研究レポートその9
「つわり」の科学。胎児がママをコントロール?
ほぼにちわ、カソウケンの研究員Aです。
前々回のレポート、「お子さまは酢がお好き?」に
多数の研究報告をお寄せ頂き、ありがとうございました!
予想以上に集まった
「うちの子も酸っぱいの好き」
「私も小さい頃梅干しがおやつだった」
などのご意見。
近いうちに「ほぼ日研究員による続報」を
お届けする予定ですのでお待ちくださいませ。
(他のレポートに対するご意見も
いつもありがとうございます!
カソウケンの研究会議にかけて
ありがたーく拝読しているんですよー。)
「酸っぱいもの」レポートに対して頂いた研究報告で
「男性よりも女性の方が酸っぱいもの好きなのでは?」
というスルドイご指摘が!
(tomoe研究員・ありちゃん研究員・ゆり研究員
ありがとうございます)
なるほど、言われてみればそんな傾向が?
うちの夫婦だけじゃなさそうです。
「女性と酸っぱいもの」ときたら連想するのは
「つわり」。
テレビドラマの世界では
妊娠した女性がレモンや梅干しを欲しがるものと
相場が決まっているようです。
確かに、妊娠初期のつわりの時期に
酸っぱいものが欲しくなる人は多いようです。
でも、実際に妊婦がつわりのときに欲する食品は
酸っぱいものに限らず
おそろしくバラエティーに富んでいます。
意外と多く聞かれるのが
「食パン」や「フライドポテト」や「ソース系のもの」。
ソース系のものとはお好み焼きや焼そばです。
他にも、変わったところでは
・カマンベールチーズを1日1個
・お茶の葉をぽりぽり食べた
・壁の土を食べた
(女優の柴田理恵さんのお母さまのハナシ)
などなど。
なんとも不思議なこの味覚の変化。
「お腹の中の赤ちゃんが
自分を守るためにコントロールしているせい?」
という最近の研究報告があるので
それをご紹介したいと思います。
まず、そもそも「なぜつわりがあるのか?」ですが
科学的にははっきりわかっていないのです。
でも、今のところ
・妊娠が成立するときに分泌されるhCGホルモンのせい
・自律神経が乱れるから
・胎児を異物とみなして、アレルギー反応してしまうから
というあたりが有力のようです。
ちなみに。。。
単なる「甘え」「気のせい」ではないので
妊婦さんの周囲の方はご理解を!
つわりには個人差がとっても大きく
重い妊婦さんは水さえも受け付けなくなって
入院してしまうこともあるんです。
さてさて、「味覚の変化」の話に戻りましょう。
これは、生物学者のマージー・プロフェットの研究です。
氏は、1995年の著書で
妊娠3週から4〜5ヶ月まで続くつわりの時期は、
「胎児の手足、内臓、神経の形成期と重なる」と指摘。
さらに、妊婦が吐き気を覚える食べ物は
キャベツやニンニク、バジルなど
胎児の発育を妨げる可能性が高い
食品であることがわかりました。
人間が食べるもののうち、特に味が濃い野菜や苦い野菜は
天然の殺虫剤を含んでいます。
概して人間には害はないのですが、
人間になりかけの「胎児」には影響があるかも?
ということです。
そして、さらにびっくりの結果があります。
コーネル大学の生物学者ポール・シャーマンらが
1999年に8万人の妊婦を対象に行った研究です。
上のプロフェットの指摘通り、
妊娠中に特定の食品を受け付けなくなったグループの方、
つまりつわりのあった妊婦のグループの方が
妊娠前と同じ食生活を続けたグループよりも
流産の率が低かったということです。
でも、妊婦が避けるべき食品を特定するには
まだまだ研究データが不足しているそう。
とりあえずは、
身体の要求に従い、
食べたくないものは食べない方が無難
でしょうとのことです。
確かに、研究員Aもつわりのときは
「ナニが食べられるだろうか?」
を探すのだけで必死でした。
そう重い方ではなかったんですけどね。
「これは胎児に良さそうだから、悪そうだから」と
アタマで考えられる余裕なんてなかったです。
まさに、お腹の中にいる数センチにしかならない
胎児にコントロールされている気分。
そして、研究員Bを妊娠中のつわりでは
大好きなはずのコーヒーも紅茶も
受け付けなくなりました。
カレーもキライになっちゃいました。
あとは生の玉ねぎのニオイがどーにもダメでした。
つわりで苦しむ妻のために
食事を作ってくれたなんとも優しい所長。
その中にあった新玉ねぎの入ったサラダがあったのです。
「キモチワルイからいらない」と言った研究員A!
所長はかなりショックだったらしく、
未だにそのことを持ち出します。
(確かに、「キモチワルイ」はなかったと思う)
刺激物っぽいものを受け付けなくなった、ということは
上の説も一理あるかも〜とナットクした
研究員Aでありました。
でも! 次の研究員Cの妊娠時。
コーヒー紅茶が苦手になったのは同じだったのですが、
このとき欲しくなったものは「化学調味料の味」。
ハムとか、カップラーメンとかが
欲しくて仕方がないのです。
化学調味料の味を堪能しながら
研究員Aはお腹の中にいる研究員Cに対して
「キミはそんなものが必要なの?」
と不思議に思ったものです。
そんなカラダに悪そうなものを積極的に摂取して
胎児を守っていたことになるのかな?
うーん、どうなんでしょうか、上記の説。
つわりに関することで
もうひとつ面白い研究をご紹介します。
「妊娠中の食生活が胎児に伝わる」というもの。
モネル・ケミカル・センシズ・センター
(フィラデルフィア)の研究によると
妊娠中にニンジンジュースを飲んでいた母親の子供は
ジュースを飲まなかった母親の子供よりも抵抗なく
生後6か月でシリアルに混ぜた
ニンジンジュースを飲んだというのです。
羊水を通じてニンジンの味が
胎児の味らいに通じたのではないか?
と専門家はみているそう。
この話にナットクするお母さまがたは
多いのではないでしょうか?
研究員Aが研究員Bの妊娠中で
つわりのときによく食べていたのがイチゴ。
そして、実際に研究員Bはイチゴを際限なく要求する
幼児にと成長しました。
「イチゴ」という単語を聞き付けるとうるさいので
所長と研究員Aは「あの赤くてつぶつぶがあるもの」と
隠語を使っているくらいです。
イチゴのシーズンが過ぎた今、研究員Bが
イチゴのことを忘れてくれることを祈るばかりです。
ということは?
研究員Cはジャンキーな食品を好む幼児に
成長してしまうのでしょうか?
それはちょっと困ったもんだと
心配になる研究員Aなのでした。
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参考サイト
つわりで悩んでいる人のためのサイト「わかばまーく倶楽部」
参考文献
「新・0歳からの教育」 ニューズウィーク日本版 TBSブリタニカ
安心マタニティブック―妊娠前から体の準備オレンジページ |