イトイの読んだ本、買った本。
 
イトイの読んだ本
『音のプロが選んだジャンル別 厳選ヘッドホン
 (別冊ビギン)』

発行:世界文化社
価格:¥ 1,400(税込)
ISBN-13:978-4418091133

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イトイはこう言っている。山っ気のある本がいっぱいある、経営の分野の本の中で最近、とても本気になって読めた1冊です。
ぼくは、ヘッドホンが好きだというわけでは
ないのですが、ヘッドホンを使って、
音楽や落語や講演を聴くのが好きで、
しらずしらずのうちに、
ずいぶんたくさんのヘッドホンを
買ったり使ったり壊しちゃったりしてきました。
(実際にはヘッドホンというよりは、
 耳穴にねじこむという形式のイヤホンというものです)

お試しにちょっと、という感じで次々に買ってきた
イヤホンの数は、たぶんもう30くらいになっています。
それが多いか少ないかもわかりませんし、
いま現在、使えて気に入っているものが
数少ないということを考えると、
なかなかの「こわれもの」ではあるし、
気に入ったものと出合うのは、
そう簡単じゃないんですね。

むろん、格別な研究熱心というわけでもないし、
音響マニアというような人間ではないのですが、
どうしてこんなにイヤホンを
意識するようになったかといえば、
「音源(コンテンツ)」をつくっている人たちの
意思なり意図なりを、これまで拾えてなかったなぁ、
という驚きからだったのです。
同じ曲でも、それなりのイヤホンで聴くと、
演奏者やエンジニアの人たちが
「どういうふうに聴いてほしかったのか」が、
少しは理解できるような気がするんです。

いまの時代、広い部屋でいい音響システムで、
満足な音量で音楽を聴くことなど、
そうそうはできやしません。
でも、ほとんどすべての音源は、
「音量をしぼって、ご近所にご迷惑にならないように」
というふうにはつくっていないはずです。
「ある程度の大きさの音量で、
 ある程度の音響システムで聴いてもらえる」ように、
つくられているわけですよね。
その意図を、聴き手、受け手として引き受けられるのが、
それこそ「ある程度の性能を持ったイヤホン」なのです。

ぼく自身は、予算的には、
iPodに無料でついてくるイヤホンから、
数万円のイヤホンまで、というくらいの範囲で、
ずいぶんいろいろ試してきました。
壊してしまったものも、いっぱいあります。
ちぎれやすいんですよね、持ち歩いて使うものにしては。
で、値段と、耳やこころの満足とのバランスを考えて、
ぼくにとっての、「これ」というものも決まって、
それを人にプレゼントしたり、
じぶんでもスペアを買って持っていたりしています。
宣伝するというつもりではないのですが、
そのイヤホンというのは
「SONY密閉型インナーヘッドフォンEX500SL」
というもので、12300円とかのものが、
ずっとAmazonで7000円台で売っていました。
いまは、さらに6000円以下になっていましたね。

ちっとも「読んだ本」の話にならないですね。
それなりに、ぼくのいまの段階での結論は出たのですが、
もっと「どうなっちゃってるの、この世界」と、
他の人の話も聞いてみたいじゃないですか。
そう思って、買ったのがこのムック本だったんです。
おもしろいです、使う立場の人たちが、
理屈じゃなくいい意味で「かっこつけ」の要素も含めて、
「じぶんの感覚」で選んでるんですよね。
おれは、わたしは、これがいいと思う。
そのへんが、読んでいて
息苦しくない理由だと思うんです。
ひとりが、いくつもを推薦しているのも自然ですよね。

ぼくも、また、どれか欲しくなってきました。
物欲の衰弱しつつあるぼくの、
けっこう数少ない弱いところみたいですね、
このジャンル。
 
単なる「音楽を聴く道具」にとどまらないヘッドホンの世界

趣味は?と聞かれると、
即座に「音楽鑑賞」と答える僕ですが
正直なところ、
ヘッドホンにそれほどこだわったことは
ありませんでした。

使っているのも数千円の安価なものだし、
音質や音域などについても、まあこんなもんかな、と
それほど意識していなかったように思います。
ただ、もちろん良い音で
聴けるにこしたことはないわけです。

で、このムック。

ピアニストから指揮者、
シンガーや果てはクラブDJまで、
さまざまな音楽の分野の方が、
それぞれ独自の視点で、ヘッドホンを
おすすめしてくれているわけですが、
みなさんいろいろこだわってらっしゃるわけですよ。

ミュージシャンの人であれば
仕事で使うのはフラットな音のこれだけど
プライベートでは音に深みのあるこれ、とか、
ダンスミュージック聴くなら
低音の伸びがよい、これ、とか。

おすすめされているヘッドホンも
数千円のリーズナブルなものから、
十数万円するような
いったいそれでどんな音楽聴くねん!
というようなものまで多種多様。

ヘッドホンの紹介部分に、
そのヘッドホンで試聴したアルバムを書いてあるあたり、
自分の好きな音楽のジャンルと照らし合わせて
よさそうなヘッドホンを探せて便利だと思います。

いままで自分が聴いていた曲も
ヘッドホン次第で
表情がずいぶん変わるんじゃないかなあ。

十数万円のヘッドホンはさすがに買えませんが。

2010-03-27-SAT
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