食毒不明。疑わしきは食せず。
マルミノノボリリュウタケ 食毒不明
写真と文章/新井文彦

きのこは、胞子のつくり方によって、
担子(たんし)菌と子嚢(しのう)菌に分類されます。

担子菌は、傘裏のヒダや管孔などにある、
担子器という棍棒形の細胞の外側に、
胞子をつくるグループ。
シイタケやマツタケやエノキタケなど、
傘と柄がある、いかにもきのこ形をしたきのこは、
ほとんどここに属しています。

子嚢菌は、子嚢という円筒状や袋状の細胞の中に、
胞子をつくるグループ。
皿形やへら形をしているもの、また、冬虫夏草など、
小さかったり、変な形をしていたりと、
きのこっぽくない形をしたきのこが多く属します。

この、マルミノノボリリュウタケは、子嚢菌。
頭部はまるで脳ミソみたいだし、
柄には何やら妙な縦ジワが入っているし、
(若いうちは柄がもっとピンク色してます)
全然きのこっぽくはありませんよね。

しかし、きのこファンとしては、
きのこを求めてふらふらと森を歩いていて、
こういう変な形をしたきのこを見つけるのが、
実に楽しく、嬉しいわけです。

ノボリリュウタケとか、
クロノボリリュウタケとか、
ノボリリュウタケの仲間には、
食べられるきのこがいくつかあるのですが、
このマルミノノボリリュウタケは食毒不明。
形がそっくりの、シャグマアミガサタケという、
猛毒きのこがあるので、どうぞ、ご注意を。

傘を持っているタイプの担子菌は、
その裏側が、ヒダ状、管孔状になっていて、
そこから胞子が放出されるわけですが、
マルミノノボリリュウタケは子嚢菌なので、
裏側ではなく、頭部の表面から胞子を放出します。

写真は、多少、古い個体なので、
頭部がこすれた感じに見えますが、
これが、まさに、胞子を放出した跡。
若いうちは、つるつるしてます。

今回は、エヘン、
何というか、エヘン、エヘン、
真面目にきのこの話をしちゃいました。
やればできるじゃん、と心の声が……(笑)。

何はともあれ、読者の皆さまが、
「昇り龍」にあやかれますように。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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