最後に、いろいろ訊かせて!

こんにちは。オリタです。

一ヶ月おつきあいいただいたこの連載も
今回をもって終了いたします。
最後になってしまいましたが、
今回はリクエスト特集として
連載中にいただいた質問メールの中から
いくつかお答えしたいと思います。



Q

ホラーが苦手で今まで見てこなかったひとに
ホラーデビューとしてお勧めなものはありますか?
怖い物好きな友達が多いので、
話題についていけない(泣)。
(カジ)

A ホラーが苦手な方にホラーをおすすめするというのも
なかなかアンビバレントな状況ですが、
ちょっと反則をして
ハリウッドリメイクの
『THE JUON 呪怨』はいかがでしょうか。
アメリカ人が演じているということで
現実感が薄れますし、日本語吹替版でしたら
恐怖もさらにマイルドになるのではと思われます。
  『THE JUON 呪怨』

監督:清水崇
脚本:清水崇
メディア:DVD
販売元:ジェネオン エンタテインメント



Q

(グロテスクなのは苦手なのですが)
ホラー映画好きの会社員です。
いままで見た中で、黒沢清監督の『降霊』
(たしか何年か前にテレビで放映したような)
がいちばん怖かったんですが、
そんな私にオススメの映画があったら教えてください。
(山本)

A ホラー好きのかたでしたら
すでにご存じとは思いますが、
同じ黒沢清監督の
『回路』をおすすめいたします。
『リング』や『呪怨』のように
キャッチーな幽霊が出てこないため、
口コミに乗りにくい作品ですが、
黒沢監督の世界観、ホラー演出が
総結集された代表作のひとつです。
  『回路』
監督:黒沢清
メディア:DVD 
販売元:角川映画



Q

最近のホラー映画って
邦画も洋画もどちらかといえば
ドロドログチャグチャって
音や映像で脅かしてる!
って感じのものが多いと思うんですが、
『シックスセンス』みたいな
どちらかと言えば精神的に追い込んでいくような
都市伝説的なホラーでお勧めなものはないですか?
(洋・邦画問いませんので)
(non-mama)

A 精神的に恐怖を感じる作品といえば
なんといってもサスペンスの回で
ご紹介した『CURE』をおすすめいたします。
またアメリカ映画になりますが、
『フレイルティー 妄執』は低予算ゆえの
ストイックさが功を奏した
サイコサスペンスの隠れた秀作です。
機会がありましたら、
こちらもぜひご覧になってみて下さい。
  『CURE』
監督: 
脚本:
メディア:DVD 
販売元:
  『フレイルティー 妄執』
監督:ビル・バクストン
メディア:DVD 
販売元:Paramount Home Entertainment



Q

吸血鬼の出てくるホラーが観たいです。
クリストファー・リーが大好きな私。
日本にもいくつか
吸血モノの映画があると思うのですが、
あまり知りません。
よろしくお願いいたします。
(みかげ)

A 吸血鬼は日本ではどうしても
ファンタジックな存在になってしまうため、
Jホラーのリアルさからは少し外れてしまうのですが、
岸田森氏が「和製クリストファー・リー」的に
吸血鬼を演じた『血を吸う眼』(1971)と
『血を吸う薔薇』(1974)は、
今見てもホラーとして充分に楽しめ、おすすめです。
ちなみにこの『血を吸う〜』シリーズを
手がけた山本迪夫監督は
1999年に『呪われた課外授業』
(「学校の怪談〜たたりスペシャル」に収録)
という吸血鬼の登場する短編ホラーを
撮っていて、ここでは
市川染五郎氏が吸血鬼を演じています。
  『血を吸う眼』
監督:山本迪夫
メディア:DVD 
販売元:東宝
  『血を吸う薔薇』
監督:山本迪夫
メディア:DVD 
販売元:東宝
  『呪われた課外授業』
メディア:DVD 
販売元:大映



Q

リクエストさせていただきたいのですが、
「あまりこわくないホラー」はありませんか?
怖いもの見たさはあるんですが、
基本的に怖いのは苦手で、
特に、残酷だったり、残虐だったり、
痛かったり、生理的に気持ち悪かったり、
後味が悪くて夢に出てきちゃいそうなのは嫌なんです。
エンターテイメント寄りに
なってしまうかもしれませんが、
見終わった後に素直に「おもしろかった」と思える
ライトなホラーがあれば見てみたいと思います。
小学生の時に見た『学校の会談』は、結構好きでした。
『リング』はギリギリでした。
(218)

A これまたアンビバレントなご要望ですが、
Jホラーのほとんどは
残酷描写、暴力描写は控えめになっていますので、
R指定の無い劇場公開作品であれば
まず大丈夫かと思われます。
手はじめに、リングの回でご紹介した
『仄暗い水の底から』や
『TRICK』の堤幸彦監督による
『新生トイレの花子さん』(脚本は高橋洋氏)から
挑戦してみてはいかがでしょうか。
  『仄暗い水の底から』
監督:中田秀夫
脚本:中村義洋・鈴木謙一
メディア:DVD
販売元:バップ
  『新生トイレの花子さん』
監督:堤幸彦
メディア:DVD 
販売元:ポニーキャニオン



あとがき
これまでJホラーソムリエを
ご覧いただきありがとうございます。
冒頭の紹介文にあるように、
ただただ興味の赴くままに、
Jホラーを見続けてきたのですが、
この連載の執筆を通じて、自分の嗜好を
あらためて確認することができました。

「恐怖」という感情は生理的、本能的なもので
ひとそれぞれのバックボーンや
コンディションによって
そのポイントも変わってきます。
この連載を足がかりに、
名作、傑作の称号にとらわれることなく
自分にフィットするホラーを見つけ、
「恐怖」を楽しんでもらえれば幸いです。

ではまたどこかでお会いしましょう!

イラスト:藤本和也

2007-08-31-THU





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