停まってたんです。
“誰の車だろ”って思ってたら、
男性のヘアメイクさんが、
『エリーちゃん、送ってくよ』
ピンクのポルシェに乗せられて高速道路走って、
その間ずっと車の話ばっかりしてて、
『俺さ、このポルシェ売るんだよ』とか言ってるんです。
ふーん、って聞いてたら、
『でもさ、俺みたいにこのピンクのポルシェが
似合うやつってなかなかいないわけ』
しまいには、
『人が車を選ぶんじゃない、車が人を選ぶんだ』
とか言い出すしまつで(笑)。
もう、わたし、おかしくてゲラゲラ笑ってたら、
『だからエリー、選ばれたんだ』
‥‥二度見しましたよ。あまりのことに。
家まで送ってもらったら、
ほんとにそのまま車を置いて帰ろうとするんです。
免許ないからって断ったんですけど、
『そんなの関係ねえ!』って。
まだ、小島よしおがはやる前ですよ?!
‥‥ご覧いただいたように、ピンクのポルシェはいま、
ネコのたまり場になっているわけです。
近所から苦情はくるし‥‥
ポルシェが汚いというのは、非常に残念なかんじです。
そういう、わたしにとっては
残念な話がいっぱい載ってる本なんです。
人からみると、どうやらずいぶんおもしろいらしいので、
どうかひとつ、よろしくお願いいたします」
エリーさん、たのしい取材をありがとうございました!
そして、取材の帰りにしっかり確認いたしました。
おっしゃるとおり‥‥
ピンクのポルシェは、ほんとうにありました。
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