さて、ここからはどんどん、
いろんな人の弁当を見て行きましょう。

‥‥じゃあ、まずはスガノさんから。
スガノの弁当

お弁当:メルヘンのピーナツバターサンド(231円)
その他:カメレオンの鯵とポテトの重ね焼き、
    タマネギのリピエーノ(まるごとロースト)、
    カプレーゼ(トマトとモツァレラチーズのサラダ)、
    高井戸EATのぷりぷり海老のジャガ芋巻き
売場に行ったら、まず、このピーナツバターサンドが
「あたしよ!」って、アピールしてきたんです。
この場合「弁当」はピーナツバターサンドなんですか。
はい、今回は、これを「主食」にしようと決めました。

あとは、「あたしも!」「あたしも!」って
アピールしてくる人たちを集めたら、
いつしかこういうメニューになっていました。
いちばん美味しかったのは、どれですか。
海老をじゃがいもで巻いた揚げものです。

1個189円という驚異的なお値段ですが
もう、めっちゃくちゃおいしかったです。
自分の好みを足していったらこうなったと。
はい。弁当になりませんでした。
弁当にならなかった人でもう一人、思い出すのは‥‥
小木曽さんですよね。
コギーの弁当

お弁当:天一のえび天(881円)
その他:鹿野庵のお赤飯、大安の水ナス
‥‥たんなる「食卓」じゃないですか。
天ぷらにしようと思って行ったんですけど、
売場をウロウロしてたら、
このね、水ナスが目にパッと入ったんです。

これはもう、うまそうだってことで、
まずね、この水ナスを、買っちゃったんだ。
それに加えて、えび天と、おこわですか。
なんか、お弁当の組み合わせなんて意識は
途中から、もうまったくなくなっちゃって。
監査役‥‥。
でもね、水ナス、これは美味しかった!
一同 おおー(拍手)。
小木曽さん、水ナスをみんなに薦めるんですよ。
「おっきいの取れ、おっきいの取れ」って(笑)。
弁当えらびに関しても、いかにも「計算」してそうな
宇宙部カワモトさんの話も、ちょっと聞きましょうか。
カワモトの弁当

お弁当:草津亭のいろどり(1365円)
その他:さつまいもの天ぷら、とり手羽、たいやき、なだ万のほうじ茶
一同 おおー!
バリュー・フォー・マネーって感じ。
ぜひお話を。
やっぱり、弁当らしいものを食べたいなと
思ったので、
ああいった二段重ねのものを、選びました。

よくよく見ると、食べ終わった後の容器も
洗ったら、何か使えそうでいいなと思って。
やはり「計算」してましたね。
そこに、イモの天ぷらと鶏のからあげを足し、
最後、お金がちょっと余ったので、
たいやきと、なだ万のこぶ茶を追加しまして、
合計1977円。
予算ギリギリまで使いましたし、満足でした。
味もおいしかったですか。
すごいよかったです。
何の後悔もなさそうで、なによりです。
永田さんの弁当の話が聞きたいです。
永田さんは今回、
7ヶ所のお店で買ったらしいんですが‥‥
ちょっと聞いてみましょうか。
永田の弁当

お弁当:弁松の白飯(252円)
その他:四陸の若鶏の唐揚げ、佐賀孝郎のいかの塩辛、
    天一のエビ天、佃浅の青菜の胡麻あえ、
    メゾンカイザーの苺のミニマフィン、カゴメのやさいしぼり
最初に「唐揚げが食いたい」と思ったので、
いちばんうまそうな唐揚げを、探りました。
ほう。
「四陸」っていうお店の唐揚げが
うまそうだったんですが
でも「唐揚げ弁当」が、なかった。

と、そうこうするうちに、
うまそうな塩辛を、見つけたんです。
ほう、ほう。
どうも、気になるものを集めたら、弁当にならない。

で、どうしようかなぁと思っていたら、
弁松に「白飯」ってのが売ってたんです、堂々と。

これで、いろんなピースがひとつに合体しました。
なるほど。
デパ地下という「オカズ天国」で「白飯」を買い、
ある意味、無限大の可能性を手にしました。

すぐさま、さっきの四陸に戻って
単品の唐揚げを買って、
あとは、
足りないものを足すように、
天ぷらも野菜もデザートも‥‥足して行ったんです。
それで7カ所に。
結果的に、机の上で場所を取って困りました。
弁当って感じにならなかったのが反省点です。
山下さんの話も、足しときましょう。
山下の弁当

お弁当:D.style 大地の恵みのサーモン藻塩ご膳(1050円)
その他:D.style 大地の恵みの銀むつ照り焼き、
    柿安ダイニングのマカロニのタルタルサラダ
ぼくは、お魚を食べようと決めていたんです。

えぼしで、みんなが
わわーっと集まってる写真を撮っていて
「ここかなぁ」と思ったんですけど、
ふっと、左にカメラのファインダーをふったら、
ぷりっぷりの銀むつが、
こんもりと積んでありまして‥‥
そこへ、ふらふらっと、吸い寄せられるように。
ええ。
そしたら、POPみたいなものに
「当店ナンバーワン」みたいに書いてあって。
ははあ。
その銀むつが、
そこのお店のいちばんの「売れっ子」だと。
ぷりっぷりしてたんですか。
ええ、はい。していました。
で、お店の人にちょっと聞いてみたんです。

「これ、そんなに売れてるんですか」
「ナンバーワンです」
このお店のナンバーワン。
でも、もうちょっと話を聞きたいなと思いました。

「そうは言いますけど、店員さん、
 あなたはどれがいちばん好きですか?」と。
ほう。
そしたら、その店員さんは‥‥なんと
「わたしは、
 藻塩ご膳の焼き鮭がいちばんです」と。

「えっ‥‥」と思いました。

そればかりか、そのとなりいた店員さんまで、
「実はわたしも、
 藻塩ご膳の焼き鮭が好きなんです」と。
ほう、ほう。
さらに、もっともっと聞いていったら、
実は店長も「藻塩ご膳の焼き鮭がいちばん」と
いうじゃないですか‥‥。
じゃ、こっちじゃないかと。へえ〜。
はい。で、藻塩ご膳の焼き鮭にしました。
それでは、今回の企画でも
見事なまでの「金庫番」っぷりを発揮していたという
事業計画担当のシノダさん。
シノダの弁当

お弁当:ポール・ボキューズ「チキンステーキペッパー風味」(294円)
その他:えぼしのカルパッチョライス、
    カメレオンのアボカドサラダ、千疋屋の茂木びわゼリー
まず「2000円」という枠がありましたが、
これはなるべく使いきろうと。
なるほど。
そして、わたしは
わりと洋風の食事のほうが好きで
いわゆる「お弁当」をあんまり好まないので、
全体を見わたしたら、
「なんじゃこりゃ?」って感じに
なってるかもしれません。
これ、メインは「丼」じゃない‥‥んですか。
メインは、
ポールボキューズのチキンステーキペッパー風味です。

えぼしのカルパッチョ丼も買いましたが、
カルパッチョを前菜にし、
丼のごはんと、メインの鶏肉という組み合わせ。

そしてアボカドのサラダをつけ、
デザートに茂木のびわのゼリーを買いました。
丼のごはんを利用して、鶏を食べる‥‥。
そうです。
しかも、緻密な計算の元に
この組み合わせを、実現したんですよね。
まず、売場をぐるーっと一周して、
直観的に「気になったもの」と「その値段」を
ばばばーっとメモしていきました。

‥‥山下さんが、そのようすをおもしろがって
写真に撮っているのが、実に不思議でした。
おゆるしください。
ふつう、ああするじゃないですか。

で、ひとまわりしたなと思ったところで、
ひとけのないところにこもりまして‥‥。
いったん、こもりましたか。
リストを見ながら思い出したり、
リストに書いてないのに、覚えていたものを
あれこれ振り返ったんです。

そしたら、前菜っぽいものがなかった。

でも、チキングリルペッパーソースも食べたいしと
考えてたところ‥‥
「カルパッチョ」って文字が目に入った‥‥。
ほう!
そうか、このカルパッチョをごはんと別物と考え、
前菜にすればいいんだと気がつき、
そこから、今回の弁当を、組み立てたんです。

でも、ここまで考えたら、あとはすぐでしたね。

もう、全体の色味がきれいになるようにと、
サラダとデザートを選んでいきました。
あなたをCFOにして、よかった‥‥。
でも、心残りなのが、サラダ量り売りでした。

ここで量を調節すれば、
「2000円ぴったりでいける」と思ったんです。

で、サラダの売り場に行った段階で
「499円」残っていたので、
売り場のお兄さんに
「499円」ぶんのサラダを売ってくれと。
あなたって人は‥‥。
そしたら、どう調節しても、
「498円」の次が「502円」になっちゃう。

汁をちょっとだけ足したら
1円だけ動かないかって粘ったんですけど、
はあ。
結局「1グラム単位」でしか量れなかったんです。

つまり「1グラム=3.99円」なので、
どうしても「499円」にはならないんですよ。

で、残念ながら支出総額は「1999円」に。
ぼくは『アポロ13』という映画を
何度も観てるんですが、
こういう人が乗っていれば、もっとできたことが‥‥。
ははは。
ところで、そういうぜんぶの説明をさておいて、
その弁当は‥‥おいしかったですか?
おいしかったです。
大成功ですね。
このあたりで、糸井さんの弁当も。
オレはね‥‥。オレは、はずかしいんですよ。
糸井重里の弁当

お弁当:えぼしの海鮮ビビンバ丼(735円)
その他:栗おこわ100g、山菜おこわ100g、おにぎり(たらこ)1個、
    あじフライ1枚、枝豆コロッケ1個、刻みキャベツ
はずかしいというのは。
まずね、先に、えぼしの金目鯛の弁当を
家人へのおみやげに買っちゃったんです。

そうしたらさ、自分にも同じ弁当を買うのって、
いかにも芸がないでしょう?

そこで、
べっかむ3と同じ海鮮ビビンバ丼にしたんです。
なるほど。
さっき、べっかむ3も言ってましたけど、
えぼし入門者は、もっと定番のほうがいいです。

で、そのままぐるっと大丸をまわって
その他のものを
記憶に残った順に、買っていきました。
ふん、ふん。
まずね、アジフライは食べたかったんです。

ウチでは、揚げものはちょっと制限気味に、
「いいんじゃない、もう?」とか言われるので、
今日はもう、オレひとりだという‥‥。
一同 あはははは(笑)。
そういう気持ちで「枝豆コロッケ」も足して。

で、きざみキャベツは当然、買うんです。
129円とかするんですけど、まい泉でね。

で、ほんとはこれで完結してるんですけど、
封筒の底に、まだ「500円玉」が見えたんですよ。

そうしたら、うれしくなっちゃって、
おにぎり屋のところに永田さんがいたんで‥‥。
いました。
寄って行っちゃったんですね。

で、そこで、たらこのおにぎりを買っても、
まだ‥‥お金があまっている!

もちろん、「デザート」という思いは
すごくあったんだけど、
オレ、「おこわ」が好きなんだよねぇ‥‥。
米ばっかり‥‥。
こんな弁当の買いかたしてる人がいたら、
ちょっと危ないと思います、ほんとに。
ここにいるじゃないですか(笑)。
おこわは結局手つかずで、たぶん冷凍庫に入ると思う。
でもおにぎりは、ちゃんと食べました。

大きく後悔しているのは、
みんなのデザートを食べてる姿が、
すごくおいしそうだったこと。

まったく、計画性がないなと思いました。

すいません。
オレが言いだしたのに、これはないよな‥‥。
じ、じゃあ、今回の企画は失敗だったと‥‥!?
‥‥くやしいので、
オレの「理想の弁当」を語っていいですか。
一同 おおー(笑)。
まず、迷わずえぼしで金目鯛の弁当を買います。
一同 おおー。
で、カキヤスで
30品目みたいなサラダを100グラム買って‥‥。
一同 ああー。
小さなデザートを探しまわった挙げ句、
しょうがないなぁ、
なーんて言いながら、木村やのジャムパンを買う。
一同 あはははは。
これが、ぼくの理想の弁当です。
ぜんぜんちがうじゃないですか(笑)。
まあまあ、ともあれ、たのしかった。
ごちそうさまでした!
一同 ごちそうさまでしたー!
  <食後の感想レポート、おわります>
さて、いよいよ次回は「イべんとう」の最終回。
この珍妙な企画の言い出しっぺである糸井重里に、
全体を振り返っての総括をしてもらいます。

はたして糸井にとって「イべんとう」は、
どれほどの手応えを感じる企画だったのか?!
お楽しみに!

2009-06-12-FRI



(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN