── |
それだけ祖父江さんが
本にくわしいとなると、
本をつくるときに、
編集者って、
立場がなくなっちゃいませんか?
もちろん、進行や伝達のためには
必要ですけど。 |
祖父江 |
ううん、そんなことない。
ぼくは編集の人がいないと、
困るんです。
あまり本読まないから。 |
糸井 |
ふふふふふふふ。 |
祖父江 |
その、何書いてあるか、
よくわかんないし。
たとえぜんぶ読んだとしても、
どこが面白いか
わかんないときだってある。
そういうときに、
「ここがすごいんですよ!」って
言ってもらえると、
「あ、ここがすごいのか」って
わかるから。
そんな感じでつくってるから、
編集の人がいないとできないよね。
まったく読んでないわけじゃ
ないけどね。 |
糸井 |
というか、ぜんぶ読んだから
わかるなんてことは、
あり得ないからね。 |
── |
なるほど。 |
祖父江 |
うん。ちゃんと読みすぎると、
本って、つくれなくなる。
内容を自分なりの解釈で
読んじゃうとね、なんかね、
そのあとつくる感じが、
なんか間違ってく気がして。
編集の人が、
「ここがすごくて、
ここをアピールしたいんですよ」って
言ってくれたほうが、
いいものがつくれる。 |
糸井 |
じゃあ、やっぱり編集者って
大事なんだ。 |
祖父江 |
うん、編集者、大事。 |
しりあがり |
だから、自分できちんと読んで、
「つまんないな」とか思っちゃうと、
もう、ヤバイですよね。
つくれなくなっちゃう。 |
祖父江 |
でも、困る編集者もたまに
いるんですよね。
「この内容、つまんないですけど、
売れそうなんですよ」
とか言って持ってこられるとね、
「いやぁ、ちょっとそれ、
ぼくやりたくない‥‥」って(笑)。 |
糸井 |
その正直さは困るね。
だから、出版の世界にいる人が
全員、本のプロかっていったら、
そうじゃないじゃないですか。
言うことぜんぶ聞いたら
ダメなんだよね。 |
祖父江 |
そうですよね。 |
糸井 |
で、すべてがシロウトか? って
いったら、
そんなこともないじゃないですか。
そこがむつかしいなぁ。 |
祖父江 |
うーん。 |
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しりあがり |
(笑) |
糸井 |
結果的にさ、
「いっぱい売れました」っていうのは
認めるんだけど、その、
市場がすべてだって
思いたくないですよねー。 |
祖父江 |
うん、そうね。 |
糸井 |
その、編集者のプロ中のプロの
なんとかさんがビシッと言えば、
全部が「なるほど!」って
わかるような、
そういうもんでもないしねえ。 |
(続きます!)