天久 | 中期、長期プランというのは、 社会的に、ということですか? |
── | 自分と社会と両方、 ということではないでしょうか。 |
天久 | 自分では 「もうちょっと技術磨いて」とか、 「いいものを作っていきたいな」 という気持ちはあります。 だけど、社会的に、となると、どうだろうなあ。 フリーだから役職もないし 相撲取りじゃないから番付表もないし。 |
── | (笑)イラストレーター界の横綱とか。 |
瀧 | 「サブカル漫画の小結こと」(笑)。 |
天久 | 「サブカル小結」っていいですね、 温かい感じがして。 芸人さんは、すごく 階級があるでしょう。 |
板尾 | 舞台で言えば、 「何番目」とか「トリ」とか、あります。 テレビやと、自分の番組を持ったりとか、 そういうことなんかなあ。 |
天久 | そういう意味では板尾さんは、 立ち位置がわりと違いますもんね。 |
板尾 | うん、そうですね。 劇場の出番でもね、 舞台ってだいたい昼と夜の2回 興行があるんですけど、 昼間は遅いめで夜はトップで出てはよ帰る、 というのが、僕はいい。 |
一同 | (笑) |
板尾 | だから、いつも会社には、 「2回目はトップでええで」 と言うんです(笑)。 別に、そこにこだわりはない。 早く帰れるほうがいい。 テレビも、自分の番組というよりは 人の番組に出てるほうが好きなとこもあるから、 そうやなあ‥‥ このままでいいっちゃいいんですけど、 でも多分、 このままというわけには いかないじゃないですか。 |
天久 | そうですね。 |
板尾 | このままをキープするのが たぶん、いちばん難しいでしょ。 |
瀧 | うん。 |
板尾 | いまの自分は、キープしていくために ちょっと頑張ったり、 わざと気を抜いたりして、という感じがします。 でも、わかりませんよ、 5年後どうなってるかは、わかりません。 また変わるかもわからない。きっと変わるでしょう。 中途半端というところが、実は いちばん難しそうな気がします。 |
瀧 | うん、うん、つかず離れずみたいなところが。 |
板尾 | ねえ? そのへんが、いまは いちばんおもしろかったりするんです。 あまり行き過ぎると 「もうここではちょっとでけへんようになったな」 なんてこともあったりして、 そうすると、ガラッと変わってしまう。 いい感じでフワッと浮いてるぐらいが いまはいいんとちゃうかな、自分は。 |
── | 瀧さんは? |
瀧 | 中長期的な計画ねえ(笑)。 なんだかほんとうに、 流れに乗っかってたらこうなっちゃったからな。 なろうと思ってなったわけじゃないけども、 別に悪くないと思うんですよ、今の自分。 そう考えると、あまり計画を立てないほうが いいのかな、という気がします。 そうしてきたからいまがあるわけだから。 |
── | 逆に、短期計画というか、 軌道の修正や反省のようなことは みなさん、なさいますか? |
浜野 | あ、します。 |
板尾 | うん、するやろなあ。 |
瀧 | ああしとけばよかった、 ということはあります。 昔作った作品を見ても、 「ああ、すごい直したい。 でも、どうしようもない!」 と思ったりします。 でも、それはほんとにしょうがない。 未来の自分がどんどん こっちを振り返って そう思う。 ずっとそれはあって、終わらないんです。 |
板尾 | あまり正解があることでもないんでしょうね。 それはそれでよかったんかもわからん、 ということもありますから、 そんなに「明らかに失敗」と呼べることは、 たぶん、ないです。 「いい」って言ってくれる人もおりゃあね、 「悪い」って言ってくれる人もある。 |
瀧 | 漫画だって、一方は 手塚治虫まであるわけだからね。 |
天久 | うん(笑)。 |
瀧 | 手塚治虫になれなかったから、 じゃあ失敗かっていうと、 そうでもない。 |
天久 | 正解はなくて、 どちらかというと、 いかにオリジナルの間違えをするか、 という感じすらあります。 |
── | それは「自信」とかいう話とは、 また別のものなんでしょうか。 |
板尾 | 自信はあっても、 いまいち受け入れられへんかったり することもあります。 |
瀧 | そうですね。 |
天久 | 基本的に、 間違ってても言ってくれないですよ、 フリーの人には。 そんな優しい人、いないですね。 |
瀧 | 次に仕事を 頼まれないだけ。 |
一同 | (笑) |
板尾 | そうですね、それぐらいのもんですね。 頼まれた企画意図と明らかに外れたりすると、 多分もうだめでしょう。 でも、それで別に仕事がなくなるわけでもない。 |
瀧 | 逆にそれをおもしろいと 言ってくれる人がいたりして。 |
板尾 | 捨てる神あれば 拾う神ありで、 あれがあったからこの仕事が来た みたいなこともあるんです。 (明日につづきます) |