先輩自炊人たち、スパゲティを考える。その2
〜250円で旨いスパゲティ・ソースは作れるか?〜
●すべてのスパゲティはペペロンチーノに通ず
こほん。
わしがペペロンチーノを
スパゲティ栄光の三大ソースの一、とするのには
理由がある。それは……
旨いからじゃ!
これ、笑うでない。この「旨い」の裏側には
自炊に不可欠なさまざまな要素が組み込まれておるのじゃよ。
ペペロンチーノは、オリーブ・オイルで
にんにくとトウガラシをじっくり炒め、
塩ゆでしたスパゲティをあえる、という、
言ってみれば「ただそれだけ」の、
まさしくsimple as it must beの料理じゃ。
簡単すぎるほど、簡単じゃのう。
素早く・誰にでも・安価に・気軽に
つくることができるからのう。
しかしな。甘くみるでないぞ。
このソースは、地肩が違う。
にんにくととうがらし、塩、オリーブオイル。
この、辛い・しょっぱい・クサイ、の食材たちが、
自炊人(それは、あなたじゃよ)の手によって
かぐわしい一品に生まれ変わるためには
センスとバランス感覚が問われるのじゃ!
ペペロンチーノとは、間口が広く奥が深い
スパゲティの基本となる一皿なのじゃ!
さあ、わしの御託はさておき、
先輩自炊人たちの意見を聞いてみようかの。
まずは「ペペロンチーノの哲学」じゃ。
●ボクの経験上から、こいつのポイントは、
・スパゲティは太めの物を大量に!
少ないと寂しい気分になるパスタです。
まさに、絶望のパスタ!
・パスタをゆでる段階で、塩をケチらない。
関取になった気分で、ぶちまけること。
・にんにくは、低温の油からじっくり火を入れる。
油もにんにくもケチらないこと。
・鷹の爪は様子をうかがいながら、臆病に入れること。
これはケチっても大丈夫。種を取るのは言うまでもなし。
どしても辛いのがイイという方は、種付きを大量にどうぞ。
・とにかく、味がないよりは、しょっぱすぎる方がマシ!
(四十物 達朗)
大胆に、かつ臆病に、か。よい意見じゃ。
補足するなら、スパゲティは細いものでも
茹ですぎさえしなければ、うまい。
にんにくは、きちんと芽をとって、スライスすべし。
芽があると苦味が出るからのう。
そして、あえる前に、にんにくをとりだしておき
あとからトッピングすると、カリっとした食感が楽しめるぞ。
ソースとあえるときには、ゆで汁をすこし入れると
仕上がりがあでやかになる。
次は「より簡単に」のレシピじゃぞ。
●フライパンを火にかける前に、
たっぷりのオリーブオイルと
たっぷりのすりおろしニンニク(チューブ入り)を入れる。
一味唐辛子は好みで加減する。
点火して、弱火か中火くらいで火を通し、
香りがしてきたら、できあがり。
食べて辛みが足りないってときは、
一味唐辛子か、コショウを使ってね。
ニンニクを切ったり、唐辛子を切ったりしないので
とても楽チン。
熱したフライパンに具材をいれるわけでないので、
ジューッ!と油がはねて怖いということもないです。
見た目はちょっと違うけど、
味的にはちゃんとペペロンチーノです。
(ヤギダイ)
わしとしては、やっぱりこれは見た目が寂しいと思うがな。
それにおろしにんにくは焦げやすいので注意が必要じゃ。
にんにくの応用編では、こんなレシピも来た。
●まず、醤油にんにくを作っておく
(皮をむいたにんにくを小瓶に入れて、
隠れるくらいまで醤油を注ぎ2〜3日置く)。
漬けておいた醤油にんにくを取り出し、薄くスライスし、
赤唐辛子を輪切りにする。(辛いので種は取る)
フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ弱火にかける。
オイルが温まってきたら赤唐辛子を加える。
にんにくの周りがカリカリになってきたら
ゆでたパスタを入れ、にんにく醤油、
塩、こしょうで味付け。(もっつ)
なるほど! ペペロンチーノに醤油は非常に合うのじゃが、
醤油にんにくを使うとは、一本とられたわい。
わしも、やってみようかの。 弱火でカリっとさせると
旨そうじゃな…… ゴクリ。
「加える」というアイデアもある。
●ペペロンチーノ、万能ですね。
これをベースに屑野菜でもなんでもぶち込めば
ゴージャスパスタに大変身だし。
だが、具を投入するのではなく、
ナンプラーを入れてみて下さい。
え! これがペペロンチーノ?
というような変身をいたします。
普通のペペロンチーノに
飽きてしまったというような時にお薦め。
なお、具材を入れるのであれば、
プチトマト、黒オリーブ、パセリ。
こいつはうまい! 冷やしてもうまい!
(かえる)
これも、わしは未経験じゃ。ナンプラーが旨いなら
ひょっとして日本の魚醤「いしり」や
「しょっつる」を入れても旨いかもしれんのう。
ペペロンチーノは個性が強いようでいて、
ほかの食材との相性も抜群じゃ。
ネギ、海苔、大葉などを散らせば和風になるし
パルミジャーノ(粉チーズ)も、もちろん合う。
オクラやアスパラ、ブロッコリなどの
ちょっとクセのある野菜も手なずけてしまう
懐の深いソースなのじゃ。
ちと高いが、アンチョビー(ひこいわし)ソースの
下味として使う、というのも非常に旨いのう。
ああ、書いているうちに腹が減ってきたわい。
わしの夕飯はペペロンチーノに決まりじゃな。
明日は、三大ソースその2、を紹介するつもりじゃ!
ふおっふおっふおっふおっ……
●自炊老人のちょっと蘊蓄
「ペペロンチーノ」というのは
日本で広まった呼び名じゃ。本国・伊太利では
spagetti aglio e olio e peperontini
と呼ぶのじゃそうじゃ。
aglioはにんにく、olioは(オリーブ)オイル、
peperontiniはとうがらし(タカノツメ)じゃな。
コレを見るだけでかぐわしい我が一皿を思い描き
ヨダレが止まらんほどじゃよ……。
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というわけで、みなさんのレシピを引き続き募集しています。
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