サスペンスっぽいホラーが観たいなぁ。

こんにちは。オリタです。
暑い日が続きますね。
今日も、ぼくが観た作品の中から、
いくつかの日本製ホラーをご紹介いたします。
熱帯夜に、怖い映画でも観て
ひんやりとした気持ちになりたいとき、
どうぞ参考にしてください。

さて、今回は
「サスペンスっぽいホラー」をご希望ですね。

ひと口に「サスペンスっぽいホラー」といっても
いろいろな解釈があると思うのですが、今回は
「死んだ人間(幽霊)ではなく、
 生きている人間によってもたらされる恐怖」
を描いた作品をご紹介しようと思います。
日本製のサイコサスペンスには
『羊たちの沈黙』や『セブン』のような
カリスマ的な犯人はあまり登場せず、
陰湿な狂気がその核となることが多いため、
「生きている」とはいっても、
その不条理な暴力性は
どこか幽霊に近いものがあります。




『CURE』(1997年)
監督:黒沢清
脚本:黒沢清
メディア:DVD
販売元:角川映画
猟奇殺人事件を追う刑事が
犯人に相対するにつれ、
徐々に向こうの世界に足を踏み入れてしまう、
ホラーとしてもサスペンスとしても一級の
見終わったあと日常が歪んでみえてくる作品です。
黒沢清監督の作品のなかでは
比較的エンターテインメントに徹した構成に
なっていますので、黒沢作品の入門編としても
おすすめいたします。
怖さ :★★★★★
洗脳:★★★★☆



『ブース』(2005年)
監督:中村義洋
脚本:中村義洋
メディア:DVD
販売元:ポニーキャニオン
ホラーだけではなく、
ウェルメイドなドラマも撮っている、
中村義洋監督による傑作サスペンスです。
どこに触れてもネタバレになってしまうので
ぜひ事前情報無しで見ていただきたい作品です。
ちなみに中村監督は脚本家としても活躍していて、
前々回のこのページでご紹介した
『仄暗い水の底から』、『ラストシーン』の
脚本も担当しています。
怖さ:★★★★☆
裏切り:★★★★★



『オーディション』(2000年)
監督:三池崇史
脚本:天願大介
原作:村上龍「オーディション」
メディア:DVD
販売元:パイオニアLDC
Jホラーの中では、
海外で早くに評価された、
三池崇史監督による
とにかく「痛い」サイコサスペンスです。
前半ドラマ部分の面白さにひきこまれて
観てしまうと後戻りできなくなりますので、
残酷描写が苦手な方はご注意下さい。
怖さ :★★★★☆
痛さ:★★★★★



『降霊』(1999年)
監督:黒沢清
脚本:大石哲也・黒沢清
原作:マーク・マクシェーン「雨の午後の降霊会」
メディア:DVD
販売元:タキ・コーポレーション
もともとは地上波テレビの2時間ドラマ枠で
放映された作品なのですが、
テレビドラマ的な明るさは一切無く、
Jホラー特有の静けさ・暗さが全体をおおっています。
霊能者である妻が目撃してしまう
さまざまな幽霊がリアルでおそろしく、
心霊ホラーとしても、悲劇的なサスペンスとしても
楽しむことのできる、
2度美味しい作品となっています。
怖さ:★★★★☆
幽霊:★★★★★



パッケージの罠
レンタルビデオ店で一般的な映画の棚しか
チェックしない方には
信じられないかもしれませんが、
心霊ホラーのパッケージには、
メジャー、マイナー問わず、
本編で登場しない幽霊やおどろおどろしい画像が
「イメージ」として当たり前に掲載されていて、
これは怖そうだと借りてみたら‥‥というケースが
ままあります。
とくに最近は簡単に画像処理や合成ができるため、
ますます内容の見極めが難しくなってきています。
Jホラーにはまり始めると、
見たことのない傑作を求めて、
ついジャケ借りしてしまいたくなる
(それはそれで楽しい)のですが、
とりあえずはネットのレビューや口コミなどを
参考にされることをおすすめいたします。

イラスト:藤本和也

2007-08-10-FRI





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