がんばれ自炊くん!
「ふだん食」はじぶんで作るって、どう?

鍋ひとつで何をつくる? その8
〜いよいよ鍋物の季節が近づいたのう!〜

なーんか、すっかり、秋じゃ。暗くなるのが早いこと。
わしは、秋風とともに、
夏の間ホコリをかぶっとった土鍋を出したぞ。
昨日の夕食は、その土鍋を使って、
アスパラとズッキーニとブロッコリと
オクラ(下ゆでしてから、な)と、
マイタケとエノキダケとシイタケと豆腐をぶっこんで、
白ワインと醤油とだし汁で煮た。
はふはふ、あつあつ、うーん、ヘルシーじゃ〜!
和洋折衷なのは、狙ったのではなく、
わしがいーかげんだからじゃ。でもうまかった!
豆腐は、かなり、主食としていけるな。
なんか、わし、ダイエット成功しそうなムードじゃ。
今日も『Tarzan』のダイエット特集なんか
買ってきたりして……ふふ……これで秋の荒食いシーズンも
ばっちり乗りきれそうじゃ〜!

……と思ったらいまイトイ翁から
「自炊老人、メシはどうかね?」と誘いが……
ああ、それは蠱惑的な誘い……ああ、どうしようかのう?
ま、いっか。今日くらいはな。



というわけで、どかどか到着している「一鍋料理」、
今日もじゃんじゃん紹介するぞ〜!


まずは、まさしく「鍋」。水炊きじゃ。

●私にとって鍋ひとつ、火ひとつといえば「水炊き」です。
 1.鍋にお湯(日本酒少々)をわかす。
 2.鶏肉をいれる
   (私はスジっぽくならないもも肉が好き)。
 3.野菜をいれる。
 4.ちょっと待つ・・・できあがりー。 
 あとはポン酢でひたすら食べる。
 野菜は冷蔵庫にある物をボンボン入れて食べます。
 ちなみに私の冷蔵庫の野菜達はおもにキノコ類、白菜、
 キャベツ、ネギ、ニラなどです。
 野菜もいっぱいとれてすごく良いです。
 スープが余ったら、もったいないので
 これにコンソメの素とトマトを足して
 「何となく洋風スープっぽくない!?」にしたり、
 あるいは鶏ガラスープと塩、醤油とかで味を調え
 中華麺をいれて「あら? なんかこれラーメンみたいよ!」
 を作ったりしています。
 あとはおでんも作ります。
 入れようと思えばいろいろ具がありますが
 私は大根、ちくわ、こんにゃく、昆布、玉子が
 入っていれば「おでん」と呼びます。

 次は鶏肉の代わりに冷凍庫でしばれている挽肉を使います。
 これはキャベツを他の野菜に比べて多めに入れます。
 後は適当に水炊きと同じ様に野菜をいれ、冷凍してあった
 ゴチンゴチンの合挽肉を鍋に「ボチョン」と入れて
 溶けてきたらお玉で適当に崩します。
 あくが出てきたら取ってコンソメの素、塩コショウで
 味付けして食べてみると、
 「ロールキャベツ作ったけど途中でほどけちゃったよー
 はははー」の出来上がり。
 一人暮らしなのでもちろん一人でも平気で鍋物を
 食べてますが、友達にも大変評判はよく
 雪が降り出す10月〜翌年の3月ぐらいまで
 毎月1回は必ず「鍋大会」を開催しています。(tochan)


そうか、これ、盲点じゃった。「水炊き」、こいつは、
自炊初心者には、非常におすすめできるレシピじゃった!
なぜなら、鍋つゆ自体に味をつけないので、
大きな失敗は少ないということ。
野菜がいっぱい食べられるということ。
なんでも素材になるということ。
そして、tochanどののレシピのように、
余ったつゆ(だしがいっぱいじゃ!)を使って
翌日のメニュウに応用できる!!
いいとこばかりじゃ〜〜〜!



で、わしからのアドバイスじゃが、
「野菜」は、下ゆでして、「あたたまればすぐ食べられる」
ようにしておくといいぞ。アクも出ないしな。
それにしてもtochanどの、「あら!?」の姿勢が、ええのう!
そういうことなんじゃよな、自炊は。

続いての自炊人からは、“日曜につくる”具だくさんの
野菜スープじゃよ。これも応用が利くぞ!

●できるだけ大きい鍋に水をはり、
 とりがら【血がついてたら、とっておこう】
 しょうが・にんにく【皮をむいて包丁を平らにしてつぶす】
 野菜屑【にんじんの皮やらパセリの茎やらてきとうに】
 をいれて煮込みます。
 にんじんやら、かぼちゃやら適当に
 一口より小さめにきっておく。
 この中身は適当でいいです。
 ダイコンでもなんでも冬場に安い野菜を用意しておく。
 とりがらが柔らかくなったら、取り出して潰して
 【手でばきばきとワイルドに】
 また鍋にぽしゃんといれて煮込む。
 煮立ったら、とりだす。
 油が気になる人はすこしさまして
 上にういてくるのをとりのぞきます。
 スープを半分にして【半分は製氷皿にいれて
 キューブにしておく】それに、用意しておいた野菜を
 いれて煮込む。フランクフルトとかいれると
 塩気が増えるので、加味して塩こしょうする。
 これを日曜日につくっておけば、翌日からの忙しい朝でも
 鍋に火をいれるだけで、
 熱々の野菜スープが体にはいります。
 飽きてきたら、しょうゆをすこしたらしてみる。
 つぎには、トマト缶をつぶしていれてみる。
 マカロニを別にゆでてそれにもれば、
 ミネストロンになりますね。
 最後にカレーをいれて、カレーライス。
 この頃には具がなくなっているので、
 別にじゃがいもをゆでて
 それをさいころにきってまぜたりすると
 ヨーロッパ風だったりして。
 これで、いそがしくても毎朝きちんと
 朝ごはんできるのです。(Yukiko)

 
そうじゃそうじゃ、みんな朝飯食っとるか〜!?
「すぐ食べられる」のはファストフードばかりではない、
ということの素晴しきお手本じゃな。
スローフードだって、素早く手軽に食べられるんじゃよ。
それが自炊のいいとこじゃ。
あ、今日のわし、なんか、啓蒙的?

ところでYukikoどののレシピ、
市販のブーケガルニやローリエを入れて煮ておくと
より本格的になるぞ。好みのモンダイじゃがな。



次は……おお、前回も登場した小林画伯からじゃよ。

オイスターソース風味の中華なべもの。
 数年前、テレビで中華料理のおばさんが
 紹介していたものです。ちょいピリカラで、
 さっぱりしてるのにコクのある、深い味です。
 私はこれを土鍋で作ります。

 材料 厚揚げ 大根 長ねぎ 白菜 干し椎茸 春雨 
 にんにく しょうが たかのつめ だし昆布 かつお節
 オイスターソース 砂糖 ブランデー しょうゆ
 分量 8号の土鍋で2人前作る感じ。基本的にてきとう。

 土鍋に水を張り、昆布だしをとる。
 その昆布だしにかつお節を入れ、かつおだしをとる。
 干し椎茸は味がしみやすいように十字の切れ目を入れとく。
 大根は厚さ3センチくらいの輪切り。
 十字の切れ目を入れる。たかのつめは種をとる
 (量はお好み)。
 にんにく2〜3かけは皮を剥いておく。
 しょうがはにんにくと同じくらいの大きさのを2〜3かけ
 用意。以上鍋に入れ、ふたをして煮込む。
 干し椎茸の戻し汁も入れる。
 いろんな食材からいろんなだしが出て、
 うまいスープになってゆく。
 大根にだいたい火が通ったところでスープに味を付けて
 いく。砂糖少々、お酒少々、(酒はテレビでは老酒だった
 ような気がするんですが、ブランデーでもイケてます)
 オイスターソースは生臭くない程度にたっぷり!
 あとはしょうゆ。スープだけで飲むにはちょっと濃いかな、
 ぐらいの濃さにする。
 味がついたらざっくり大きく切った白菜、
 ひと口大に切った厚揚げを入れて火を通す。
 長ねぎぶつ切りは、火を通しすぎるとおいしくないので、
 白菜がくたっとしてきた辺りで入れる。
 最後に、戻してない春雨をハサミで切って入れる。
 (スープの量は春雨が吸い込むぶんを見越して、
 最初から多めにしておく)
 春雨が戻るまで煮込んで、できあがり。
 うまいスープを吸った春雨がまたうまいんじゃ〜。
 厚揚げも、スープを吸ってふっくらボリュームアップ!
 これだけでうまいと思うけど、物足りない人は
 イカやエビなど入れるとよいかも。(小林ひろこ)

 
おお、なんか、香港テイストじゃな!
小林画伯とわしは、十数年前に一緒に香港旅行したのう。
いま思い出したわい。かっかっか。
で、それはそうと、これ、「ぜいたく版」をつくるなら
戻したホタテの貝柱などの中華素材の乾物を入れたり、
松の実をまぶしたりしたらどうじゃろう?
あ、最後にごま油をたらり、というのもいいかもしれん!



続いては、プラハのshinoどのじゃ。

●自炊老人様
 こんにちは、プラハからです。
 お鍋ひとつでできる料理、まだ間に合いますか?
 「イカめし」です。
 海のないチェコでは海産物は貴重品なんですが
 たまに小さなイカを見つけると、これをつくります。
 材料は、
 体長(胴体部分が)10cmくらいの小さなイカ
 米 イカ1杯に小さじ1杯が目安
 餅米 同量
 しょうがの千切りたくさん
 めんつゆ+水
 酒
 1)米と餅米を同量ずつまぜてとぎ、ざるにあげる。
 2)イカの足と内臓をとり、皮をむく。
 3)イカの中に米と餅米を混ぜた物をスプーンで詰めます。
   この時パンパンにつめないこと。
   あとで破裂して大変なことになります。
   ちょっと少ないかな? くらいでやめて、
   口を楊枝で止めます。
 3)鍋に並べてこれをめんつゆで煮ます。
   めんつゆの濃さはお好きに調整してください。
   酒を足してちょうどひたひたにかぶるくらい。
 4)生姜の千切りを加えて蓋をして弱火にかけます。
 5)汁気がなくなるまで煮てできあがり。
 鍋は厚手のものがいいです。
 煮るととても小さくなってしまうので一人で3つ4つは
 いけます。(もっとかな?)
 足も鍋のすみに入れて一緒に炊いちゃいます。
 私は餅米が好きなので、炊き込みご飯の時なども
 普通のお米に混ぜて炊くんですが、ご飯がちょっと
 しっかりして、おいしいです。(shino)


おお、この手もあったか! の一鍋料理じゃな。
やられたわい。文句なーし!
プラハには行ったことがあるんじゃが
(ウ・カリハでビール呑みすぎてぐてんぐてんになったよ)
たしかに海産物は食わなかったような気がする。
生姜や日本酒は手に入るのじゃろうか?



お、続いては、再び春雨料理じゃよ。

●おいしいひとつ鍋料理には、
 春雨の炒め煮を推薦したいです。
 春雨がお肉やお野菜のうまみを吸って、
 いくらでも食べられます。
 具や味付けを変えれば、簡単に別の味が楽しめ、
 レパートリーが一気に広がるのではないでしょうか。
 レシピは、いろいろな本のアレンジです。
 作り方は、とっても簡単です。
 まずは、春雨100グラムをぬるま湯で10分ほど戻し、
 ざるにあげる。
 その間、しょうがとにんにくをひと片づつ、みじん切りに。
 フライパンに油大さじ1〜2をひき、
 しょうがとにんにくをいれておきます。
 白菜3、4枚をそぎ切りにし、まないたの端によけておく。
 開いたところで、豚肉または牛肉の薄切り100グラム
 (切り落としでも、肩ロースでも、ももでも可。
 バラ肉なら、フライパンの油を少なめに)を
 食べやすく切る。
 鶏がらすうぷの素小さじ2を220ccのぬるま湯でとく。
 フライパンを弱火にかけ、しょうがとにんにくの香りが
 うつるようにゆっくり温める。
 くさいのがいやなら、香り付けしたら
 にんにくは取り除きます。
 火を強め、お肉を入れる。
 色が変わったら、白菜の白い部分をいれ、
 かき混ぜたら、葉の部分をいれる。
 すうぷを注ぎいれ、コチジャンを小さじ1、
 おしょうゆを大さじ1入れ、
 煮立ったら中火にして、春雨を加える。
 汁気がなくなったら味をみて、
 必要なら塩、こしょうで整え、できあがりです。
 材料を牛、しいたけ、まいたけ、
 赤ピーマンの千切りなどもよいですし、
 豚、小松菜やおくらの千切りでもよいです。
 長ねぎの白いところを千切りにして散らしてもいいし、
 干ししいたけ、にんじんやもやし、
 余ったちくわなどを入れても。
 お野菜やきのこの水が出ないように、
 さっと炒めれば何でもよいのです。
 味付けも春雨100グラムに対して、
 紹興酒大さじ1弱、おしょうゆ大さじ1弱、
 オイスターソース大さじ2弱にすると、
 コクのある中華風です。
 この場合、すうぷは使いませんが、
 最後に強火で濃い味のごま油をからめると美味です。
 味が濃いようでしたら、
 ごま油の前に冷凍のコーンなどで調整します。
 ボリュームもあり、具によっては
 ひと鍋で栄養もいっぱい取れます!
 緑豆春雨なら、残った分を冷蔵しても、
 翌日もおいしいです。
 (馬鈴薯春雨だと、かさかさになることが。)
 では、ぜひお試しを。(mana)

 
丁寧なレシピをありがとうな、manaどの!
言うことナシじゃよ。
割愛した部分に「あつあつのゴハンに合います」と
あったんじゃが、これはひとつの鍋では難しいのう。
そのかわり、「冷や飯に、ややしょっぱめにつくった
このおかずをぶっかけて、丼にする」というのも
いいかもしれんな。



次は、おお、専業主婦のかたから、
自炊人へのアドバイスをいただいたぞ〜!
 
●自炊派の方へ
 こんにちわ。専業主婦やってます、斎藤と申します。
 つい最近、ほぼ日の存在を知って以来、
 楽しませていただいてます。
 初めてメールします。よろしくお願いします。
 さて、ひとなべでできるのは主婦にとってもありがたく、
 とりあえず忙しいときもお味噌汁だけは具だくさん
 必ずつくっています。いろんな野菜とワカメ、
 欠かせないのが豆腐や油揚げ。たまには、魚の味噌汁も。
 鮭でも鰺でも、とってもいい味がでておいしいです。
 豚汁もスバラシイ。
 疲れているときも、元気が出てくる気がします。

 ちょっと洋風な簡単ひとなべ料理では、
 キャベツ・玉ねぎ・セロリ・人参・カボチャ・ジャガイモ・
 ズッキーニ等なんでもいいですが、切っておきます。
 あまり薄切りではない方がいいでしょう。
 トマトも、スライスしておきます。
 なければ、水煮缶でもいいと思います。
 豚ロース肉か、鶏もも肉に塩胡椒して
 しばらくおいておきます。
 肉は小さく切らなくて、大きいままでいいです。
 鍋に切った野菜を火の通りにくい玉ねぎや人参等から
 敷いていき、最後にトマトスライス。
 その上に肉を乗せます。
 そして、白ワインをひたひたよりずっと少な目に
 そそぎ入れ、ブイヨンキューブをくずして入れてから、
 中火にかけます。水は入れません。
 お好みで、ニンニクやバジル等のハーブを入れると
 なかなかです。こげつかないように、蒸し煮のようにして、
 水気がほぼなくなるまで煮てできあがり。
 ワインに合うんです。ちょっとごちそうっぽい。

 でも、野菜を切る気にもならないなんてしんどい時は、
 和風のこんなのいかがでしょう?
 超簡単です。
 材料はサバの缶詰(味噌煮)一個と豆腐一丁。
 小鍋でいいです。サバ缶を開け、鍋に入れて火にかけ、
 くずします。
 しばらく火を通して、豆腐も入れてくずします。
 菜箸で絶えずかき混ぜます。
 味付けは好みですが、私は砂糖と醤油を少々入れて
 さらに炒りつけて、適度に汁気がとんだらできあがり。
 ごはんにのせて食べると、おいしい。
 お試しくださいませ・・・。(さいとう あきこ)

 
おお、三種も!! ありがとうじゃ、さいとう殿。
どれもうまそうじゃが、
わしは、最初の「具だくさんのみそ汁」、これ、
すごくいいと思うぞ。味噌汁は、極めようとすると
奥が深い(ダシのこととか、味噌のこととか)料理じゃが、
逆に、けっこういい加減に作っても、それなりにうまい。
肉も野菜も海のものも放り込んで、あつあつのを
たっぷり食べれば、ひと椀でも、かなり満足するものじゃよ。
あとで冷や飯入れて、おじやにもなるしな。
みそ汁を飲むと、たしかに、元気が出る。
こころの栄養になる感じがするもんじゃ。のう?



ということで、また次回! まだ「一鍋」が続くでな〜!

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よっこらせっと。

2000-09-28-THU

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