シラウメタケモドキ
食不適
写真と文章/新井文彦

ぼくは、きのこに興味があるので、
いわゆる「きのこ目」を発揮して、
きのこなら、どこへ行こうが、他の人に比べて、
たくさん見つけることができるのではないかと思います。

とはいえ、以前、コケが大好きな友人を、
ぼくが勝手に名づけた「コケコケの森」へ案内したとき、
友人が指し示すコケのひとつひとつが、
まったく違う種類だったことに軽い衝撃を受けました。
スギゴケ、ミズゴケ、ジャゴケなどなど、
数種類のコケがあるだろうことは認識していましたが、
まさか、軽く20種類を超えているとは!

が~ん……。

きのことか、コケとか、地衣類とか、粘菌とか、
昔の呼び名である「隠花植物」が好きだとか言いながら、
きのこ以外は、ほとんど見てなかったという事実……。
反省することしきりです、はい。

その後は、友人が勧めるままに、
宝石鑑定用の拡大率10倍のルーペを購入し、
紐をつけて首からぶら下げ、
コケはもちろん、きのこや粘菌を観察しています。
(コケの分類はきのこよりもさらに厄介みたいです)
ミクロの世界がまた楽しいんですよねえ。

今回ご覧いたく写真も、
そんな、コケコケの森で撮影しました。
ミズゴケ、もとい、ホソバミズゴケの間に存在するは、
その名も、シラウメタケモドキです。

初夏から夏の終わりころ、
アカエゾマツが生えている森の地面で発生。
傘の直径は大きいものでも2cm弱、
透き通るような白い傘がとても印象的です。
ヒダは間隔が広く(疏=あら)、
柄は管状で、高さもせいぜい3cmくらいです。

このきのこは、アカエゾマツの葉を分解するので、
コケの間、きのこの下をよく見てみると、
針のような形の葉っぱがたくさん確認できます。

食不適。
小さなきのこなので、
食べごたえもまったくないでしょうね。
観察して楽しみましょう。

ちなみに、ルーペなど光学製品を買うときは、
価格と性能が正比例するので、
予算が許す限りできるだけ高いものを選ぶのが、
あとから後悔しない秘訣です。
500円と5000円のルーペでは、
比較してみるとよくわかるのですが、
想像以上に見え方の差があるんです。

光学製品だけに高額のものがいい、と……。
失礼いたしました。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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