研究レポート21
アナタが触るとマシンが壊れる!?
パウリ効果のお話。
ほぼにちわ、カソウケンの研究員Aです。
世の中見渡すとキカイだらけ。
幼児もパソコンを華麗に操る時代になりました。
こんな時代になっても
「キカイは天敵! 私はアナログ人間〜」
というメカ嫌いの方、未だに多いのでは?
いや、こんな時代だからこそかな?
他にも
・私が触ると急に機械の調子が悪くなる
・私の持っている機械は壊れるのが早い
なんて具合に、
「私は嫌いじゃないのに、どうもキカイに嫌われちゃう」
という片思い状態のヒトも少なくないのではと。
そんな、機械オンチの代名詞として
「パウリ効果」という言葉があるんです〜。
今回は、機械オンチさんを勇気づけるかもしれない?
お話をお送りしま〜す。
パウリ効果とは物理学者のW.パウリの名から
とったものです。
彼はなんと弱冠25歳で「パウリの排他律」
という原理を発見し
その成果でノーベル賞を受賞した物理学者です。
アインシュタインほど有名ではないのですが
パウリ抜きに現代物理学を語ることはできない!
ってくらいすごーいお方なのです。
「じゃ、『パウリ効果』って機械オンチを
物理学で説明したすごい理論のこと?」
と身構えちゃうかもしれません。
いえいえ、そんなたいそうな話ではございません。
ご安心を!
その大天才パウリですが
実に優れた「理論」物理学者だったゆえか
実験の方はからっきしダメだったとのこと。
「実験がヘタ」なんて生易しいものじゃありません。
「パウリがそばに来ただけで実験が失敗する」だの
「パウリが触っただけで装置が壊れる」だの
悪評が立つくらいですから、そーとーなもんです。
圧巻は、ゲッチンゲン大学の研究室での
真空装置の爆発事故があったときの話です。
その爆発事故の現場近くにパウリはいなかったので
パウリのせいにはできないはずだったんです。
でも! あとで調べみたら。。。
ちょうど事故のあったとき
ゲッチンゲン駅に停車した電車の中に
パウリ先生がいたとのこと。
恐るべしパウリの能力、、、って
さすがにここまで来るとツクリも入っていそうですが。
こういったモロモロの現象のことを
パウリ大先生の名前をお借りして
「パウリ効果」と呼ばれています。
パウリ本人もその呼び名がまんざらではなかったご様子。
パウリのおかげで
「偉大な理論物理学者ほど、キカイをおかしくする」
なんて「法則」ができちゃったわけです。
研究員Aが学生時代にいた研究室にも
「パウリ」の呼び声の高い先輩がいました。
仮にX氏としましょう。
確かに、そのX氏が使うパソコンは
しょっちゅうフリーズするんです、なぜか。
「パウリが来た、気をつけろ〜」
「今のうちに文書を保存しておけ!」
とふざけているうちはまだ良いんです。
しまいには
「今大事な印刷しているから寄るな(本気)!」
とか言われてしまったりして。けっこうむごい話です。
さらにひどいのは、研究室のメンバーで
他大学の見学に行ったときのこと。
新幹線の車中で、新品のノートパソコンを使って
ご満悦でお仕事していた(遊んでいた?)助教授。
どうも、そのご自慢のパソコンが
いうこときかなくなってきたらしく、次第にご機嫌斜めに。
しまいには、
「Xが真後ろに座っているからじゃないか?
うん、絶対そうだ。あっちへ移動しろ!」と。
あんまりだ〜。
(傍目には面白かったけど)
次の日になっても助教授は
「思った通りXのせいだった。
あいつがむこう行ったとたんに調子が戻ったもんなー」
とひとりうなずいておりました。
ちょっとちょっと、科学のプロが
そんな非科学的でいいのか?とつっこみたくもなります。
(その先生はとっても優秀な研究者なんですよー。
念のため!)
このようにして、数々の伝説を作っていったX氏。
偶然? と片づけてしまうには
あまりにも再現性が高すぎるんですよねー。
まあ、よく考えると
「パソコンのキー操作が乱暴」
「パソコンの処理を待たずに次々クリックするせっかちさ」
など、パウリ効果をもたらす原因は
いくつか思い当たるんですけどね。
上にあげた助教授のように非科学的かもしれないのですが
どうも機械に「ココロ」が
あるような気がしてならない研究員Aです。
うちの所長の趣味はパソコンの組み立て。
秋葉原あたりでパソコンの各種パーツを調達して
自分好みのパソコンを自作するんです。
本人は「ライバルはソニーのVAIO」と
高い目標を掲げてパソコンを組み立てているらしい。
でも、そんな所長の期待もむなしく
たびたび調子を悪くして重要な任務(ビデオ録画)を
果たせなくなるパソコン君たち。
そんなパソコンに所長は
「今度録画をさぼったら、スクラップにしてやるからな!」
と。ひいいいー。
でも! 不思議なことに、
次の日から彼はさくさく働きものになるんです。
所長も
「たまには渇を入れなきゃだめなんだ、あいつらは」
とまで言っております。ほんとか?
(↑このヒトも一応科学を仕事にしている)
他にも、パソコンで印刷している最中
席を立つと調子悪くなって止まってしまうことが多い気が。
ずーっと見張っているとちゃんと印刷しているのに。
どーもさぼっている気がしてなりません。
(それってウチのプリンターだけの話?)
というわけで、ココロがありそうな機械たち。
そんなキカイとニンゲンとの間に
「相性」があってもおかしくないのかなーと
根拠のないことを考えてしまいます。
あ、でもカソウケンには研究員Bという
強力なパウリ効果の持ち主がいたのでした!
私が席を立っている間にプリンターが止まるのは
研究員Bが悪さしていたからか?
なんと言ってもデストロイヤーとしての前科が多い研究員B。
「機械にココロが?」と考える前に
彼の破壊工作を疑った方が正しいかも。
研究員Bの場合の「パウリ効果」は
優秀な理論物理学者としての片鱗を
見せている訳じゃナイです、もちろん。
だって、実際にパソコン本体を叩いたり
ハードディスクを落下させたり
フロッピーディスクドライブにビスケットを中に入れたり!
しているんですもの。
さらに研究員Cという強力な後釜が控えているカソウケン。
当面の間は「キカイと相性の悪い」環境になりそうです。
とほほー。
この手の話、笑えない〜って方も嘆く事なかれ!
「機械との相性」とはちょっと話が違いますが
他にも「ぶきっちょな理論の天才」はいるんです〜。
例えば、中間子理論でノーベル賞を受賞した
湯川秀樹博士。
彼は著書「目に見えないもの」の中で
「ガラス細工が苦手だったことが
実験物理学者を断念する直接の原因かもしれない」
と述べています。
湯川博士の作るガラス細工は
ヒドい出来だったとか。
湯川先生のような大物もそうだと聞くと
なんだか勇気でませんか?
とにかく、どうも機械と相性が悪いとお嘆きの方。
そんなことを他人から指摘されたら
パウリの名を挙げて
「ふふん、私は優れた理論家ですから」
と胸を張ってください。ん、張れるのか?
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