コラム:ようおいでたなもし、松山(伊丹十三記念館のスタッフが、記念館に来たついでによってもらいたい、松山近辺の見どころや、おいしいもののお店を ご紹介します。)

道後エリア編(1)
中野

本日は、
ワタクシ中野(松山居住歴1年半の新人松山人)が
道後温泉周辺をご一緒いたします。
「道後温泉」と言いますと、松山観光の王道。
3,000年もの歴史をもつといわれる温泉ですが、
何といっても、かの文豪・夏目漱石の
『坊っちゃん』(明治39年)が
この温泉を一躍有名にしました。
温泉を中心として、にぎやかな観光名所に
なっていますので、時間をたっぷりとって
ゆっくりとお過ごしいただきたく存じます。

道後温泉へのアクセスは、
伊予鉄道の市内電車(と呼ばれている路面電車です)を
ご利用いただくのが便利です。
ゴトゴトゆられて参りましょう。
明治の路面電車の復刻版「坊っちゃん列車」も
走っています。

市街地から道後温泉駅まで10〜15分で
あっという間に到着です。案外近いでしょう?

道後温泉本館
中野

駅からすぐの道後温泉本館は、
この温泉地のランドマークで、
年間の入浴者数が約75万人という人気施設。
ご観光の方からも地元の方からも愛されています。

明治27年に建築された風格ある建物は、
『千と千尋の神隠し』の油屋の
モデルのひとつであることでも有名ですね。
(おっと、期せずして糸井さんつながりです。)
入浴するだけなら400円とお手軽な料金ですが、
観光でお越しの方には、もう少しはずんでいただいて、
「神の湯2階席」800円をご利用いただきたいと思います。
「神の湯」での入浴と、2階席での休憩が
セットになったコースです。

まず2階席で説明を受けて、1階の神の湯へ。

熱めのお湯に浸かって、
「これが坊っちゃんが泳いだお湯か〜」と
感慨に耽りましょう。
(架空の人物である坊っちゃんが
 この温泉に入ったわけはないのですが
 私はついついこう思ってしまうのです。)
その後、貸していただいた浴衣に着替えて
ふたたび2階へ。
大広間でお茶とお菓子をいただきながら、
汗が引くまで休憩。
歴史を感じさせる建物の重厚なつくりや、
2階席からの景色などを眺めると、
旅行気分がいっそう盛り上がります。
このとき、外から本館の建物を撮影しようと
カメラを向けている旅の方が見えたら、すすんで、
しかしさりげなく、「絵の中の人物」に
なってあげましょう。「旅情!」と心の中で念じながら、
くつろいだ雰囲気を出すとバッチリです。

【おまけ】
道後温泉本館には、大きなお風呂の「神の湯」と、
小ぶりで贅沢なつくりの「霊(たま)の湯」があります。
霊の湯を利用する場合は、
2階席での休憩とのセットで1,200円、
3階個室での休憩とのセットで1,500円の
2コースがあります。

一六本舗道後店・道後本館前店
中野

さて、道後温泉本館を出ますと、
真正面にこんなお店があります。

四国銘菓・一六タルトで有名な一六本舗の
道後店と道後本館前店です。
右側のお店の看板は、中村好文さんによるものです。
「お!」と目を引く仕掛けがありますので、
道後へいらした際にはお見逃しなく。
左側のお店は、同じ一六さんの道後本館前店です。
こちらは、建物を丸ごと中村さんが手がけて
昨年オープンした、いわば、記念館の姉妹建築です。
店内には、つい「うふふ」となってしまう
タルトの形のテーブル(象嵌です)と
柚子をイメージしたころんとした椅子があって、
ここで柚子のジュース(1杯100円!)を飲みながら
ひと休みすることができますし、
一六本舗の中でも、このお店だけの限定品を
おみやげに購入することもできます。

2階はカフェ「一六茶寮」になっていて、
真正面に道後温泉本館を眺めながら
(温泉ビュー! です)おうどん(450円〜)などの
軽食をお召しあがりいただけます。
お風呂前・お風呂後のひと休みに
ぜひ立ち寄ってみてください。
記念館の模型、伊丹十三が書いた
エコーはがきの原画が見られる
伊丹十三記念館のアンテナコーナーもありますよ。

【おまけ】
愛媛で「タルト」といえば、
柚子風味のあんをカステラで巻いたお菓子のこと。
江戸時代、久松家初代松山藩主松平定行公により
南蛮渡来の菓子がアレンジされたものが発祥とされており、
県内には数十社ものタルトメーカーがあります。
一六本舗の「一六」は
創業が「明治16年」であることに由来。

道後製陶社
中野

さて、道後温泉は、松山の街中から
少し離れたところにあります。
道後エリアにお泊りの方はもちろん、
「お湯だけ入るつもりで来た」という方も、
せっかくですから、道後の町をぶらぶらどうぞ。

旅先では、とにかく夢中で過ごしてしまって、
帰りの空港や駅で慌てておみやげを選ぶ、
なんてこともおありかと思いますが、
道後製陶社など、おみやげ選びが楽しくなるお店も
たくさんあります。
道後製陶社では砥部焼やガラスの地元作家作品を
販売していて、コンパクトな空間ながらも、
おもしろい作品に出会えるのでおすすめです。
解説が充実していて、窯元や作家の作風がよく分かります。
私はこちらで中田窯の蕎麦猪口(ひとつ945円)を
購入しました。
中田窯さんは、NIPPON VISION 2 GIFT
D&DEPARTMENT PROJECT主催)で
同じ愛媛県代表に選ばれたときに
知って、それ以来気になっていた窯元です。
砥部焼というと、白に紺の絵付をしたものと
思い込んでいましたが、この蕎麦猪口には
赤色の絵付けがされていて、目からウロコがおちました。
「釉裏紅(ゆうりこう)」という、
大変に難しい技法なのだそうですよ。

営業時間は22時まで。
遅くまで開けていらっしゃるので、
ご旅行の方には重宝なお店です。
オープンエアーで絵付体験もできます。

【おまけ】
砥部焼とは、松山市の南隣にある
砥部町を中心に作られている陶磁器です。
(松山で制作されるものもありますが、
 砥部の石から作られるものは「砥部焼」に
 分類されるそうです。)
窯元、作家によって作風が違いますし、
近年はモダンなデザインのものも多く作られています。
道後製陶社で砥部焼に開眼したら、
砥部へも脚を伸ばしてみてください。
(砥部方面への路線バスもあります。)

道後の町屋
中野

歩き疲れたときの一服には、
商店街にあるカフェ道後の、町屋がおすすめです。
かつては道後郵便局を兼ねていた、
店長の三好さんご一家のお住すまい(築80年!)を
改築した店内は、しっとりと落ち着いた空間。
お庭も調度もすてきです。
「町屋」という名前が示すように、
間口からは想像できないほど奥行きがあり、
お店に入ると、自家製パンの販売コーナー、
テーブル席(喫煙可)、地元作家の工芸品を
展示・販売しているギャラリー、
お庭の見えるお座敷席(禁煙)、と続いています。
メニューは、
朝のモーニングセット(200円+ドリンク代)や
昼のランチセット(サンドウィッチ4種400円〜+
ドリンク代)など、自家製パンが中心。
このパンがとてもおいしいのです。
生地には乳化剤や保存料が一切使われていないそうで、
お塩も控えめでやさしいお味。
ご家族のために三好さんのお母様が
手作りしていたパンが原点だそうで、
このお店のパン生地もお母様が手がけていらっしゃいます。
三好さんが惚れ込んだという「自家焙煎セラヴィ」で
焙煎された風味豊かなコーヒー(ブレンド480円〜)も
おすすめです。

道後エリアへのアクセス

伊予鉄道・市内電車(路面電車)で
JR松山駅から約20分、松山市駅より約15分、
大街道(おおかいどう)より約10分。道後温泉下車。
(伊予鉄道ホームページはこちら

道後温泉本館

松山市道後湯之町5-6 【Google map】
TEL:089-921-5141
営業時間:午前6時〜 入浴料金:400円〜

公式ホームページ(道後温泉事務所)
関連ページ(道後温泉旅館協同組合)

一六本舗道後店

松山市道後湯之町20-15 【Google map】
TEL:089-943-0016
営業時間:年中無休/7:30〜10:00

一六本舗道後本館前店

松山市道後湯之町20-17 【Google map】
TEL:089-921-2116
営業時間:年中無休/1階8:30〜22:00・2階11:00〜19:00

一六本舗公式ホームページ

道後製陶社

松山市道後湯之町3-10 【Google map】
TEL:089-941-8345
営業時間:年中無休/8:30〜22:00

道後の町屋

松山市道後湯之町14-26(道後商店街) 【Google map】
TEL:089-986-8886
営業時間:火曜定休/09:00〜22:00(L.O.閉店30分前)

・公式ホームページ

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次回へ続きます。

2009-10-12-MON

図版:トリバタケハルノブ  
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