糸井 |
やっぱり、
横浜ベイスターズのキーは、佐伯なんだ。
ぼくは、ジャイアンツファンとして
横浜戦を見てる時って、
佐伯がいないことについては、
「あ、いない理由が、
オレの見てない間に起こったんだな」
と思うんですよ。 |
保坂 |
(笑) |
糸井 |
で、ベンチにいるのが
テレビカメラに映っていたりすると、
「アウトになったりする時に、
出てきてくれるといいのになぁ」
とか、思うんです。
出てくると、
「こういうときに、
打っちゃうことって、あるんだよなぁ」
って、心配なんです。
いちいち、佐伯のことを考えている。
昔は、そういう選手が、
ベイスターズには、いっぱいいて。
盛田幸妃の登場なんて、たまんなかったですよ。 |
保坂 |
あぁ。 |
糸井 |
盛田幸妃が8回なんかに投げていると、
ほんとはどういうヤツか知らないけど、
巨人側から見ると、
「完成されたヤなヤツ」だったんですよ。 |
保坂 |
(笑) |
糸井 |
その完成度は、彼の日常生活と
ぜんぜん関係なく、完璧だったんです。
で、敵方として、そう見てるってことは、
実は盛田幸妃は好きな選手なんです。
「よわったもんだなぁ」と思いながら
相手側の選手を見ているのは、おもしろい。
今、ベイスターズファンの気持ちが、
4番打者と佐伯との比較で、
よーく、わかったよ。
佐伯の話のついでに、
保坂さん、ローズって選手はどう? |
保坂 |
(乗りだす)
いや、ローズはさぁ……。 |
糸井 |
神でしょ? |
保坂 |
うん。 |
糸井 |
やっぱり! |
保坂 |
だって、この小説は、
ローズ引退の話なんですよ。 |
糸井 |
へぇ、そうなんですか。 |
保坂 |
ゲラ、持ってきたんですけど。
ほら、ここ、ここ。 |
糸井 |
おぉー。
ポチーンと針で穴を開けたみたいに、
光が入ってきますね。
強いねぇ、この「ローズ」という文字が!
保坂さん、こういうことをやりたいんだよね。
うぅ、たまんねえや、これは。
俺も、野球に関しては、いいところついてるね。
……ローズって、ものすごいですよね。 |
保坂 |
ローズはね、あの人、
契約金が3億だ5億だでモメてたでしょ?
横浜ファンが、ひとり1万円ずつ出しゃいいじゃん。 |
糸井 |
それくらいの人ですよ。 |
保坂 |
それでも、充分、まかなえるじゃん。 |
糸井 |
よその球団に行くって、
1回、決まった時は、どう思いましたか? |
保坂 |
大洋球団からつづいてる、
ファン不在の体質だけを責めてましたね。
ローズは関係ない。 |
糸井 |
キレイですねぇ。 |
保坂 |
ロッテに決まった時は、
ともだちみんなで、
「ロッテ戦いかなきゃな」って言ってた。 |
糸井 |
それはもう、
活躍するっていう前提で
見ていましたか? |
保坂 |
それは、わかんなかったけど。 |
糸井 |
ぼくは、
ローズの動きを、
ベイスターズファンが、
どう見てるのかなあって、
それをちょっと気にしてましたね。 |
保坂 |
あんまり、ひさんな姿は、
してもらいたくないけど。 |
糸井 |
ローズってすごいよね。
あれ、野球がはじまる前に、
もう1回、やめたんだもんね。
あそこも、「神」ならでは、だよ。 |
保坂 |
ぼく、その前の
ブラッグスもすごく好きで。 |
糸井 |
ブラッグスも、おもしろかった。 |
保坂 |
ブラッグスなんて、おわりのころ、
特に最後の1年なんて、
打率がずいぶん下がっちゃったでしょう?
あれでも、ずーっといてほしかった。 |
糸井 |
存在感は、あったよね。 |
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(つづきます!)
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