糸井 |
ランキングを眺めながら、
それぞれ、いろいろ勝手なことを
言ってきましたけど‥‥。 |
山中 |
はい(笑)。 |
糸井 |
そもそもの話をしていいですか? |
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柳瀬 |
ええ、どうぞ。 |
糸井 |
あっちの会社は、はたらきやすそうだ。
そっちの会社は、魅力的なものをつくってる。
でも、こっちの会社のほうが給料高そうだ‥‥とかって、
今回の結果を見て、
みなさん、いろいろ思うんでしょうけれど、
けっきょく、
「企業と学生がえらびあう」というのが
就職というものの基本的な考えかただよな、って。 |
柳瀬 |
まったく、そのとおりですよね。 |
糸井 |
ランキング見ながら、思ったんですよ。
で、それって、ほかに似たようなものを
挙げるとすれば「お見合い」なんです。 |
山中 |
うん、うん。 |
糸井 |
ただし、お見合いの場合には
「世界中の女性全員と会わなきゃ、
相手を決められない!」‥‥なんて
ムチャなこと言うやつは、いないですよね。 |
山中 |
物理的に無理です(笑)。 |
糸井 |
でも、こと「就職のはなし」になった場合、
みんな、そう思い込んじゃってない? |
山中 |
そのきらいはありますよね。 |
柳瀬 |
「オレ‥‥もっといい会社に
出会ってないだけかも‥‥」なんて。 |
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糸井 |
結婚の場合だったら、たまたま出会ったこの人が
けっきょく生涯のパートナーだった、
なんてことのほうが多いわけじゃないですか。 |
山中 |
ええ、ええ。 |
糸井 |
だから「就職」のケースで言っても
たまたま、内定者としてえらばれた会社が、
じつは、自分でも「えらんだ会社」なんだって
思うことが必要なんじゃないかなぁ。 |
柳瀬 |
うん、何人もの志望者のなかから
内定をもらったんだったら、
たとえ第一志望の会社でなかったとしても、
それって、えらびあってますよ。 |
糸井 |
むしろ、それが「はたらく」ということの
すごくリアルな姿でしょう。 |
山中 |
だから、第一志望じゃないけれど、
内定をもらった会社ではたらくっていうことは
ぜんぜん悪いことじゃない。 |
糸井 |
やっぱり仕事って
「やってみたら、おもしろかった」の
連続じゃないですか。 |
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柳瀬 |
学生さんには、実感としてわかりにくいと思うけど
ほんとにそのとおりなんですよね。 |
糸井 |
それにさ‥‥大部分の人たちは
この「人気上位100社」には入らないわけだからね。 |
柳瀬 |
そうか‥‥つまり、まわりのほとんどの人が
志望した会社に入っていない‥‥のか。 |
山中 |
全学生数の数パーセントでしょうからね、
この「人気企業100社」に入社するのって。 |
柳瀬 |
来春の求人総数って、どのくらいだろう? |
山中 |
えーと‥‥約95万人、だそうです。 |
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柳瀬 |
で、この上位100社の全採用人数って、
トータルでも‥‥。 |
山中 |
1万人、いかないんじゃないでしょうか。 |
柳瀬 |
つまり、1%未満。 |
糸井 |
にもかかわらず、
いま、まわりを見まわしたって‥‥
みんな、それなりに
楽しんではたらいてるんですよね。 |
柳瀬 |
そのとおりですね。 |
糸井 |
もっと言うと、はたから見ていても
おもしろそうに仕事をしているし、
いっしょに仕事をするこっちも
「こいつ、おもしろいな」って思える人って、
「その会社じゃなかったケース」について、
あんまり、未練を持ってなさそうなんですよ。 |
山中 |
いまの状況を、楽しめてる。 |
柳瀬 |
参考になるかわからないですけど、
以前、リクルートさんで
「あなたは、なぜ、はたらくんですか?」という
調査をしたらしいんですよ。
そうすると、やっぱり「生活のため」という答えが
圧倒的に多かったというんです。 |
山中 |
そうでしょうね。 |
柳瀬 |
でも、このさき、生活していけるだけの
じゅうぶんな貯金があったら、
「はたらきますか? はたらくのをやめますか?」と
続けて質問をしたら、
「はたらき続ける」って答えが
圧倒的に多かったらしいんですよね。 |
山中 |
やっぱりみんな、「はたらきたい」のか。 |
糸井 |
まぁ「どこでもいいだろ」とまで
無責任なことは、言えないんだけど‥‥。
でも、逆に言えば、どこへ行っても、
上手くいくやつってほんとに、すごいやつですよ。 |
柳瀬 |
あと、誰と組んでも、大丈夫なやつ。 |
糸井 |
うん、それも、すごい。 |
山中 |
何やってても楽しそう、とか。 |
糸井 |
それはもう、理想の人だなあ。 |
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山中 |
いっしょに、はたらきたいですよね。 |
糸井 |
むかし、朝日新聞は
就職試験の「上から何人」と「下から何人」を
採るんだって伝説があったんだけど‥‥。 |
山中 |
ああ、ありましたかね、そんなの |
糸井 |
この話じたい、ほんとかどうか知りませんけど、
あながち笑い話でもないと思うんです。
というのも、これからの時代は、
試験の成績が上であろうが下であろうが、
どこをとっても、
「その人を活かせるような仕組み」をつくれないと、
会社としては危ないんじゃないか、と。 |
柳瀬 |
ああ、こんどは企業の側から見たときに。 |
糸井 |
うん、つまり「誰が来ても大丈夫」って会社が、
理想的な会社なのかも‥‥しれないね。 |
柳瀬 |
「誰が来ても大丈夫」は、いいですね。 |
糸井 |
オレ自身、これから入れてもらえるんだったら
そんな会社ではたらきたいし(笑)。 |
柳瀬 |
じゃあ、今回の社会人の人気企業ランキングを
なにかの参考にするとしたら‥‥
どういうふうに、考えたらいいんでしょうね? |
山中 |
たぶん、「ほぼ日」読者にしても
「NBO」読者にしても、
社会人として、じっさいはたらいてみたときに、
いろんなパラメーターで評価してみたら、
こんな会社がえらばれましたよって
ことじゃないでしょうか。 |
柳瀬 |
そうか、それは製品・サービスからの視点かもしれないし、
はたらきやすさからかもしれないし、
年収の高さかもしれないし、将来性かもしれない‥‥。 |
糸井 |
社会ではたらいてみると、
こういうパラメーターが気になるんだよ、
ともいえますよね。 |
山中 |
なるほど、社会ではたらいてる先輩は
企業のこういうところを見てるのかってことが
わかるだけでも。 |
糸井 |
どこに重きをおくのかは、人によって、
それぞれあるでしょうからね。
それが、たとえば吉本隆明さんの場合には
「会社ってのは
愚痴を言える同僚がいればそれでいい」って
ことばになってくるんだろうし。 |
柳瀬 |
『はたらきたい。』のテーマである
「何を大切にしているか」にも
つながってきそうなことでもありますよね。 |
糸井 |
これから就職活動をはじめる学生さんにとっては、
「価値の軸が1本じゃない」ってことがわかるってだけで、
きっと何かが変わってくると思うなぁ。 |
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柳瀬 |
うん、そう、そうですね。
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今回で、3人の座談会は終わります。
次回からは「社会人がえらぶ人気企業アンケート」の結果を
よりくわしく発表していきます。
どうぞ、おたのしみに! |