著者は、フリージャーナリストとして活動し、
雑誌やウェブサイトにおもに政治関連の記事を
発表し続けていらっしゃる、上杉隆さん。
2009年8月30日、政権が自民党から民主党へ
交代したという事件を受け、
その前後、自民党や民主党について、
また政権交代の影響などについて、
雑誌やサイトに寄稿した文書をまとめたのが本書です。
前半ではまず、
なぜ民主党が大勝できたのか、ではなく、
自民党がどのようにして凋落し、惨敗したのかを
まとめています。
そして中盤から、まだ若き政党・民主党の分析と、
今後についての問題点が、続きます。
このふたつを柱として、取材に基づいた論が
それぞれ展開されていますが、
政治にくわしくないひと(自分のことです)でも
よく名前をおききする方や言葉ばかり出てきますし、
量も新書サイズで200ページ以下と短いので、
すぐに読めます。
個人的に、政治についてはわからない部分も多く、
自分の考えをまとめるのも、それを誰かに伝えるのも
とてもむずかしいことだと思っています。
その分、知らなかったことが書いてあったり、
理路整然としているこういった渾身の文章を読むと、
自分の頭もすっきりしたようで、
「そのとおりだなあ」とつい思ってしまうのですが、
礼儀としては、こういったルポルタージュは、
ひとつの見方として、興味深く、
受け取れるだけのものを受け取るのが
よいのではないかと思っています。
全体のトーンとしては、旧弊な社会に空いた風穴として、
歓迎されている民主党を
厳しく叱咤激励しつつも応援しているように読め、
将来に期待が感じられるルポはいいな、と思いました。 |