糸井 |
祖父江さんに頼みにくる人って、
「ぼくの本にも変なことしてください!」
とかって言わないもんですか? |
祖父江 |
あ、言う人います。
でも、それってツラいです。 |
糸井 |
あー、そうですか。 |
祖父江 |
「変なことしないでください」だったら
まだ理解しやすいけど、
「変なことしてください」
って言われると、
なんか、ヤだな〜って思いますよ。 |
糸井 |
ふははははははは! |
しりあがり |
へ〜。それ、なんだろう(笑)? |
祖父江 |
べつに変な本をつくろうとして
やってるんじゃないよ!! っていう
感じなんだよね。 |
しりあがり |
あ〜。 |
祖父江 |
その内容どおりに、
おこしてるだけなのに‥‥。 |
糸井 |
ファッションデザイン
みたいなもんですかねぇ?
こう、服なんだけど、
襟を大きくしてみました、みたいな。 |
祖父江 |
いやぁ‥‥ねぇ‥‥。なんだろう。
服とは違って
本って、不自由な形なんですよ。
だいたいは四角いし、堅いし、
内容に似合う変化をつけられるところって、
あんまりないんですよ。
だからちょっとでも自由にできると
うれしかったりして、やっちゃうんだけど。
‥‥でも、本屋さんに行って、
あんまりデザイン凝ってるのを見ると、
イヤな感じしますよね。 |
糸井 |
ふはははははははは! |
祖父江 |
買う気を失いますね。なんででしょうね。
あんまりデザイナーが
がんばってるぞって感じが
出すぎてる本って、
なんかね、邪魔で、邪魔で。
なんか、買うのやめたくなるよね。 |
糸井 |
ブッ。 |
しりあがり |
たとえば、『言いまつがい』は? |
祖父江 |
『言いまつがい』は‥‥。 |
糸井 |
変なこと、してますよね(笑)。 |
祖父江 |
なんか、しちゃったね〜。
それは、ちょっと、
中身もおかしなことになってるしさ、
まちがえたっていうことで‥‥。 |
糸井 |
ああ、そうか、これは、
「まつがい」がコンセプトだからね。
吉田戦車さんのマンガだって、
変なことしてないのだって
多いですよね? |
祖父江 |
いやん!
そんなに変なことばかりはしてないですよ。
やっぱり戦車さんって、
その、作品の肌触りというか、
なんか、いいことばが浮かばないけど、
「くすぐったい感じ」があるんですよ。
その感じが形にならないかな、っていう、
それだけなんですよね。
あっ、でも、つぎの戦車さんの本は、
かなり変なことしようとしてるんだった! |
── |
そ、それはどういう? |
祖父江 |
表紙がない本。 |
一同 |
変(笑)! |
祖父江 |
カバーはあるけどね。
つまり、オシャレな本ってさ、
海外テイストな感じでさ、
本表紙だけで勝負したりするじゃない?
カバーなんてムダなものはいらないぜって。 |
しりあがり |
うんうん。 |
祖父江 |
今つくってる本はその逆で、
必要なものをなくしてでも
外見だけにこだわってみるの!
いわゆる「ヒョウシヌケ」な、
かっこ悪い本なんです。
すてきでしょ?
実現するかどうかは
まだわからないんだけど。 |
── |
戦車さんはなんと? |
祖父江 |
これは戦車さんもね、
「あ、おもしろい」って乗ってくれたの。 |
糸井 |
「ぼくの本でやってもいい」と。 |
祖父江 |
えへん、そうさ。
『山田シリーズ』ってタイトルの本で
小学館から発売予定なの。
『エハイク』では
「奇プランを〜〜」って句で
そのときの打ち合わせのヒラメキ、
詠まれてましたね。 |
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(続きます!)