阿寒湖周辺は、言わずと知れた紅葉の名所です。
マツやイチイなど、常緑の針葉樹はそのまま、
ダケカンバや、カツラの葉は、黄色く、
ナナカマドや、ヤマモミジの葉は、紅く色づき、
その他、さまざまな木々の葉も彩りを添えて、
森は、まるで、錦と刺繍を施した織物のように。
ほぼ日をご覧の皆さんにも見せてあげたいなあ……。
森を縫うように流れる川のほとりを、
国道にかかる橋から下流へ向かってしばらく歩くと、
五本の大木をぎゅっと束ねたような、
大きな根株を持つカツラの木があります。
根株の真ん中から伸びるひときわ太い幹は、
かなり以前に折れてしまったようで、
表面には、コケや地衣類がびっしり。
そして、その、折れて朽ちかけた幹は、
ムキタケのなる木か、ムキタケ畑か。
毎年変わらず、ムキタケが、出るわ、出るわ。
味が温和で、一度にたくさん採れるムキタケは、
晩秋を代表する、すごく優秀な食菌です。
しかし、しかし、ご注意を。
かつて、この「きのこの話」でも触れましたが、
毒きのこの、ツキヨタケに似てるんです。
なんと、同じ時期に、同じ木から、
ムキタケとツキヨタケが両方生えることもある!
ってんですから、もう、大変。
ツキヨタケは、柄の肉の部分に黒いシミがある、
と、図鑑などでは、見分け方を説明してますが、
誤食して中毒を起こす事例が後を絶ちません。
何度も言いますが、ムキタケを採取するときは、
十分にご注意くださいね。
なんせ、敵は、誤食される毒きのこの筆頭格ですから。
さて、この、ムキタケ、すごく水分が多いんです。
(ゆえに、天ぷらには不向き)
手に取ると、大きさの割に、ずっしりとした重量感。
そして、ひんやり、ぷるぷる。
野山でちょっと足をひねったときなど、
患部につけたら気持いいだろうなあ……(笑)。
ぷるぷるの正体は、表皮の下にあるゼラチンの層。
ゆえに、つるりと簡単に皮をむくことができるので、
その名も、ムキタケ、というわけ。
ムキタケが出始めたら、
阿寒の秋も、後半戦に突入です。 |