主婦と科学。
家庭科学総合研究所(カソウケン)ほぼ日出張所

研究レポート79
音と元素と香りの科学。



ほぼにちわ、カソウケンの研究員Aです。

元素周期表フェチでもある研究員A、
以前もこちらの「主婦と科学」で
研究レポート51
周期表は永遠に未完成?!
新しい元素発見の科学。

人間の手でどんどん元素が増え続けている、
なんてお話をしました。

つい最近、アメリカ・ロシアの共同の研究チームが
「118番目の元素」を発見したという
ニュースがありました。
ちなみにこの118番元素、
以前もアメリカの研究チームの
「発見しました〜!」という報告があったのですが
その後ねつ造と判明。
少々いわくつきの「118番元素」であります。
今回の米露チームの報告が認められれば
「この世で最も重い元素」ということになるのですが
さてさてどうなることやら。

こんな風に元素の数は
じわじわと増え続けているのですが
この元素たちの住む
共同住宅ともいえるのが「元素周期表」。
元素たちはルールに沿った形で
きちんと各部屋におさまっています。

音と元素を関係づけた化学者がいた!

この周期表の生みの親はロシアの大学教授だった
ドミトリ・メンデレーエフ。
彼が周期表を作成した130年前
知られている元素の数は63しかありませんでした。
でもメンデレーエフは大胆にも
未発見の元素を「予言」し、
「空室」を設けた状態で周期表を作ってしまったのです。
そして現在は当時の2倍近くの数である
110を越す元素が発見されているのですが
メンデレーエフの周期表は
破綻を来すこともなく
これらの元素たちを受け入れています。

このメンデレーエフ以前にも
「この元素たちの法則を見いだせないものか?」と
挑戦した科学者たちは何人もいました。
「ものごとには背景に何か
 ルールがあるんじゃない?」と
考えたがるのは科学者たち‥‥
いえ、人間の性癖みたいなものかもしれません。

そんなひとり、イギリスの化学者ジョン・ニューランズが
1864年に見つけ出した独自の法則は
なんと「音符」と関係づけたものでした。
最初の元素から8番目の元素が
最初の元素に似ているといい
その発見を「オクターブの法則」として発表。
音と元素を関係づけるとはなんてロマンチック!
‥‥でも原子量の大きい元素には
あてはまらないものでしたので
認められることはありませんでした。

香りと元素を関係づけてもいいじゃないか!

残念なことに音と元素に関係はありませんでしたが
同時代である19世紀に
「香り」と「音」結びつける試みをした人がいました。
イギリスの香料研究家として有名な
S.ピースという化学者です。

彼は、46種の天然香料を音階のように並べて
「香階」と名付け
著書『香りと芸術』に発表しました。
(香階の表をご覧になりたい方は
 参考文献にある書籍に載っていますで
 そちらを参考にしてくださいませ。)

高い音には揮発性の高い
(香りの飛びやすい)香料を、
低い音には保留性の高い
(香りの残りやすい)香料をあてはめているようです。

そして、オクターブ違うものには
どのような割合に混ぜてもよく調和する香りを
あてはめているそうな。
鼻が鈍くて香りに関してもド素人の研究員Aには
よくわからないのが寂しいところですが。

例えば、2オクターブ違うジャスミンとローズ、などは
どんな割合で混ぜても調和するようになっている
‥‥そうです。

さらに楽しいことには、
音楽的にも調和する「和音」どうしを組み合わせると
香りの上でも調和がとれるようにしてあるとか。
鼻が鈍くて香りに関してもド素人の研究員Aには
ますますわからないのが寂しいところですが。

例えば、「ドミソ」では

白檀
ゼラニウム
アカシア
オレンジフラワー
樟脳

この組み合わせは「香気的にも調和がとれている」と
資生堂で香料の研究に従事されている
中村祥二さんはその著書
『香りの世界をさぐる』の中で述べています。

アロマテラピーを楽しんだり、香りに詳しい方は
この「香階」の表が
もっともっと楽しめるかもしれませんね。

こちらの「音階」は、それこそ元素周期表のように
厳密に科学的な根拠があるわけじゃありませんが
なかなか遊び心溢れる楽しい試みじゃないのかな
なんて思うのです。
音のハーモニーと、香りのハーモニーを
関係づけるなんて、なかなか素敵ですから。


今 回 の レ ポ ー ト の ま と め

11月3日は文化の日ですが
アロマの日でもあるそうです。
というわけで「香り」のことを
話題に取り上げてみました。

そもそも「トップノート」とか
「オリエンタルノート」などに使われる
「ノート」という用語自体、
音楽用語ですし、ね。




参考文献
  香りの世界をさぐる
 朝日新聞社 中村祥二著
香りの百科事典
 丸善 谷田貝 光克著


2006-11-03
-FRI


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