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続きましては、この本。
『新耳袋』という怪談の本です。 |
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糸井 |
これまたいろいろありそうな‥‥。 |
祖父江 |
この本はね、
カバーだけで済むんですよ。 |
一同 |
は? |
祖父江 |
なくてもいいんです、本体が。 |
一同 |
え? |
祖父江 |
でも、タイトルとか
バーコード部分があるんで、
実際にぜんぶは読めないんですけど。
つまり、これの中身の本文の文字が、
ぜ〜んぶ、カバーに印刷されてるんです。 |
一同 |
ええええっ? |
祖父江 |
中身がぜんぶ責了になって
OKになってから、
本文をカバーに流し込んだんです。
7級ベタ7歯送りで、
3分の7歯ずつずらしながら。
それを前後3層に分けて、
3つの色で刷ってあるんです。 |
一同 |
‥‥‥‥。 |
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祖父江 |
なので、ルーペとかを
使っていただければ、
本体を読まなくても、
ぜんぶ読めるようになってる(笑)。 |
しりあがり |
すごいねぇ〜。
え、ほんとに読めるの? |
祖父江 |
読もうと思えば、大丈夫! |
── |
「読もうと思えば」(笑)。 |
祖父江 |
ちゃんと見出しは太くしてあるし。 |
── |
すごいなあ(笑)。 |
糸井 |
この表紙を、なんっとも思わずに
生きていく人たちがいるんだね。
悲しいねえ(笑)。 |
祖父江 |
本文の重なりぐあいは、
ルーペを使わないでながめてると、
人の顔らしき形が
うかびあがったりして‥‥。 |
しりあがり |
ははははははは。 |
祖父江 |
それとね、あんまり
気づかれないけど、
この本、怖い内容だから、
お祓いがされてるの。 |
しりあがり |
あはははははは‥‥えぇっ? |
祖父江 |
本表紙と見返しの間に、ちゃんと
魔除けの梵字が刷ってあるんです! |
しりあがり |
ええっ!? その、袋になってるところ? |
祖父江 |
だから安心して
読んでいただいて大丈夫。
いたれりつくせり。 |
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しりあがり |
うわっ! ほんとだ!。 |
糸井 |
あ、ほんとだ! |
祖父江 |
もし、魔除けの刷ってない本を
読んでしまったら、あぶないです。
読む前に確認しといたほうがいいと思うよ。
でもこの本は、大丈夫。
ぐへへへへへへ。 |
しりあがり |
すげぇ‥‥。 |
糸井 |
この、本体の写真もすごいねえ。
なんか、禍々しいものを感じるね。 |
祖父江 |
なんかイヤ〜な写真なんですよね。 |
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糸井 |
なに? この写真、いったい(笑)。 |
祖父江 |
なんか、文中に出てくるらしいんだけど、
ちょっとよくわかんないんで、
編集の人に訊いてくださいよ。
‥‥ぼくは怖いから、読んでなくて。 |
糸井 |
ははははははは。 |
しりあがり |
すげぇ‥‥。 |
祖父江 |
つくった本には
きっとなにかひそませちゃいます(笑)。 |
糸井 |
じゃあこの『バカボン』は?
こんな、文庫本にも
なにかあるんですか? |
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糸井 |
これになんかあっちゃ、
イヤですけどね(笑)。 |
祖父江 |
うん、でも、これは‥‥。 |
糸井 |
ある? |
祖父江 |
そんなにでもないんだけど‥‥。 |
しりあがり |
やっぱりなんかあるんだ(笑)。 |
祖父江 |
うん。タイトルの描き文字を、
ぜんぶフジオ・プロの人に
描きおこしていただいたんです。 |
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しりあがり |
はぁ〜。 |
祖父江 |
この「赤塚不二夫モジ」って独特なんで、
慣れてないと描けないんです。 |
しりあがり |
なるほどねぇ〜。 |
祖父江 |
それと、このシリーズの16巻めは、
赤塚さんが「山田一郎」って名前に
改名して描かれてたんです。
だから、16巻めだけは
「山田一郎」になってます。 |
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しりあがり |
16巻だけ。へぇ〜。 |
祖父江 |
でも、16巻めの後半では、
また「赤塚不二夫」に改名してるんで
小さく「赤塚不二夫」も入れちゃいました。
本屋で並べるときに困るから、
帯は「赤塚不二夫」なんだけど。 |
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糸井 |
なるほど、なるほど。 |
祖父江 |
正しいでしょ〜。 |
しりあがり |
一見、すごくノーマルな本なのに、
いろいろやってるんだねぇ。 |
(次回で最終回です!)