JT広告大人たばこ養成講座や
東京メトロの各駅でみかけるマナーポスター「家でやろう。」の
シリーズなどにてイラストレーター、アートディレクターとして
ご活躍中の寄藤文平さん。
「ほぼ日」では、
池谷裕二さんと糸井重里の「海馬」のブックデザインでも
お世話になりました。
広告やイラストレーションのお仕事以外にも、
『大人たばこ養成講座』、『地震イツモノート』、
『ウンココロ』、『死にカタログ』、
など、共者、著者さまざまなかたちで
イラストレーションとユーモアたっぷりの
ご本をつくってこられました。
そんな寄藤さんが、2008年の11月に、
今度は「数」にまつわる本を出版されました。
『数字のモノサシ』
寄藤文平(著)
大和書房/1500円(税込)
数字のモノサシって、どういう意味なんでしょう?
寄藤さんは、こんなふうにお話ししてくださいました。
僕は、本ができあがるとだいたいそうなんですが、
2年ぐらいその本を
見るのもイヤな時期があるんですね(笑)。
この本もまだ、その時期を抜け出してないので、
内容を説明するのがちょっと恥ずかしいというか‥‥。
担当編集者として、この本の制作にかかわってくださった
大和書房藤沢さんの言葉を借りて説明すれば、
「日常生活でどうしても必要なのに
数字が苦手で、 そのアレルギーを
解消したい人の助けになるような本」
ということなんですが、
なるほど、うまいことを言ってくださいます。
僕たちは日常の中で、
数字で表されたものを
あたかも、もうそこにあると思って
うけとっちゃうけど、
「その数字、実際どれぐらいなの?」というのは、
本当はよくわかってないですよね。
そこに気がついてもらえたらいいな、と思います。
具体的な例をひとつあげると、
阪神大震災のときに、
僕は自分の感覚が麻痺していったのを
覚えてるんですよね。
死亡者数が、8人から6000人までに増える間に
どんどん何も感じなくなっていく。
「あれ? わかんなくなってる」っていう
リアルな違和感があったんです。
そういうことって、他にもたくさんあると思うんですよ。
それで、数字の実感をもてるようになるための
僕なりの解決策を提案したいなと思って、
この本の中に「手のひらモノサシ」というのを
載せてみました。あ、このページですね‥‥。
たとえば、ひとさし指を「1」とすると、
手のひらは「10」なんです。
もちろん、個人差はありますけど、
これは人体がもともともっている共通の比率です。
他にも、爪の先の白い部分を「1」とすると、
両腕を広げて胸とあわせたところの表面積は、
「10000」になる、なんていうのも。
これを知ってると、10000倍までは把握できる。
こういうのを
学校の先生が授業でやるといいと思うんですよね。
日本の面積がこれくらいだとすると
中国がこれくらい、アメリカがこのくらいってね。
そのほうが伝わりやすいし、記憶にも残ると思う。
「東京ドームいくつ分」っていう表現がありますけど、
あれも感覚的に規模を理解したいときに
使われてるわけです。
東京ドームの例えの場合は行ったことある人以外は
「大きいんだな」
ということぐらいしかわからないんですけど、
「手のひらモノサシ」だと
自分の体にモノサシが備わってるわけですから
いろんな数字の把握に役に立つと思うんですよね。
タイトルから、なんだか真面目な本なのかなと
思われるかもしれないですけれど、
イラストがたくさん載ってる
真面目につくったオモシロ本だと思って
気軽に手にとってもらえたら、うれしいですね。
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