糸井 |
ちょっと軌道修正して
本の装丁の話に戻しますけど、
本って、丸裸な商品じゃないですか。
いくらで売ってて、
いくらかかってるかっていうことが。
とくに祖父江さんから見ると、
紙の原価までわかりますよね。 |
祖父江 |
そうなんですよ。えへん。
だいたいですけどね。 |
糸井 |
それはやりにくいの?
やりやすいの? |
祖父江 |
うーん、なんか、
昔と立場が逆になってしまってると
思うことはありますね。
たとえば昨日もね、編集の人が、
「ここはこういう紙で
いきたいんですよ!」って
言うんだけど、ぼくのほうが、
「いやぁ、
もったいないんじゃないかな?
これくらいでいいんじゃない?」って
コストをおさえる発言をしていたり。 |
しりあがり |
あ〜(笑)。 |
糸井 |
じゃあ、よくわかってない人が、
調子づいて高いものを使おうとして、
「今回はこれでいきましょう!」
なんて言うと、祖父江さんとしては、
「シロウトだなあ‥‥」って思うんだ? |
祖父江 |
う、う、うん‥‥。 |
糸井 |
ははははははは! |
|
|
しりあがり |
部数によって、だいたいわかるもんね。 |
祖父江 |
うん。だから、だいたいの部数と定価を
聞くじゃない?
それで話をしていくと
「えっ?
そうするとこの造本プランじゃ
もう大赤字じゃん」って悩むよね。 |
── |
きっと人によっては、
「いいものつくればいいんです!」
みたいなことを言ったりしますよね。 |
祖父江 |
「UV加工で、
他誌と差をつけましょう!」とかね、
「新しい紙なんで、
ぜひ使いましょう!」とか、
言う出版社の人もいますよね。
それが予算と見合ってれば
いいんだけどね。
「合ってないじゃん」ってときは
困っちゃうよね(笑)。 |
糸井 |
なまじ意見を通して赤字になって、
「祖父江とやると高くつく」
なんて言われても困るしね。 |
祖父江 |
うーん、でも、
そういうのはあっても
いいかもしれない(笑)。
なんとなく、どっかにそういう気配が
感じられたほうが
いっそやりやすいっていうのは
あるので。 |
糸井 |
なるほどね。 |
祖父江 |
べつに、
実際はどうでもいいんだけども、
「あの人とやるとコスト高に
なるのかもしれない」って
思われてたほうが自由度もきくし、
バカみたいな値段、
言ってこなくなるから。 |
糸井 |
なるほど、なるほど。
考えてないようで、
ちゃんと考えてるね(笑)。
ほんっとに祖父江さんって、
考えてないように見えて、
考えてる(笑)。 |
祖父江 |
うーん、うーん‥‥。 |
糸井 |
ためになるなぁ。 |
(続きます!)