糸井 |
祖父江さんの力っていうのは
いつ鍛えられたのかなぁ? |
祖父江 |
いつ、なんだろうね? |
糸井 |
少なくとも学生時代じゃないよね。 |
しりあがり |
学生時代じゃないっすね。
(※注:しりあがりさんと祖父江さんは
同じ大学の漫研に所属していた) |
祖父江 |
当時はなにもわかんなかったもんね。
サークルでつくった雑誌の表紙とかを、
わかんないままやってたもんね。 |
しりあがり |
うん(笑)。 |
祖父江 |
ノンブルを指矢印のノンブルにしよう、
とか決めてね。で、
「誰が貼るんだ!」って怒られちゃってね。 |
糸井 |
楽しそうだな(笑)。 |
祖父江 |
「そっかー、これを貼る人がいるんだー」
とか思って(笑)。
そういえば、はじめて本のデザインしたのは
あの同人誌だったなあ。
しりあがりさんが部長だったころですね。 |
糸井 |
しりあがりさんは、
そういう本のデザインを
身につけていったりしなかったわけね? |
しりあがり |
いやもう、だって、こんな人がいると、
自分でやろうとは思わないみたいなね(笑)。 |
糸井 |
そうだね。 |
しりあがり |
だからもう、「お願い!」って。
ま、もう、大切にしようと
思いましたけどね、学生のころから。 |
祖父江 |
しりあがりさんは
学生のころも、すごかったんですよ。
スクリーントーンを
わざとグチャグチャにして、
雑巾みたいにして貼ってたり。 |
しりあがり |
貼ってたね、わざとね(笑)。 |
祖父江 |
「カッコイイ!」と思ってね。
あれはびっくりした。 |
|
|
糸井 |
当時からそういうことしてたんだ(笑)。 |
しりあがり |
ま、変わったことをやりたがる時期、
ありますよね、誰でも(笑)。 |
祖父江 |
うん。そういう時期だったんだよね。 |
── |
こんな本をつい最近つくった人たちに
そういうこと言われても(笑)。 |
一同 |
(笑) |
糸井 |
でも、この本は、
学生にはつくれないじゃないですか。
そこがおかしいですよね。 |
祖父江 |
ああ、そうだなぁ。 |
糸井 |
これ、学生にね、
「自由に変なことしろよ!」って言っても、
これになんないと思う。 |
しりあがり |
うんうん。 |
── |
知識がなかったら、まずできないですし、
できあがるまえに不安が
山ほど出てくるだろうし。 |
糸井 |
うん。まず、どうなってもいいっていう、
最低どこまでっていう、
だいたいの覚悟がいるんですよね。
ことばは悪いけど、
「いちばん失敗してもこのくらいだろう」
っていうところが見えて
はじめて決裁ができるから。
だから、これで、
ぼくの上に上司がいたら困るんですよ。 |
しりあがり |
あー、そうですよね。 |
糸井 |
だから、人間ね、
やっぱり上司になるべきだなっていうのはね、
そういうときなんですよ。
オレにも心配はあるけども、
いっくらひどいことになってもこのくらいだろう、
じゃあ、いいじゃないか、っていったら、
いろんなことできちゃいますよ。 |
しりあがり |
あー。 |
祖父江 |
でも、糸井さん、心配してたんじゃない(笑)?
もしかしたら、
「雑巾みたいな本になるんじゃないか?」って。 |
糸井 |
いやいや(笑)。
もちろん信用してるからね。
いちおう、まかせて、
どうなってもいいとは思ってても。
で、できあがってみて思ったのは、
キレイなのよ、この本。
「買ってよかった感」があるんですよ。
とくにこの、ピカピカの表紙に
囲まれてるおかげでね、
なかの色が順番に違ってたりするところが
とってもね、ステキなんですよね。 |
祖父江 |
あ〜、ほんとだ。 |
── |
「ほんとだ」って(笑)。 |
しりあがり |
すごいよね、これ。
本文の紙も違うんですね。 |
糸井 |
そうなんですよ。
紙も、2色の色の組み合わせも、
折ごとにわざわざ変えてある。 |
しりあがり |
けっこうたいへんなことですよね。 |
(続きます!)