いたく錆びしピストル出[い]でぬ |
砂山の |
砂を指もて掘りてありしに |
(石川啄木『一握の砂』より)
※[ ]の中はふりがなです。
第12回 石川くんとサビ
石川くん、また砂あそびしてる……。好きだねえ。
*
しかし、
砂山からピストルが出てきたら、驚くよなあ。
例によって石川くん流の嘘かもしれないけど、
もしくは石川くん流の妄想かもしれないけど、
または石川くん流のギャグかもしれないけど……。
出てきた瞬間の驚きを強調するために、
私は「ピストル」という言葉を
歌の最後に持ってくることにしました。
石川くんは最初に持ってきたんだね、ピストル。
嘘だから?
ほんとは、おもちゃのピストルだったの?
*
この石川くんの歌を見て、
石原裕次郎のヒット曲
『錆びたナイフ』を思いだす人も多いでしょう。
同じタイトルの裕次郎主演映画もあるけれど、
映画は昭和33年3月11日公開、
曲は昭和32年8月リリース。
先に曲ありき、の映画だったんでしょうか?
(詳しいかた、おしえていただけると幸いです)
どっちにしても『錆びたナイフ』の歌詞って、
石川くんの歌からヒントを得たんだと思うな。
日本著作権協会の許可とるのが面倒だから、
歌詞はここには引用しないけれど……。
*
石川くんの歌って、
いろんな人がアレンジしてるんだよね。
いちばん有名なのは、谷村新司『昂(すばる)』。
このヒット曲の歌詞も、
石川くんのセカンド歌集『悲しき玩具』の歌たちを、
かなり参考にしてるみたい。
盗作じゃないかと新聞で騒がれたこともあったけど、
石川くんが発行名義人だった文芸誌の名前が
「スバル」なんだし、
そのへんのことを暗に表明しつつ
意図的に石川くんの歌を「本歌どり」した……、
そう考えるのが妥当じゃないかと私は思います。
まあ、
歌詞カードに石川くんの名前をクレジットしても、
バチは当たらなかったんじゃないかとも思うけどね。
石川くんは昔の人だから、著作権も切れてるんだし。
*
石川くんの歌をヒントにしてつくられた作品、
まだまだあるみたいだけど、それはまた追々。
それにしても石川くんて、現代に生まれてたら、
売れっ子の作詞家になれたんじゃない?
そして女性問題で週刊誌に追いかけられて、
結局やっぱり、じっと手を見たり。
なんだか、とっても「石川くん」ぽい……。
*
あ、
そういえば小説家・高橋源一郎さんの新作
『日本文学盛衰史』(講談社)に、
石川くんが出演してるみたいだよ!
ハコ入りの分厚い本なんで、
これからゆっくり読むつもりなんだけど、
本の帯文から想像すると、
石川くんが伝言ダイヤルにハマる話みたい。
そうだよねえ、
伝言ダイヤルとかアダルトビデオとか、
いかにも好きそうだもの、石川くん。
ちんちん小さいくせしてさ。
……嘘、嘘、冗談だよ。
この目で見たわけじゃないから、
小さいんじゃないかなーと、
想像しただけです。ごめん。
で、
この歌のピストルって、ちんちんの暗喩なの?
ちんちんコンプレックスが、
ピストルの幻影となって砂から出てくるとか?
いや、そのへんのことは、
言いたくなかったら、べつにいいよ。
言いたくないことのひとつやふたつ、あるよな、
男には。
わかったわかった、無理すんな。
じゃあ、また来週。
元気出せよ!!
枡野浩一
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