『言いまつがい』装丁伝説!
あのへんな本をつくった人たち。
祖父江慎×しりあがり寿×糸井重里

第12回 編集者って大事


── それだけ祖父江さんが
本にくわしいとなると、
本をつくるときに、
編集者って、
立場がなくなっちゃいませんか?
もちろん、進行や伝達のためには
必要ですけど。
祖父江 ううん、そんなことない。
ぼくは編集の人がいないと、
困るんです。
あまり本読まないから。
糸井 ふふふふふふふ。
祖父江 その、何書いてあるか、
よくわかんないし。
たとえぜんぶ読んだとしても、
どこが面白いか
わかんないときだってある。
そういうときに、
「ここがすごいんですよ!」って
言ってもらえると、
「あ、ここがすごいのか」って
わかるから。
そんな感じでつくってるから、
編集の人がいないとできないよね。
まったく読んでないわけじゃ
ないけどね。
糸井 というか、ぜんぶ読んだから
わかるなんてことは、
あり得ないからね。
── なるほど。
祖父江 うん。ちゃんと読みすぎると、
本って、つくれなくなる。
内容を自分なりの解釈で
読んじゃうとね、なんかね、
そのあとつくる感じが、
なんか間違ってく気がして。
編集の人が、
「ここがすごくて、
 ここをアピールしたいんですよ」って
言ってくれたほうが、
いいものがつくれる。
糸井 じゃあ、やっぱり編集者って
大事なんだ。
祖父江 うん、編集者、大事。
しりあがり だから、自分できちんと読んで、
「つまんないな」とか思っちゃうと、
もう、ヤバイですよね。
つくれなくなっちゃう。
祖父江 でも、困る編集者もたまに
いるんですよね。
「この内容、つまんないですけど、
 売れそうなんですよ」
とか言って持ってこられるとね、
「いやぁ、ちょっとそれ、
 ぼくやりたくない‥‥」って(笑)。
糸井 その正直さは困るね。
だから、出版の世界にいる人が
全員、本のプロかっていったら、
そうじゃないじゃないですか。
言うことぜんぶ聞いたら
ダメなんだよね。
祖父江 そうですよね。
糸井 で、すべてがシロウトか? って
いったら、
そんなこともないじゃないですか。
そこがむつかしいなぁ。
祖父江 うーん。
 
しりあがり (笑)
糸井 結果的にさ、
「いっぱい売れました」っていうのは
認めるんだけど、その、
市場がすべてだって
思いたくないですよねー。
祖父江 うん、そうね。
糸井 その、編集者のプロ中のプロの
なんとかさんがビシッと言えば、
全部が「なるほど!」って
わかるような、
そういうもんでもないしねえ。
(続きます!)

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2004-03-17-WED
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