自炊初心者のための道具ガイド 番外編
〜熱烈圧力鍋推進派協議会だより その2〜
あ〜腰が痛い。なぜ痛いのかというと、
トシだから、ではなく、妙な歩き方をしたせいじゃ。
日曜にな、有楽町の「わしたショップ」という
沖縄物産屋に、島ラッキョウを買いに行ったのじゃ。
ついでに、閑散とした丸ノ内でも散歩して
カフェーにでも行くか、とグルグル歩き回ったら、
マタズレを起こしての。痛くてかなわ〜ん!
しょーがないので、ガニマタでがしがし歩いたら、
翌朝腰痛じゃ。……アホかわしは!
ま、それはともかく島ラッキョウは塩をして
冷蔵庫に入れた。一日おけば食えるじゃろう。
わしは本格的な漬物は作らんのじゃが、
「塩をするだけ」の簡易漬物はよく作るぞ。
島ラッキョウは沖縄でその旨さに目覚めて以来、
ずっと愛好しているのじゃが、
なかなか手に入らん。そういうようなときは、
似たようなもんじゃろう、と
エシャロットで代用したりしとるよ。
さっと水洗いして、たっぷり塩をまぶし、
一日くらい置いてから、洗って食するのじゃ。旨いぞ。
かつおぶしをまぶすと沖縄ふうじゃな。
(醤油はかけないでよいぞ)
さらに昨日は、いつも米を買っている新潟の農家から、
収穫されたばかりの無農薬のシロウリが送られてきた。
東京では手に入りそうにない、みずみずしいシロウリじゃ。
これも塩漬けにすることを考えたのじゃが、
あまりの新鮮さに、もったいなくてのう。
よく冷やして、スティックに切って、
あらじおとマヨネーズを用意して
ちょこっとつけて食ってみた。
そしたら…………ん、ん、んまいのじゃ!
大きく「しゃりッ」と音がするほどの歯ごたえなのじゃが
果肉はふわりとしておって、
噛むと口に水分がじゅわっと広がり、
ほのかに果物のような香りがするのじゃよ。
とても料理とは言えぬようなシンプルな食べ方じゃったが、
これもまた自炊なり、じゃよ。のう?
さて。
今日は前回に引き続き
熱烈圧力鍋推進派からのメールの紹介じゃ。
懸念である「圧力鍋でおいしくゴハンを炊くには?」への
回答メールがたっぷり来とるよ。
●圧力鍋でご飯炊き。これはえぇですよ。
家は2人で1回2合炊きます。
で、鍋は3Lの理研のステンレス。
購入当時キャンペーン中で減圧錘くんが付いてました。
6Lティファールも有りますが、
あれは大量に(例えば5合)炊く方には良いでしょうね。
2合ではでかすぎ&圧力が掛かりすぎる事で
おいしく炊けませんでした
もし圧力の調整が可能であれば、
低めでやってみてください。
あと、研いで最低10分は水に浸してください。
研いですぐでも美味しいとは言いますが
やはり炊きむらの原因になりますよ。
何度かやってコツをつかむのが一番でしょうね・・・
ガスで炊かなきゃ! 火加減しにくいでしょ、電気もの。
で、炊き上がったら(圧力掛かって2分でOK)
5分ぐらいして蓋開けて混ぜる。
でまた5分ぐらい蓋して放置。
水分の吐き出し方が、炊飯器とは違うので
私はこうしてます。
自家製梅干のおむすび、たまに出現するおこげ、
あぁぁぁしぁ〜わせ。(しましま)
お・お・お・おこげ!
しょうゆにかつおぶしをまぶして
にぎりめしにしても旨いのう!
わしは電気自動炊飯器を使っとるが、
炊き上がり時間が来てスイッチが切れたときに
無理やりスイッチをおし続け、加熱して
(いいのかのう? こんなことして)
おこげをつくる、ということを、たまに、する。
この方法じゃと、おこげができることはできるんじゃが
炊飯器というのはおこげがあまり得意ではないようで
そんなに旨くなかった……。
やっぱり「火」はエライ。そう思ったぞ。
と、おこげに心を奪われてしまったが、
驚いたのは時間じゃ。
そんなに早く炊けるのか圧力鍋というやつは!?
前後の時間を考えても確実に電気炊飯器より早いのう。
これは、忙しい自炊人には福音のようじゃ、が、
「ほっときゃ炊ける、タイマーも使える」
自動電気(あるいはガス)炊飯器の便利さと、
どちらを取るか、というのは
なかなか難しいモンダイじゃろうな……。
なんて言ったら熱烈圧力鍋推進派には
叱られそうじゃが。
●私の記憶が確かならば(←ちょっと古い)、
私の家には電気釜はあることはあるのですが、
使われた形跡がありません。
御飯は、かならず圧力鍋で炊きます。
かれこれ30年弱はたっていますが、今でも
『セブ(今はティファールですね)の相当古い型』の
圧力鍋を、パッキンや圧力弁を取り替えながら、
ばりばり現役で使っています。
白い御飯はもちろん、玄米や五穀米も美味しく
簡単に炊けるそうです。
(祖父談……私は白米しか炊いた事がないので……)。
炊き方は簡単で、きっちり蓋を閉めた圧力鍋を
強火にかけて、圧力弁が回り始めたら
弁の回転が止まらない程度に少し火を弱めて、
良い匂いがしてきたら火を止めて、
あとは圧力が下がるまで待つだけです。
蒸らしている間におかずやお味噌汁を作れば良いので、
時間のロスやガス台を塞ぐこともありません。
もし美味しくない……と思われるのでしたら、
1:火力が足りない
2:お米の研ぎ方が足りない+吸水時間が短い
3:一度に炊く御飯の量が少ない
のどれかではないでしょうか?
圧力鍋の大きさにもよるのでしょうが、
私の家のような大きいサイズのだと、
3合よりも少ないといまひとつ美味しく炊けないようです。
となると、冷凍庫+電子レンジ、は
必需品となってくる訳ですが、
別に“ほかほかの御飯”にこだわりさえしなければ
冷凍御飯をお粥でもリゾットでもすればいいんですから、
なくてもなんとかなります。
あ、また長くなってしまいました。
ひとり分の自炊にはちょっと大袈裟な道具かな、
とも思いますが、“ぴっかぴかの美味しい御飯!”が
日常に必要な方なら、長い目で見て
あっても良いものではないかな、というのが
“圧力鍋”だと思います。
長々と失礼致しました。(Mia.)
この「圧力鍋を使うにあたっての二、三のコツ」を
面倒と見るかどうか、じゃな。
普通の鍋に比べたら、圧倒的に面倒じゃ。が、
こういうのは自転車と同じで
案外、慣れてしまうものじゃから、
「道具を使うのが好き」な方なら、大丈夫じゃろう。
あとはおいしく炊けるめやすの「3合」という分量じゃが、
これは自炊人(とくに女子)にとってはたしかに
ちと多いかもしれんな。
(男子はこのくらいへっちゃらじゃろうが)
よって、miaどのの案のように解決するか、
あるいは「お弁当にする」とか
「おひつ」を導入して冷や飯もおいしくいただく、
というような工夫が必要になりそうじゃな。
わしは大食いじゃし、ひやめしは大好きなので
ぜんぜんかまわんが。
しかし30年! そいつはすごいことじゃ。
えらいぞMia家!
次のメールは、長く、これもある意味、
自炊初心者にはやや難しい内容じゃ。
が、非常に基本的で大事な「めしの炊き方」を
キチンと書いてくださっておるでな!
●はじめまして。
米食って25年。
もちこさんに圧力鍋を紹介した
越後人です。
佐渡や十日町魚沼の農家から
流通しない米を直にいただいて
(機械干しじゃなくて天日干しなど)
圧力釜で炊いたものを食べて育ちました。
しかし、米自体には大差がないように思われます。
旨さの秘訣は米そのものより
やはり炊き方にあるのではないでしょうか。
おいしく炊く方法として
1.圧力鍋のメーカー・大きさは問わない。
2.おいしい水で炊く。
いちいちミネラルウォーターで
炊くのは経済的ではないですね。
僕はブリタ(独製)というポット型の浄水機
(3000円程度)の水を使っています。
東京の水でもこれを通すと
飲めるようになりました。
また、そのままポットごと冷蔵庫に入るので
飲み水としても重宝します。
3.米の洗い方。
最初の研ぎ汁は瞬時に捨てます。
なぜかというと、米が乾いているために
研ぎ汁をちゅうちゅう吸ってしまうのです。
そうすると研ぎ落としたはずの
米のアカ部分が溶けた水を
その米に染み込ませることになってしまうのです。
これは人間がお風呂に入った時に
湯船に浮かんでいる自分のアカを
お湯から上がる時に結局
カラダに付けてしまうのとよく似ています。
その時、みなさんは「上がり湯」で
シャワーを浴びるでしょう。
米も「シャワー洗い」がよいのです。
研ぎ方は「拝み洗い」。
手をゴシゴシと洗うように
お米を手で挟んで拝むようにして研ぎます。
また、洗いすぎない事も大事です。
ほんの少し濁りが残る程度で
研ぎは終了。
あまり洗いすぎるとお米の風味が逃げます。
20分くらいお米と同じ量の水で
ひやかし(ひたし)ます。
もちろんこの水で炊くんですけども。
新米はやや水を少な目に。
古米はやや水を多めに。
標準米一合に対して
新米だったら一合とちょっと(10CC)。
古米はその逆で、一合マイナスちょっと。
4.米の炊き方。
最初中火と強火の間くらいで炊きます。
火の大きさは、鍋の直径から
はみ出さない程度です。
湯気を吹き出すピストンが
かなり激しく回転するまでそのままです。
「しゅっしゅっしゅー」じゃ駄目です。
「ぷしゅーぶしゅしゅしゅぷーしゅしゅしゅ」
くらいまで我慢しましょう。
そうしたら火を弱火にします。
1から3合で5分、4から5合で10分程度です。
ちょうどいい時間加減を見分けるには
ピストンから出てくる湯気を
理科の実験のように手で引き寄せて嗅いで
「ちょっと香ばしい(焦げる寸前)?」
くらいになったら最後一気に強火にします。
これは10秒程度です。
そして火を止めます。
その後は季節によって時間も変わりますが
15分程度そのまま火からおろして蒸らします。
お好みによって
備長炭(100円ショップでも売ってます)や
少量の塩、
小さじ1ぱいの酒等を
一緒に炊くと風味が増します。
やはり火力が命なので
電磁調理器ではおいしく炊けないと思います。
(やった事が無いのでわかりませんが)。
だったら電子炊飯器で炊いた方がよいと思います。
ちなみに、3年ほど前に
新潟県限定の高級電子炊飯釜が発売されていました。
たしか、お値段は10万円くらいで、
即完売だった様な気がします。
参考になるでしょうか。(いっしー)
さすが越後人、米のことでは譲らんわい。完ぺきじゃ。
「圧力鍋で米を炊く」は、
このメールをもって完了と言ってよいじゃろう。
ありがとうじゃ!
が、待て。わしの好きな玄米はどうするのじゃろう?
おお、この自炊人は、前回登場の
「毎朝自分で弁当をつくる」sugiyamaどのじゃ!!
●自炊老人殿
圧力鍋での玄米の簡単な炊き方の件について
簡単ですのでご教示申し上げます。
1.玄米は1人分150ccを目盛りカップに取って
圧力鍋に入れます。
2.2回水で研ぎます。
3.水をお米の1割増し(1人分なら165cc)入れます。
4.強火の火にかけます。
5.5、6分でシュッ、シュッ、シュッと
リズミカルな音がして蒸気が出てきたら
弱火にします。
1人分は13分、2人分は15分
弱火にしてから炊きます。
6.時間が来たら火を止めて、
鍋の蓋が自然に開けられるようになるまで
10分位置いておきます。
7.蒸気の音がしなくなって
自然に蓋が開けらようになったら
蓋を開けてお弁当箱にご飯を盛ります。
初めから終わりまで全部で30分位です。 (SUGIYAMA)
ありがとう、ありがとう! これで完ぺきじゃよ。
うまい玄米めし、わしの好物じゃ。かっかっか。
おっと。なになに、圧力鍋反対派の意見とな???
●圧力鍋への賛辞ばかりのようですが、僕の友人は、
賛辞どころか大惨事になるところでした。
彼は、圧力鍋でも、蓋の中央にある蒸気穴に、
重しになった弁を差し込むタイプのものを使っていました。
ある時その弁を紛失したので、
代わりに木製のハシをつっこみました。
『蒸気圧が高まれば、ハシが外れるだろう』
と考えたのです。
しかし、圧力の高まる以前に、先に蒸気でふやけたハシは、
どんどん増す圧力に耐えて、
しっかりと栓をし続けたのです。
すぐ横で見守っている彼の前で突然、ごう音と共に
鍋の蓋はブッ飛び、天井をブチ抜いたのです。
ゆめゆめ圧力鍋を侮るなかれ‥‥(雪中庵)
……その友人に言わせていただこう。
ぶゎぁーくゎぁーむぉーぬぉーーーっ!!
それは圧力鍋が悪いんじゃない、
使い方が悪いんじゃよ!!
「包丁の、刃の部分を持ったら手がすぱんと切れました!」
「フライパンで油を加熱しすぎたら火がつきました!」
というのと同じじゃ! ぷはー。ぜいぜい。
怒ったら息が切れたぞ。どうどう。
まあ、ここから教訓を得るならば、
道具はちゃんと使い方を心得よ、ということじゃな。
エラそうに書いとるが、わしも「圧力=キケン?」という
イメージが、この特集をまとめるまで
ぬぐいきれなかったのじゃよ。しかし、それは、
無知ゆえの失態ということがよくわかったぞ。
雪中庵どののメールに出てくる友人どのを反面教師に
学ばせていただこうではないか。ありがとうじゃ。
さて。
最後は、新参圧力鍋派の買い物&使用ルポメールじゃよ。
非常に実用的な買い方ルポとなっておる。
ああ、わしもほしい。いいのがほしい。
ほしいったらほしい〜。という気分になったぞ。
●この連載を読み、自炊マニアで物欲王でもある私は
早速圧力鍋なるものを探しにいきました。
5000円位から手に入るということでしたが、
まあ、まともなもんはむりだっぺ、
ということでとりあえずス−パ−で実物を見て、
やっぱり安物はダメねえ、と納得してから
デパ−トに買いに行くという作戦です。
結果的に良い物を買うことになるとしても、
もしかしたら安くてもよかったかな、
ということのないようにです。
さて、スーパーのものですがやはりボリュームゾーンは
5000〜7000円というところでしょうか。
機能的には高いものとそれほどは違わないんでしょうが
キッチン回りを極力美しい物で揃えたい私としては、
これほどチープな物には耐えられん、といった感じです。
というわけで池袋の東武デパートへ。ありますあります。
ほとんどが外国製で、値段は10000〜35000円と
いったところ。値段によって何が違うかといえば重さです。
大きさよりも重さです。つまり良い物は
厚みが違うんですね。10000円くらいのもの(SEB)だと
そのへんの3000円くらいの鍋に
強力な蓋がついてるだけって感じです。
まあおすすめは15000円くらいからの
鍋底が厚いやつでしょう。僕は16000円のもの
(フィスラー製、イワタニが輸入してます)をかいました。
ステンレス鏡面仕上げフェチの私は大満足です。
さて肝腎の調理ですが、私が圧力鍋を買った一番の動機は、
早くおいしく御飯が炊ける、これにつきます。
とりあえずおかずが必要なので、
まずはビーフシチューをつくってみました。
ふつうのなべで作ると3時間てところでしょうか。
圧力鍋にはかならずついてくる
クッキングハンドブックなるものによれば
『20分加熱、その後野菜をいれて10分加熱』
というかんじです。ワインたくさん入れるんだけど
アルコ−ル分はどうなるんだ? との心配もよそに
あっというまにできてしまいました。
確かに柔らかくなってます。
しかし水分が全く飛ばないので
かなりゆるくなってしまいました。
蓋をとってつめればよいだけのはなしですが
早さをプライオリテイにするのであれば、
このへんの水の分量は注意したいところです。
よく巷で「圧力鍋を買ったがおいしくつくれなかった」
というのはこのへんにあるのではないでしょうか。
あと「味がしみるのは温度が下がっていくとき
(BY博士鍋)」というのは本当で、実際圧力鍋でも
自然に温度をさげたとき(圧力を下げないと
蓋が開きません)と水で急冷した時では
味のしみこみかたがまったくちがいます。
つまり圧力鍋には圧力鍋の料理法があるんですね。
さて、こんどはごはんです。
本当に早く美味しく炊けるのでしょうか。
結論としては『それは可能ではあるが、
何度も試して最良の加熱法をつかむ必要がある』
ということです。まず圧力の問題です。
高い物だと2段階くらいの圧力が選べて、
それによって加熱時間が大きく違ってきます。
また蒸らしの時間も左右されます。圧力が高すぎると
デンプンが糊化し過ぎてお米が灰色になってしまいます。
このへんは本当に失敗を重ねて
やっと美味しく炊けたという感じです(8回目くらい)。
このように休日を潰しての圧力鍋騒動でしたが
料理好きの好奇心と探究心を十分満足させてくれました。
骨がほろほろに外れるくらい柔らかいチキンカレーも
40分でできます。(市販のル−、つまり小麦粉の
はいったものは圧力をかけると吹きあがって
安全弁を塞いでしまうので、ルーを入れた後は
ふつうに煮込まなければなりません)
持っていて損はないといいえるでしょう。
でも時間をかけて料理のできる方には
必要ないかもしれませんね。(内池 裕治)
内池どのはレストランでの調理アルバイト暦6年、
現在趣味としてのみ自炊をする趣味的自炊人だそうじゃ。
しかも物欲人とな。こういう人がいてくれると、
余計な失敗をせんですむから、ええのう。
しかし週末に8回もめしを炊いたのか!?
ということでまた次回!
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みなさんのレシピや、
自炊に関することがらのメール、お待ちしてます!
jisui@1101.comまでお送りくださいね。
よっこらせっと。
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